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刑事訴訟法    全編章
第1編 総則    編章別条文→     ↑先頭へ
(目的)    条文別へ
第1条   この法律は、
刑事事件につき、
公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、
事案の真相を明らかにし、
刑罰法令を適正 且つ 迅速に適用実現することを目的とする。
第1章 裁判所の管轄    編章別条文→     ↑先頭へ
(土地管轄)    条文別へ
第2条  裁判所の土地管轄は、
犯罪地 又は 被告人の住所、居所 若しくは 現在地による。
2項  国外に在る日本船舶内で犯した罪については、
前項に規定する地の外、
その船舶の船籍の所在地
又は 犯罪後その船舶の寄泊した地による。
3項  国外に在る日本航空機内で犯した罪については、
第1項に規定する地の外、
犯罪後その航空機の着陸
着水を含む。した地による。
(関連事件の併合管轄)    条文別へ
第3条  事物管轄を異にする数個の事件が関連するときは、
上級の裁判所は、
併せてこれを管轄することができる。
2項  高等裁判所の特別権限に属する事件と他の事件とが関連するときは、
高等裁判所は、
併せてこれを管轄することができる。
(審判の分離)    条文別へ
第4条   事物管轄を異にする数個の関連事件が上級の裁判所に係属する場合において、
併せて審判することを必要としないものがあるときは、

上級の裁判所は、
決定で
管轄権を有する下級の裁判所にこれを移送することができる。
(審判の併合)    条文別へ
第5条  数個の関連事件が各別に上級の裁判所 及び 下級の裁判所に係属するときは、
事物管轄にかかわらず、
上級の裁判所は、
決定で
下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができる。
2項  高等裁判所の特別権限に属する事件が高等裁判所に係属し、
これと関連する事件が下級の裁判所に係属するときは、

高等裁判所は、
決定で
下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができる。
(関連事件の併合管轄)    条文別へ
第6条   土地管轄を異にする数個の事件が関連するときは、
一個の事件につき管轄権を有する裁判所は、
併せて他の事件を管轄することができる。
但し 他の法律の規定により特定の裁判所の管轄に属する事件は、
これを管轄することができない。
(審判の分離)    条文別へ
第7条   土地管轄を異にする数個の関連事件が同一裁判所に係属する場合において、
併せて審判することを必要としないものがあるときは、

その裁判所は、
決定で
管轄権を有する他の裁判所に
これを移送することができる。
(審判の併合)    条文別へ
第8条  数個の関連事件が各別に事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属するときは、
各裁判所は、
検察官 又は 被告人の請求により、
決定で

これを一の裁判所に併合することができる。
2項  前項の場合において各裁判所の決定が一致しないときは、
各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、
検察官 又は 被告人の請求により、
決定で

事件を一の裁判所に併合することができる。
(関連事件)    条文別へ
第9条  数個の事件は、
左の場合
関連するものとする。
 一人が数罪を犯したとき。
 数人が共に同一 又は 別個の罪を犯したとき。
 数人が通謀して各別に罪を犯したとき。
2項  犯人蔵匿の罪、
証憑湮滅の罪、
偽証の罪、
虚偽の鑑定通訳の罪
及び 贓物に関する罪と
その本犯の罪とは、

共に犯したものとみなす。
(同一事件と数個の訴訟継続)    条文別へ
第10条  同一事件が事物管轄を異にする数個の裁判所に係属するときは、
上級の裁判所が、
これを審判する。
2項  上級の裁判所は、
検察官 又は 被告人の請求により、
決定で

管轄権を有する下級の裁判所に
その事件を審判させることができる。
(同前−同一事件と数個の訴訟継続A)    条文別へ
第11条  同一事件が
事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属するときは、

最初に公訴を受けた裁判所が、
これを審判する。
2項  各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、
検察官 又は 被告人の請求により、
決定で

後に公訴を受けた裁判所に
その事件を審判させることができる。
(管轄区域外の職務執行)    条文別へ
第12条  裁判所は、
事実発見のため必要があるときは、
管轄区域外で
職務を行うことができる。
2項  前項の規定は、
受命裁判官にこれを準用する。
(管轄違いと訴訟手続の効力)    条文別へ
第13条   訴訟手続は、
管轄違の理由によつては、
その効力を失わない。
(管轄違いと要急処分)    条文別へ
第14条  裁判所は、
管轄権を有しないときでも、
急速を要する場合には、

事実発見のため必要な処分をすることができる。
2項  前項の規定は、
受命裁判官にこれを準用する。
(管轄指定の請求)    条文別へ
第15条   検察官は、
左の場合には、
関係のある第一審裁判所に共通する直近上級の裁判所に
管轄指定の請求をしなければならない。
 裁判所の管轄区域が明らかでないため管轄裁判所が定まらないとき。
 管轄違を言い渡した裁判が確定した事件について他に管轄裁判所がないとき。
(同前−管轄指定の請求A)    条文別へ
第16条   法律による管轄裁判所がないとき、
又は これを知ることができないときは、

検事総長は、
最高裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。
(管轄移転の請求)    条文別へ
第17条  検察官は、
左の場合には、
直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。
 管轄裁判所が法律上の理由 又は 特別の事情により裁判権を行うことができないとき。
 地方の民心、訴訟の状況その他の事情により裁判の公平を維持することができない虞があるとき。
2項  前項各号の場合には、
被告人も
管轄移転の請求をすることができる。
(同前−管轄移転の請求A)    条文別へ
第18条   犯罪の性質、
地方の民心
その他の事情により
管轄裁判所が審判をするときは公安を害する虞があると認める場合には、

検事総長は、
最高裁判所に
管轄移転の請求をしなければならない。
(事件の移送)    条文別へ
第19条  裁判所は、
適当と認めるときは、
検察官 若しくは 被告人の請求により
又は 職権で、
決定を以て、
その管轄に属する事件を
事物管轄を同じくする他の管轄裁判所に
移送することができる。
2項  移送の決定は、
被告事件につき証拠調を開始した後は、
これをすることができない。
3項  移送の決定 又は 移送の請求を却下する決定に対しては、
その決定により著しく利益を害される場合に限り、
その事由を疎明して、
即時抗告をすることができる。
第2章 裁判所職員の除斥 及び 忌避    編章別条文→     ↑先頭へ
(除斥の原因)    条文別へ
第20条   裁判官は、
次に掲げる場合には、
職務の執行から除斥される。
 裁判官が被害者であるとき。
 裁判官が被告人 又は 被害者の親族であるとき、 又は あつたとき。
 裁判官が被告人 又は 被害者の法定代理人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人 又は 補助監督人であるとき。
 裁判官が事件について証人 又は 鑑定人となつたとき。
 裁判官が事件について被告人の代理人、弁護人 又は 補佐人となつたとき。
 裁判官が事件について検察官 又は 司法警察員の職務を行つたとき。
 裁判官が事件について第266条第2号の決定、略式命令、前審の裁判、第398条 乃至 第400条、第412条 若しくは 第413条の規定により差し戻し、 若しくは 移送された場合における原判決 又は これらの裁判の基礎となつた取調べに関与したとき。ただし、 受託裁判官として関与した場合はこの限りでない。
(忌避の原因、忌避申立権者)    条文別へ
第21条  裁判官が
職務の執行から除斥されるべきとき、
又は 不公平な裁判をする虞があるときは、

検察官 又は 被告人は、
これを忌避することができる。
2項  弁護人は、
被告人のため忌避の申立をすることができる。
但し 被告人の明示した意思に反することはできない。
(忌避申立ての時期)    条文別へ
第22条   事件について請求 又は 陳述をした後には、
不公平な裁判をする虞があることを理由として
裁判官を忌避することはできない。

但し 忌避の原因があることを知らなかつたとき、
又は 忌避の原因がその後に生じたときは、

この限りでない。
(忌避申立てに対する決定)    条文別へ
第23条  合議体の構成員である裁判官が忌避されたときは、
その裁判官所属の裁判所が、
決定をしなければならない。
この場合において、
その裁判所が地方裁判所であるときは、

合議体で決定をしなければならない。
2項  地方裁判所の一人の裁判官 又は 家庭裁判所の裁判官が忌避されたときは
その裁判官所属の裁判所が、
簡易裁判所の裁判官が忌避されたときは
管轄地方裁判所が、
合議体で決定をしなければならない。
ただし、 忌避された裁判官が忌避の申立てを理由があるものとするときは、
その決定があつたものとみなす。
3項  忌避された裁判官は、
前2項の決定に関与することができない。
4項  裁判所が
忌避された裁判官の退去により決定をすることができないときは、

直近上級の裁判所が、
決定をしなければならない。
(簡易却下手続)    条文別へ
第24条  訴訟を遅延させる目的のみでされたことの明らかな忌避の申立は、
決定で
これを却下しなければならない。

この場合には、
前条第3項の規定を適用しない。

第22条の規定に違反し、
又は 裁判所の規則で定める手続に違反してされた
忌避の申立を却下する場合も、

同様である。
2項  前項の場合には、
忌避された
受命裁判官、
地方裁判所の一人の裁判官
又は 家庭裁判所 若しくは 簡易裁判所の裁判官は、

忌避の申立てを却下する裁判をすることができる。
(即時抗告)    条文別へ
第25条   忌避の申立を却下する決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(裁判所書記官の除斥・忌避)    条文別へ
第26条  この章の規定は、
第20条第7号の規定を除いて、
裁判所書記にこれを準用する。
2項  決定は、
裁判所書記所属の裁判所が
これをしなければならない。

但し 第24条第1項の場合には、
裁判所書記の附属する受命裁判官が、
忌避の申立を却下する裁判をすることができる。
第3章 訴訟能力    編章別条文→     ↑先頭へ
(法人と訴訟行為の代表)    条文別へ
第27条  被告人 又は 被疑者が法人であるときは、
その代表者が、
訴訟行為についてこれを代表する。
2項  数人が共同して法人を代表する場合にも、
訴訟行為については、
各自が、
これを代表する。
(意思無能力者と訴訟行為の代理)    条文別へ
第28条   刑法第39条 又は 第41条の規定を適用しない罪に当たる事件について、
被告人 又は 被疑者が意思能力を有しないときは、

その法定代理人二人以上あるときは各自。以下同じ。)が、
訴訟行為についてこれを代理する。
(特別代理人)    条文別へ
第29条  前2条の規定により
被告人を代表し、 又は 代理する者がないときは、

検察官の請求により
又は 職権で、
特別代理人を選任しなければならない。
2項  前2条の規定により
被疑者を代表し、 又は 代理する者がない場合において、
検察官、司法警察員 又は 利害関係人の請求があつたときも、

前項と同様である。
3項  特別代理人は、
被告人 又は 被疑者を代表し 又は 代理して訴訟行為をする者ができるまで、
その任務を行う。
第4章 弁護 及び 補佐    編章別条文→     ↑先頭へ
(弁護人選任の時期、選任権者)    条文別へ
第30条  被告人 又は 被疑者は、
何時でも
弁護人を選任することができる。
2項  被告人 又は 被疑者の
法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族 及び 兄弟姉妹は、

独立して
弁護人を選任することができる。
(資格、特別弁護人)    条文別へ
第31条  弁護人は、
弁護士の中からこれを選任しなければならない。
2項  簡易裁判所 又は 地方裁判所においては、
裁判所の許可を得たときは、
弁護士でない者を弁護人に選任することができる。
ただし、 地方裁判所においては、
他に弁護士の中から選任された弁護人がある場合に限る。
(弁護人選任の申出)    条文別へ
第31条の2  弁護人を選任しようとする被告人 又は 被疑者は、
弁護士会に対し、
弁護人の選任の申出をすることができる。
2項  弁護士会は、
前項の申出を受けた場合は、
速やかに、
所属する弁護士の中から
弁護人となろうとする者を紹介しなければならない。
3項  弁護士会は、
前項の弁護人となろうとする者がないときは、
当該申出をした者に対し、
速やかに、
その旨を通知しなければならない。

同項の規定により紹介した弁護士が
被告人 又は 被疑者がした弁護人の選任の申込みを拒んだときも、

同様とする。
(選任の効力)    条文別へ
第32条  公訴の提起前にした弁護人の選任は、
第一審においてもその効力を有する。
2項  公訴の提起後における弁護人の選任は、
審級ごとにこれをしなければならない。
(主任弁護人)    条文別へ
第33条   被告人に数人の弁護人があるときは、
裁判所の規則で、
主任弁護人を定めなければならない。
(同前−主任弁護人A)    条文別へ
第34条   前条の規定による主任弁護人の権限については、
裁判所の規則の定めるところによる。
(弁護人の数の制限)    条文別へ
第35条   裁判所は、
裁判所の規則の定めるところにより、
被告人 又は 被疑者の弁護人の数を制限することができる。
但し 被告人の弁護人については、
特別の事情のあるときに限る。
(被告人の国選弁護)    条文別へ
第36条   被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、
裁判所は、
その請求により、
被告人のため弁護人を附しなければならない。

但し 被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、
この限りでない。
(資力申告書の提出)    条文別へ
第36条の2   この法律により弁護人を要する場合を除いて、
被告人が
前条の請求をするには、
資力申告書その者に属する現金、預金その他政令で定めるこれらに準ずる資産の合計額(以下「資力」という。) 及び その内訳を申告する書面をいう。以下同じ。)
を提出しなければならない。
(私選弁護人選任申出の前置)    条文別へ
第36条の3  この法律により弁護人を要する場合を除いて、
その資力が基準額標準的な必要生計費を勘案して一般に弁護人の報酬 及び 費用を賄うに足りる額として政令で定める額をいう。以下同じ。)
以上である被告人が
第36条の請求をするには、
あらかじめ、
その請求をする裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に
第31条の2第1項の申出をしていなければならない。
2項  前項の規定により第31条の2第1項の申出を受けた弁護士会は、
同条第3項の規定による通知をしたときは、
前項の地方裁判所 又は 当該被告事件が係属する裁判所に対し、
その旨を通知しなければならない。
(職権による選任)    条文別へ
第37条   左の場合に被告人に弁護人がないときは、
裁判所は、
職権で
弁護人を附することができる。
 被告人が未成年者であるとき。
 被告人が年齢70年以上の者であるとき。
 被告人が耳の聞えない者 又は 口のきけない者であるとき。
 被告人が心神喪失者 又は 心神耗弱者である疑があるとき。
 その他必要と認めるとき。
(被疑者の国選弁護)    条文別へ
第37条の2  死刑 又は 無期 若しくは 長期3年を超える懲役 若しくは 禁錮に当たる事件について
被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、
被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、

裁判官は、
その請求により、
被疑者のため弁護人を付さなければならない。

ただし、 被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合 又は 被疑者が釈放された場合は、
この限りでない。
2項  前項の請求は、
同項に規定する事件について勾留を請求された被疑者も、
これをすることができる。
(選任請求の手続)    条文別へ
第37条の3  前条第1項の請求をするには、
資力申告書を提出しなければならない。
2項  その資力が基準額以上である被疑者が
前条第1項の請求をするには、
あらかじめ、
その勾留の請求を受けた裁判官の所属する裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に
第31条の2第1項の申出をしていなければならない。
3項  前項の規定により第31条の2第1項の申出を受けた弁護士会は、
同条第3項の規定による通知をしたときは、
前項の地方裁判所に対し、
その旨を通知しなければならない。
(職権による選任)    条文別へ
第37条の4   裁判官は、
第37条の2第1項に規定する事件について被疑者に対して勾留状が発せられ、
かつ、 これに弁護人がない場合において、
精神上の障害その他の事由により弁護人を必要とするかどうかを判断することが困難である疑いがある被疑者について必要があると認めるときは、

職権で
弁護人を付することができる。

ただし、 被疑者が釈放された場合は、
この限りでない。
(複数の弁護人の選任)    条文別へ
第37条の5   裁判官は、
死刑 又は 無期の懲役 若しくは 禁錮に当たる事件について
第37条の2第1項 又は 前条の規定により弁護人を付する場合 又は 付した場合において、
特に必要があると認めるときは、

職権で
更に弁護人一人を付することができる。

ただし、 被疑者が釈放された場合は、
この限りでない。
(選任資格、旅費の請求)    条文別へ
第38条  この法律の規定に基づいて
裁判所 若しくは 裁判長 又は 裁判官が付すべき弁護人は、

弁護士の中からこれを選任しなければならない。
2項  前項の規定により選任された弁護人は、
旅費、日当、宿泊料 及び 報酬を請求することができる。
(選任の効力の終期)    条文別へ
第38条の2   裁判官による弁護人の選任は、
被疑者がその選任に係る事件について釈放されたときは、
その効力を失う。
ただし、 その釈放が勾留の執行停止によるときは、
この限りでない。
(弁護人の解任)    条文別へ
第38条の3  裁判所は、
次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、
裁判所 若しくは 裁判長 又は 裁判官が付した弁護人を
解任することができる。
 第30条の規定により弁護人が選任されたことその他の事由により弁護人を付する必要がなくなつたとき。
 被告人と弁護人との利益が相反する状況にあり弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。
 心身の故障その他の事由により、弁護人が職務を行うことができず、 又は 職務を行うことが困難となつたとき。
 弁護人がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当でないとき。
 弁護人に対する暴行、脅迫その他の被告人の責めに帰すべき事由により弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。
2項  弁護人を解任するには、
あらかじめ、
その意見を聴かなければならない。
3項  弁護人を解任するに当たつては、
被告人の権利を不当に制限することがないようにしなければならない。
4項  公訴の提起前は、
裁判官が付した弁護人の解任は、
裁判官が
これを行う。
この場合においては、
前3項の規定を準用する。
(虚偽の資力申告書の提出に対する制度)    条文別へ
第38条の4   裁判所 又は 裁判官の判断を誤らせる目的で、
その資力について虚偽の記載のある資力申告書を提出した者は、

10万円以下の過料に処する。
(被告人・被疑者との接見交通)    条文別へ
第39条  身体の拘束を受けている被告人 又は 被疑者は、
弁護人 又は 弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者弁護士でない者にあつては第31条第2項の許可があつた後に限る。
立会人なくして
接見し、 又は 書類 若しくは 物の授受をすることができる。
2項  前項の接見 又は 授受については、
法令裁判所の規則を含む。以下同じ。)で、
被告人 又は 被疑者の逃亡、罪証の隠滅 又は 戒護に支障のある物の授受を防ぐため

必要な措置を規定することができる。
3項  検察官、検察事務官 又は 司法警察職員司法警察員 及び 司法巡査をいう。以下同じ。)は、
捜査のため必要があるときは、
公訴の提起前に限り、
第1項の接見 又は 授受に関し、
その日時、場所 及び 時間を指定することができる。

但し その指定は、
被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。
(書類・証拠物の閲覧・謄写)    条文別へ
第40条  弁護人は、
公訴の提起後は、
裁判所において、
訴訟に関する書類 及び 証拠物を
閲覧し、 且つ 謄写することができる。

但し 証拠物を謄写するについては、
裁判長の許可を受けなければならない。
2項  前項の規定にかかわらず、
第157条の4第3項に規定する記録媒体は、
謄写することができない。
(独立行為権)    条文別へ
第41条   弁護人は、
この法律に特別の定のある場合に限り、
独立して
訴訟行為をすることができる。
(補佐人)    条文別へ
第42条  被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族 及び 兄弟姉妹は、
何時でも補佐人となることができる。
2項  補佐人となるには、
審級ごとにその旨を届け出なければならない。
3項  補佐人は、
被告人の明示した意思に反しない限り、
被告人がすることのできる訴訟行為をすることができる。
但し この法律に特別の定のある場合は、
この限りでない。
第5章 裁判    編章別条文→     ↑先頭へ
(判決、決定・命令)    条文別へ
第43条  判決は、
この法律に特別の定のある場合を除いては、
口頭弁論に基いてこれをしなければならない。
2項  決定 又は 命令は、
口頭弁論に基いてこれをすることを要しない。
3項  決定 又は 命令をするについて必要がある場合には、
事実の取調をすることができる。
4項  前項の取調は、
合議体の構成員にこれをさせ、
又は 地方裁判所、家庭裁判所 若しくは 簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。
(裁判の理由)    条文別へ
第44条  裁判には、
理由を附しなければならない。
2項  上訴を許さない決定 又は 命令には、
理由を附することを要しない。
但し 第428条第2項の規定により異議の申立をすることができる決定については、
この限りでない。
(判事補の権限)    条文別へ
第45条   判決以外の裁判は、
判事補が
一人でこれをすることができる。
(謄本の請求)    条文別へ
第46条   被告人その他訴訟関係人は、
自己の費用で、
裁判書 又は 裁判を記載した調書の
謄本 又は 抄本の交付を請求することができる。
第6章 書類 及び 送達    編章別条文→     ↑先頭へ
(訴訟書類の非公開)    条文別へ
第47条   訴訟に関する書類は、
公判の開廷前には、
これを公にしてはならない。
但し 公益上の必要その他の事由があつて、
相当と認められる場合は、

この限りでない。
(公判調書の作成、整理)    条文別へ
第48条  公判期日における訴訟手続については、
公判調書を作成しなければならない。
2項  公判調書には、
裁判所の規則の定めるところにより、
公判期日における審判に関する重要な事項を記載しなければならない。
3項  公判調書は、
各公判期日後
速かに、
遅くとも判決を宣告するまでに
これを整理しなければならない。

ただし、 判決を宣告する公判期日の調書は
当該公判期日後7日以内に、
公判期日から判決を宣告する日までの期間が10日に満たない場合における
当該公判期日の調書は
当該公判期日後10日以内
判決を宣告する日までの期間が3日に満たないときは当該判決を宣告する公判期日後7日以内に、
整理すれば足りる。
(被告人の公判調書閲覧権)    条文別へ
第49条   被告人に弁護人がないときは、
公判調書は、
裁判所の規則の定めるところにより、
被告人も、
これを閲覧することができる。

被告人は、
読むことができないとき、 又は 目の見えないときは、
公判調書の朗読を求めることができる。
(公判調書の未整理と当事者の権利)    条文別へ
第50条  公判調書が次回の公判期日までに整理されなかつたときは、
裁判所書記は、
検察官、被告人 又は 弁護人の請求により、
次回の公判期日において 又は その期日までに、
前回の公判期日における証人の供述の要旨を告げなければならない。

この場合において、
請求をした検察官、被告人 又は 弁護人が
証人の供述の要旨の正確性につき異議を申し立てたときは、

その旨を調書に記載しなければならない。
2項  被告人 及び 弁護人の出頭なくして開廷した公判期日の公判調書が、
次回の公判期日までに整理されなかつたときは、

裁判所書記は、
次回の公判期日において 又は その期日までに、
出頭した被告人 又は 弁護人に
前回の公判期日における審理に関する重要な事項を告げなければならない。
(公判調書の記載に対する異議申立て)    条文別へ
第51条  検察官、被告人 又は 弁護人は、
公判調書の記載の正確性につき
異議を申し立てることができる。

異議の申立があつたときは、
その旨を調書に記載しなければならない。
2項  前項の異議の申立ては、
遅くとも当該審級における最終の公判期日後14日以内に
これをしなければならない。

ただし、 第48条第3項ただし書の規定により
判決を宣告する公判期日後に整理された調書については、

整理ができた日から14日以内に
これをすることができる。
(公判調書の証明力)    条文別へ
第52条   公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されたものは、
公判調書のみによつて
これを証明することができる。
(訴訟記録の公開)    条文別へ
第53条  何人も、
被告事件の終結後、
訴訟記録を閲覧することができる。
但し 訴訟記録の保存
又は 裁判所 若しくは 検察庁の事務に支障のあるときは、

この限りでない。
2項  弁論の公開を禁止した事件の訴訟記録
又は 一般の閲覧に適しないものとしてその閲覧が禁止された訴訟記録は、

前項の規定にかかわらず、
訴訟関係人
又は 閲覧につき正当な理由があつて特に訴訟記録の保管者の許可を受けた者でなければ、

これを閲覧することができない。
3項  日本国憲法第82条第2項但書に掲げる事件については、
閲覧を禁止することはできない。
4項  訴訟記録の保管 及び その閲覧の手数料については、
別に法律でこれを定める。
(情報公開法等の適用除外)    条文別へ
第53条の2  訴訟に関する書類 及び 押収物については、
行政機関の保有する情報の公開に関する法律
及び 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の規定は、
適用しない。
2項  訴訟に関する書類 及び 押収物に記録されている個人情報については、
行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第4章
及び 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律第4章の規定は、
適用しない。
3項  訴訟に関する書類については、
公文書等の管理に関する法律第2章の規定は、
適用しない。
この場合において、
訴訟に関する書類についての同法第4章の規定の適用については、
同法第14条第1項中「国の機関行政機関を除く。以下この条において同じ。)」とあり、
及び 同法第16条第1項第3号中「国の機関
行政機関を除く。)」とあるのは、
「国の機関」とする。
4項  押収物については、
公文書等の管理に関する法律の規定は、
適用しない。
(送達)    条文別へ
第54条   書類の送達については、
裁判所の規則に特別の定のある場合を除いては、
民事訴訟に関する法令の規定公示送達に関する規定を除く。を準用する。
第7章 期間    編章別条文→     ↑先頭へ
(期間の計算)    条文別へ
第55条  期間の計算については、
時で計算するものは、
即時からこれを起算し、
日、月 又は 年で計算するものは、
初日を算入しない。
但し 時効期間の初日は、
時間を論じないで1日としてこれを計算する。
2項   及び 年は、
暦に従つてこれを計算する。
3項  期間の末日が
日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、1月2日、1月3日 又は 12月29日から12月31日までの日に当たるときは、
これを期間に算入しない。
ただし、 時効期間については、
この限りでない。
(法定期間の延長)    条文別へ
第56条  法定の期間は、
裁判所の規則の定めるところにより、
訴訟行為をすべき者の住居 又は 事務所の所在地と裁判所 又は 検察庁の所在地との距離 及び 交通通信の便否に従い、

これを延長することができる。
2項  前項の規定は、
宣告した裁判に対する上訴の提起期間には、
これを適用しない。
第8章 被告人の召喚、勾引 及び 勾留    編章別条文→     ↑先頭へ
(召喚)    条文別へ
第57条   裁判所は、
裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、
被告人を召喚することができる。
(勾引)    条文別へ
第58条   裁判所は、
次の場合には、
被告人を勾引することができる。
 被告人が定まつた住居を有しないとき。
 被告人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、 又は 応じないおそれがあるとき。
(勾引の効力)    条文別へ
第59条   勾引した被告人は、
裁判所に引致した時から24時間以内に
これを釈放しなければならない。

但し その時間内に勾留状が発せられたときは、
この限りでない。
(勾留の理由、期間・期間の更新)    条文別へ
第60条  裁判所は、
被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、
左の各号の一にあたるときは、

これを勾留することができる。
 被告人が定まつた住居を有しないとき。
 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 被告人が逃亡し 又は 逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
2項  勾留の期間は、
公訴の提起があつた日から2箇月とする。
特に継続の必要がある場合においては、
具体的にその理由を附した決定で、
1箇月ごとにこれを更新することができる。

但し 第89条第1号、第3号、第4号 又は 第6号にあたる場合を除いては、
更新は、
1回に限るものとする。
3項  30万円刑法、暴力行為等処罰に関する法律 及び 経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については当分の間、2万円以下の罰金、拘留 又は 科料に当たる事件については、
被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、
第1項の規定を適用する。
(勾留と被告事件の告知)    条文別へ
第61条   被告人の勾留は、
被告人に対し被告事件を告げ
これに関する陳述を聴いた後でなければ、

これをすることができない。
但し 被告人が逃亡した場合は、
この限りでない。
(令状)    条文別へ
第62条   被告人の召喚、勾引 又は 勾留は、
召喚状、勾引状 又は 勾留状を発して
これをしなければならない。
(召喚の方式)    条文別へ
第63条   召喚状には、
被告人の氏名 及び 住居、
罪名、
出頭すべき年月日時
及び 場所
並びに 正当な理由がなく出頭しないときは勾引状を発することがある旨
その他裁判所の規則で定める事項
を記載し、
裁判長 又は 受命裁判官が、
これに記名押印しなければならない。
(勾引状・勾留状の方式)    条文別へ
第64条  勾引状 又は 勾留状には、
被告人の氏名 及び 住居、
罪名、
公訴事実の要旨、
引致すべき場所 又は 勾留すべき刑事施設、
有効期間
及び その期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨
並びに 発付の年月日
その他裁判所の規則で定める事項
を記載し、
裁判長 又は 受命裁判官が、
これに記名押印しなければならない。
2項  被告人の氏名が明らかでないときは、
人相、体格その他被告人を特定するに足りる事項で
被告人を指示することができる。
3項  被告人の住居が明らかでないときは、
これを記載することを要しない。
(召喚の手続)    条文別へ
第65条  召喚状は、
これを送達する。
2項  被告人から期日に出頭する旨を記載した書面を差し出し、
又は 出頭した被告人に対し口頭で次回の出頭を命じたときは、

召喚状を送達した場合と同一の効力を有する。
口頭で出頭を命じた場合には、
その旨を調書に記載しなければならない。
3項  裁判所に近接する刑事施設にいる被告人に対しては、
刑事施設職員刑事施設の長 又は その指名する刑事施設の職員をいう。以下同じ。)
に通知して
これを召喚することができる。
この場合には、
被告人が刑事施設職員から通知を受けた時に
召喚状の送達があつたものとみなす。
(勾引の嘱託)    条文別へ
第66条  裁判所は、
被告人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所 又は 簡易裁判所の裁判官に
被告人の勾引を嘱託することができる。
2項  受託裁判官は、
受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所 又は 簡易裁判所の裁判官に
転嘱することができる。
3項  受託裁判官は、
受託事項について権限を有しないときは、
受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所 又は 簡易裁判所の裁判官に
嘱託を移送することができる。
4項  嘱託 又は 移送を受けた裁判官は、
勾引状を発しなければならない。
5項  第64条の規定は、
前項の勾引状についてこれを準用する。
この場合においては、
勾引状に
嘱託によつてこれを発する旨を記載しなければならない。
(嘱託による勾引の手続)    条文別へ
第67条  前条の場合には、
嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、
被告人を引致した時から24時間以内に
その人違でないかどうかを取り調べなければならない。
2項  被告人が人違でないときは、
速やかに 且つ 直接
これを指定された裁判所に送致しなければならない。

この場合には、
嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、
被告人が指定された裁判所に到着すべき期間を定めなければならない。
3項  前項の場合には、
第59条の期間は、
被告人が指定された裁判所に到着した時から
これを起算する。
(出頭命令・同行命令・勾引)    条文別へ
第68条   裁判所は、
必要があるときは、
指定の場所に被告人の出頭 又は 同行を命ずることができる。
被告人が正当な理由がなくこれに応じないときは、
その場所に勾引することができる。
この場合には、
第59条の期間は、
被告人をその場所に引致した時から
これを起算する。
(裁判長の権限)    条文別へ
第69条   裁判長は、
急速を要する場合には、
第57条 乃至 第62条、
第65条、
第66条
及び 前条に規定する処分をし、
又は 合議体の構成員にこれをさせることができる。
(勾引状・勾留状の執行)    条文別へ
第70条  勾引状 又は 勾留状は、
検察官の指揮によつて、
検察事務官 又は 司法警察職員がこれを執行する。
但し 急速を要する場合には、
裁判長、受命裁判官 又は 地方裁判所、家庭裁判所 若しくは 簡易裁判所の裁判官は、
その執行を指揮することができる。
2項  刑事施設にいる被告人に対して発せられた勾留状は、
検察官の指揮によつて、
刑事施設職員がこれを執行する。
(勾引状・勾留状の管轄区域外における執行・執行の嘱託)    条文別へ
第71条   検察事務官 又は 司法警察職員は、
必要があるときは、
管轄区域外で、
勾引状 若しくは 勾留状を執行し、
又は その地の検察事務官 若しくは 司法警察職員にその執行を求めることができる。
(被告人の捜査・勾引状・勾留状の執行の嘱託)    条文別へ
第72条  被告人の現在地が判らないときは、
裁判長は、
検事長に
その捜査 及び 勾引状 又は 勾留状の執行を嘱託することができる。
2項  嘱託を受けた検事長は、
その管内の検察官に
捜査 及び 勾引状 又は 勾留状の執行の手続をさせなければならない。
(勾引状・勾留状執行の手続)    条文別へ
第73条  勾引状を執行するには、
これを被告人に示した上、
できる限り速やかに 且つ 直接、
指定された裁判所その他の場所に引致しなければならない。

第66条第4項の勾引状については、
これを発した裁判官に引致しなければならない。
2項  勾留状を執行するには、
これを被告人に示した上、
できる限り速やかに、 かつ、 直接、
指定された刑事施設に
引致しなければならない。
3項  勾引状 又は 勾留状を所持しないため
これを示すことができない場合において、
急速を要するときは、

前2項の規定にかかわらず、
被告人に対し
公訴事実の要旨
及び 令状が発せられている旨を告げて、

その執行をすることができる。
但し 令状は、
できる限り速やかにこれを示さなければならない。
(護送中の仮留置)    条文別へ
第74条   勾引状 又は 勾留状の執行を受けた被告人を護送する場合において
必要があるときは、

仮に
最寄りの刑事施設に
これを留置することができる。
(勾引された被告人の留置)    条文別へ
第75条   勾引状の執行を受けた被告人を引致した場合において
必要があるときは、

これを刑事施設に留置することができる。
(勾引された被告人と公訴事実・弁護人選任権の告知)    条文別へ
第76条  被告人を勾引したときは、
直ちに被告人に対し、
公訴事実の要旨 及び 弁護人を選任することができる旨
並びに 貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨
を告げなければならない。

ただし、 被告人に弁護人があるときは、
公訴事実の要旨を告げれば足りる。
2項  前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、
弁護士、弁護士法人 又は 弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨
及び その申出先を教示しなければならない。
3項  第1項の告知 及び 前項の教示は、
合議体の構成員 又は 裁判所書記官にこれをさせることができる。
4項  第66条第4項の規定により勾引状を発した場合には、
第1項の告知 及び 第2項の教示は、
その勾引状を発した裁判官がこれをしなければならない。
ただし、 裁判所書記官にその告知 及び 教示をさせることができる。
(勾留と弁護人選任権等の告知)    条文別へ
第77条  被告人を勾留するには、
被告人に対し、
弁護人を選任することができる旨
及び 貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨
を告げなければならない。

ただし、 被告人に弁護人があるときは、
この限りでない。
2項  前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、
勾留された被告人は
弁護士、弁護士法人 又は 弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる
及び その申出先を教示しなければならない。
3項  第61条ただし書の場合には、
被告人を勾留した後直ちに、
第1項に規定する事項 及び 公訴事実の要旨を告げるとともに、
前項に規定する事項を教示しなければならない。

ただし、 被告人に弁護人があるときは、
公訴事実の要旨を告げれば足りる。
4項  前条第3項の規定は、
第1項の告知、第2項の教示 並びに 前項の告知 及び 教示についてこれを準用する。
(弁護人選任の申出)    条文別へ
第78条  勾引 又は 勾留された被告人は、
裁判所 又は 刑事施設の長 若しくは その代理者に
弁護士、弁護士法人 又は 弁護士会を指定して
弁護人の選任を申し出ることができる。

ただし、 被告人に弁護人があるときは、
この限りでない。
2項  前項の申出を受けた裁判所 又は 刑事施設の長 若しくは その代理者は、
直ちに被告人の指定した弁護士、弁護士法人 又は 弁護士会に
その旨を通知しなければならない。

被告人が二人以上の弁護士 又は 二以上の弁護士法人 若しくは 弁護士会を指定して前項の申出をしたときは、
そのうちの一人の弁護士 又は 一の弁護士法人 若しくは 弁護士会にこれを通知すれば
足りる。
(勾留と弁護人等への通知)    条文別へ
第79条   被告人を勾留したときは、
直ちに
弁護人に
その旨を通知しなければならない。

被告人に弁護人がないときは、
被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族 及び 兄弟姉妹のうち
被告人の指定する者一人に
その旨を通知しなければならない。
(勾留と接見交通)    条文別へ
第80条   勾留されている被告人は、
第39条第1項に規定する者以外の者と、
法令の範囲内で、
接見し、 又は 書類 若しくは 物の授受をすることができる。
勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、
同様である。
(接見交通の制限)    条文別へ
第81条   裁判所は、
逃亡し 又は 罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、
検察官の請求により
又は 職権で、
勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、
又は これと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、 若しくは これを差し押えることができる。

但し 糧食の授受を禁じ、
又は これを差し押えることはできない。
(勾留理由開示の請求)    条文別へ
第82条  勾留されている被告人は、
裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。
2項  勾留されている被告人の
弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も、

前項の請求をすることができる。
3項  前2項の請求は、
保釈、勾留の執行停止 若しくは 勾留の取消があつたとき、
又は 勾留状の効力が消滅したときは、

その効力を失う。
(勾留の理由の開示)    条文別へ
第83条  勾留の理由の開示は、
公開の法廷でこれをしなければならない。
2項  法廷は、
裁判官 及び 裁判所書記が列席して
これを開く。
3項  被告人 及び その弁護人が出頭しないときは、
開廷することはできない。
但し 被告人の出頭については、
被告人が病気その他やむを得ない事由によつて出頭することができず
且つ 被告人に異議がないとき、

弁護人の出頭については、
被告人に異議がないときは、
この限りでない。
(同前−勾留の理由の開示A)    条文別へ
第84条  法廷においては、
裁判長は、
勾留の理由を告げなければならない。
2項  検察官 又は 被告人 及び 弁護人 並びに これらの者以外の請求者は、
意見を述べることができる。
但し 裁判長は、
相当と認めるときは、
意見の陳述に代え
意見を記載した書面を差し出すべきことを命ずることができる。
(同前−勾留の理由の開示B)    条文別へ
第85条   勾留の理由の開示は、
合議体の構成員にこれをさせることができる。
(同前−勾留の理由の開示C)    条文別へ
第86条   同一の勾留について
第82条の請求が二以上ある場合には、

勾留の理由の開示は、
最初の請求についてこれを行う。
その他の請求は、
勾留の理由の開示が終つた後、
決定で
これを却下しなければならない。
(勾留の取消し)    条文別へ
第87条  勾留の理由 又は 勾留の必要がなくなつたときは、
裁判所は、
検察官、勾留されている被告人 若しくは その弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族 若しくは 兄弟姉妹の請求により、
又は 職権で、
決定を以て
勾留を取り消さなければならない。
2項  第82条第3項の規定は、
前項の請求についてこれを準用する。
(保釈の請求)    条文別へ
第88条  勾留されている被告人
又は その弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族 若しくは 兄弟姉妹は、

保釈の請求をすることができる。
2項  第82条第3項の規定は、
前項の請求についてこれを準用する。
(必要的保釈)    条文別へ
第89条   保釈の請求があつたときは、
次の場合を除いては、
これを許さなければならない。
 被告人が死刑 又は 無期 若しくは 短期1年以上の懲役 若しくは 禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
 被告人が前に死刑 又は 無期 若しくは 長期10年を超える懲役 若しくは 禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
 被告人が常習として長期3年以上の懲役 又は 禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者 若しくは その親族の身体 若しくは 財産に害を加え 又は これらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 被告人の氏名 又は 住居が分からないとき。
(職権保釈)    条文別へ
第90条   裁判所は、
保釈された場合に被告人が逃亡し 又は 罪証を隠滅するおそれの程度のほか、
身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上 又は 防御の準備上の不利益の程度
その他の事情を考慮し、
適当と認めるときは、

職権で
保釈を許すことができる。
(不当に長い拘禁と勾留の取消し・保釈)    条文別へ
第91条  勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、
裁判所は、
第88条に規定する者の請求により、
又は 職権で、
決定を以て
勾留を取り消し、 又は 保釈を許さなければならない。
2項  第82条第3項の規定は、
前項の請求についてこれを準用する。
(保釈と検察官の意見)    条文別へ
第92条  裁判所は、
保釈を許す決定 又は 保釈の請求を却下する決定をするには、
検察官の意見を聴かなければならない。
2項  検察官の請求による場合を除いて、
勾留を取り消す決定をするときも、
前項と同様である。
但し 急速を要する場合は、
この限りでない。
(保証金額、保釈の条件)    条文別へ
第93条  保釈を許す場合には、
保証金額を定めなければならない。
2項  保証金額は、
犯罪の性質 及び 情状、
証拠の証明力
並びに 被告人の性格 及び 資産を考慮して、

被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。
3項  保釈を許す場合には、
被告人の住居を制限し
その他適当と認める条件を附することができる。
(保釈の手続)    条文別へ
第94条  保釈を許す決定は、
保証金の納付があつた後でなければ、
これを執行することができない。
2項  裁判所は、
保釈請求者でない者に
保証金を納めることを許すことができる。
3項  裁判所は、
有価証券 又は 裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て
保証金に代えることを許すことができる。
(勾留の執行停止)    条文別へ
第95条   裁判所は、
適当と認めるときは、
決定で、
勾留されている被告人を
親族、保護団体その他の者に委託し、
又は 被告人の住居を制限して、
勾留の執行を停止することができる。
(保釈等の取消し、保証金の没収)    条文別へ
第96条  裁判所は、
左の各号の一にあたる場合には、
検察官の請求により、
又は 職権で、
決定を以て
保釈 又は 勾留の執行停止を取り消すことができる。
 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
 被告人が逃亡し 又は 逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 被告人が罪証を隠滅し 又は 罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者 若しくは その親族の身体 若しくは 財産に害を加え 若しくは 加えようとし、 又は これらの者を畏怖させる行為をしたとき。
 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
2項  保釈を取り消す場合には、
裁判所は、
決定で
保証金の全部 又は 一部を没取することができる。
3項  保釈された者が
刑の言渡を受けその判決が確定した後
執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、 又は 逃亡したときは、

検察官の請求により、
決定で
保証金の全部 又は 一部を没取しなければならない。
(上訴と勾留に関する決定)    条文別へ
第97条  上訴の提起期間内の事件でまだ上訴の提起がないものについて、
勾留の期間を更新し、勾留を取り消し、 又は 保釈 若しくは 勾留の執行停止をし、 若しくは これを取り消すべき場合には、

原裁判所が、
その決定をしなければならない。
2項  上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していないものについて
前項の決定をすべき裁判所は、

裁判所の規則の定めるところによる。
3項  前2項の規定は、
勾留の理由の開示をすべき場合に
これを準用する。
(保釈の取消し等と収容の手続)    条文別へ
第98条  保釈 若しくは 勾留の執行停止を取り消す決定があつたとき、
又は 勾留の執行停止の期間が満了したときは、

検察事務官、司法警察職員 又は 刑事施設職員は、
検察官の指揮により、
勾留状の謄本
及び 保釈 若しくは 勾留の執行停止を取り消す決定の謄本
又は 期間を指定した勾留の執行停止の決定の謄本
を被告人に示して
これを刑事施設に収容しなければならない。
2項  前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合において、
急速を要するときは、

同項の規定にかかわらず、
検察官の指揮により、
被告人に対し保釈 若しくは 勾留の執行停止が取り消された旨
又は 勾留の執行停止の期間が満了した旨を告げて、

これを刑事施設に収容することができる。
ただし、 その書面は、
できる限り速やかにこれを示さなければならない。
3項  第71条の規定は、
前2項の規定による収容についてこれを準用する。
第9章 押収 及び 捜索    編章別条文→     ↑先頭へ
(差押え、提出命令)    条文別へ
第99条  裁判所は、
必要があるときは、
証拠物 又は 没収すべき物と思料するものを差し押えることができる。
但し 特別の定のある場合は、
この限りでない。
2項  差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、
当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、
当該電子計算機で作成 若しくは 変更をした電磁的記録
又は 当該電子計算機で変更 若しくは 消去をすることができることとされている電磁的記録
を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、
その電磁的記録を
当該電子計算機 又は 他の記録媒体に複写した上、
当該電子計算機 又は 当該他の記録媒体を差し押さえることができる。
3項  裁判所は、
差し押えるべき物を指定し、
所有者、所持者 又は 保管者に
その物の提出を命ずることができる。
(記録命令付差押え)    条文別へ
第99条の2   裁判所は、
必要があるときは、
記録命令付差押え電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、 又は 印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。以下同じ。)
をすることができる。
(郵便物等の押収)    条文別へ
第100条  裁判所は、
被告人から発し、 又は 被告人に対して発した
郵便物、信書便物 又は 電信に関する書類で
法令の規定に基づき通信事務を取り扱う者が
保管し、 又は 所持するものを
差し押え、 又は 提出させることができる。
2項  前項の規定に該当しない郵便物、信書便物 又は 電信に関する書類で
法令の規定に基づき通信事務を取り扱う者が
保管し、 又は 所持するものは、

被告事件に関係があると認めるに足りる状況のあるものに限り、
これを差し押え、 又は 提出させることができる。
3項  前2項の規定による処分をしたときは、
その旨を発信人 又は 受信人に通知しなければならない。
但し 通知によつて審理が妨げられる虞がある場合は、
この限りでない。
(領置)    条文別へ
第101条   被告人その他の者が遺留した物
又は 所有者、所持者 若しくは 保管者が任意に提出した物は、

これを領置することができる。
(捜索)    条文別へ
第102条  裁判所は、
必要があるときは、
被告人の身体、物 又は 住居その他の場所に就き、
捜索をすることができる。
2項  被告人以外の者の身体、物 又は 住居その他の場所については、
押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り、
捜索をすることができる。
(公務上秘密と押収)    条文別へ
第103条   公務員 又は 公務員であつた者が
保管し、 又は 所持する物について、
本人 又は 当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、

当該監督官庁の承諾がなければ、
押収をすることはできない。
但し 当該監督官庁は、
国の重大な利益を害する場合を除いては、
承諾を拒むことができない。
(同前−公務上秘密と押収A)    条文別へ
第104条  左に掲げる者が前条の申立をしたときは、
第1号に掲げる者についてはその院、
第2号に掲げる者については内閣の承諾がなければ、
押収をすることはできない。
 衆議院 若しくは 参議院の議員 又は その職に在つた者
 内閣総理大臣その他の国務大臣 又は その職に在つた者
2項  前項の場合において、
衆議院、参議院 又は 内閣は、
国の重大な利益を害する場合を除いては、
承諾を拒むことができない。
(業務上秘密と押収)    条文別へ
第105条   医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士外国法事務弁護士を含む。、弁理士、公証人、宗教の職に在る者 又は これらの職に在つた者は、
業務上委託を受けたため、
保管し、 又は 所持する物で
他人の秘密に関するものについては、

押収を拒むことができる。

但し 本人が承諾した場合、
押収の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合
(被告人が本人である場合を除く。)
その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、
この限りでない。
(令状)    条文別へ
第106条   公判廷外における差押え、
記録命令付差押え
又は 捜索
は、

差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状を発して
これをしなければならない。
(差押状・捜索状の方式)    条文別へ
第107条  差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状には、

被告人の氏名、
罪名、
差し押さえるべき物、
記録させ 若しくは 印刷させるべき電磁的記録
及び これを記録させ 若しくは 印刷させるべき者
又は 捜索すべき
場所、
身体
若しくは 物、
有効期間
及び その期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨
並びに 発付の年月日
その他裁判所の規則で定める事項を記載し、
裁判長が、
これに記名押印しなければならない。
2項  第99条第2項の規定による処分をするときは、
前項の差押状に、
同項に規定する事項のほか、
差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、
その電磁的記録を複写すべきものの範囲
を記載しなければならない。
3項  第64条第2項の規定は、
第1項の差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状についてこれを準用する。
(差押状・捜索状の執行)    条文別へ
第108条  差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状は、

検察官の指揮によつて、
検察事務官 又は 司法警察職員がこれを執行する。
ただし、 裁判所が被告人の保護のため必要があると認めるときは、
裁判長は、
裁判所書記官 又は 司法警察職員にその執行を命ずることができる。
2項  裁判所は、
差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状の執行に関し、
その執行をする者に対し

書面で
適当と認める指示をすることができる。
3項  前項の指示は、
合議体の構成員にこれをさせることができる。
4項  第71条の規定は、
差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状の執行についてこれを準用する。
(執行の補助)    条文別へ
第109条   検察事務官 又は 裁判所書記官は、
差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状の執行について必要があるときは、

司法警察職員に補助を求めることができる。
(執行の方式)    条文別へ
第110条   差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状は、

処分を受ける者にこれを示さなければならない。
(電磁的記録に係る記録媒体の差押えに代わる処分)    条文別へ
第110条の2   差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、
差押状の執行をする者は、
その差押えに代えて
次に掲げる処分をすることができる。

公判廷で差押えをする場合も、
同様である。
 差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写し、印刷し、 又は 移転した上、当該他の記録媒体を差し押さえること。
 差押えを受ける者に差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写させ、印刷させ、 又は 移転させた上、当該他の記録媒体を差し押さえること。
(押収捜索と必要な処分)    条文別へ
第111条  差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状の執行については、

錠をはずし、
封を開き、
その他必要な処分をすることができる。

公判廷で
差押え、
記録命令付差押え 又は 捜索をする場合も、

同様である。
2項  前項の処分は、
押収物についても、
これをすることができる。
(協力の要請)    条文別へ
第111条の2   差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、
差押状 又は 捜索状の執行をする者は、
処分を受ける者に対し、
電子計算機の操作
その他の必要な協力を求めることができる。

公判廷で差押え 又は 捜索をする場合も、
同様である。
(執行中の出入禁止)    条文別へ
第112条  差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状の執行中は、

何人に対しても、
許可を得ないでその場所に出入りすることを禁止することができる。
2項  前項の禁止に従わない者は、
これを退去させ、
又は 執行が終わるまでこれに看守者を付することができる。
(当事者の立会い)    条文別へ
第113条  検察官、
被告人
又は 弁護人は、

差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状の執行に
立ち会うことができる。

ただし、 身体の拘束を受けている被告人は、
この限りでない。
2項  差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状の執行をする者は、

あらかじめ、
執行の日時 及び 場所を
前項の規定により立ち会うことができる者に通知しなければならない。

ただし、 これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない意思を明示した場合
及び 急速を要する場合は、

この限りでない。
3項  裁判所は、
差押状 又は 捜索状の執行について必要があるときは、
被告人をこれに立ち会わせることができる。
(責任者の立会い)    条文別へ
第114条  公務所内で
差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状の執行をするときは、

その長 又は これに代わるべき者に通知して
その処分に立ち会わせなければならない。
2項  前項の規定による場合を除いて、
人の住居
又は 人の看守する邸宅、建造物 若しくは 船舶内で
差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状の執行をするときは、

住居主 若しくは 看守者
又は これらの者に代わるべき者を
これに立ち会わせなければならない。

これらの者を立ち会わせることができないときは、
隣人 又は 地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。
(女子の身体の捜索と立会い)    条文別へ
第115条   女子の身体について捜索状の執行をする場合には、
成年の女子をこれに立ち会わせなければならない。
但し 急速を要する場合は、
この限りでない。
(時刻の制限)    条文別へ
第116条  日出前、日没後には、
令状に夜間でも執行することができる旨の記載がなければ、
差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状の執行のため、
人の住居 又は 人の看守する邸宅、
建造物 若しくは 船舶内に入ることはできない。
2項  日没前に
差押状、記録命令付差押状 又は 捜索状の執行に着手したときは、

日没後でも、
その処分を継続することができる。
(時刻の制限の例外)    条文別へ
第117条   次に掲げる場所
差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状の執行
をするについては、

前条第1項に規定する制限によることを要しない。
 賭博、富くじ 又は 風俗を害する行為に常用されるものと認められる場所
 旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入りすることができる場所。ただし、 公開した時間内に限る。
(執行の中止と必要な処分)    条文別へ
第118条   差押状、
記録命令付差押状
又は 捜索状の執行を
中止する場合において
必要があるときは、

執行が終わるまで
その場所を閉鎖し、
又は 看守者を置くことができる。
(証明書の交付)    条文別へ
第119条   捜索をした場合において
証拠物 又は 没収すべきものがないときは、

捜索を受けた者の請求により、
その旨の証明書を交付しなければならない。
(押収目録の交付)    条文別へ
第120条   押収をした場合には、
その目録を作り、
所有者、所持者 若しくは 保管者
第110条の2の規定による処分を受けた者を含む。)
又は これらの者に代わるべき者に、
これを交付しなければならない。
(押収物の保管、廃棄)    条文別へ
第121条  運搬 又は 保管に不便な押収物については、
看守者を置き、
又は 所有者その他の者に、

その承諾を得て、
これを保管させることができる。
2項  危険を生ずる虞がある押収物は、
これを廃棄することができる。
3項  前2項の処分は、
裁判所が特別の指示をした場合を除いては、
差押状の執行をした者も、
これをすることができる。
(押収物の代価保管)    条文別へ
第122条   没収することができる押収物で
滅失 若しくは 破損の虞があるもの
又は 保管に不便なものについては、

これを売却して
その代価を保管することができる。
(還付、仮還付)    条文別へ
第123条  押収物で留置の必要がないものは、
被告事件の終結を待たないで、
決定で
これを還付しなければならない。
2項  押収物は、
所有者、
所持者、
保管者
又は 差出人の請求により、
決定で

仮にこれを還付することができる。
3項  押収物が
第110条の2の規定により電磁的記録を移転し、 又は 移転させた上差し押さえた記録媒体で
留置の必要がないものである場合において、
差押えを受けた者と
当該記録媒体の所有者、所持者 又は 保管者とが異なるときは、

被告事件の終結を待たないで、
決定で、
当該差押えを受けた者に対し、
当該記録媒体を交付し、
又は 当該電磁的記録の複写を許さなければならない。
4項  前3項の決定をするについては、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴かなければならない。
(押収贓物の被害者還付)    条文別へ
第124条  押収した贓物で
留置の必要がないものは、

被害者に還付すべき理由が明らかなときに限り、
被告事件の終結を待たないで、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
決定で
これを被害者に還付しなければならない。
2項  前項の規定は、
民事訴訟の手続に従い、
利害関係人がその権利を主張することを妨げない。
(受命裁判官、受託裁判官)    条文別へ
第125条  押収 又は 捜索は、
合議体の構成員にこれをさせ、
又は これをすべき地の
地方裁判所、家庭裁判所 若しくは 簡易裁判所の裁判官に
これを嘱託することができる。
2項  受託裁判官は、
受託の権限を有する
他の地方裁判所、家庭裁判所 又は 簡易裁判所の裁判官に
転嘱することができる。
3項  受託裁判官は、
受託事項について権限を有しないときは、
受託の権限を有する
他の地方裁判所、家庭裁判所 又は 簡易裁判所の裁判官に
嘱託を移送することができる。
4項  受命裁判官 又は 受託裁判官がする
押収 又は 捜索については、

裁判所がする押収 又は 捜索に関する規定を準用する。
但し 第100条第3項の通知は、
裁判所がこれをしなければならない。
(勾引状等の執行と被告人の捜索)    条文別へ
第126条   検察事務官 又は 司法警察職員は、
勾引状 又は 勾留状を執行する場合において必要があるときは、
人の住居
又は 人の看守する邸宅、建造物 若しくは 船舶内に入り、
被告人の捜索をすることができる。

この場合には、
捜索状は、
これを必要としない。
(同前−勾引状等の執行と被告人の捜索A)    条文別へ
第127条   第111条、
第112条、
第114条
及び 第118条の規定は、

前条の規定により検察事務官 又は 司法警察職員がする捜索についてこれを準用する。
但し 急速を要する場合は、
第114条第2項の規定によることを要しない。
第10章 検証    編章別条文→     ↑先頭へ
(検証)    条文別へ
第128条   裁判所は、
事実発見のため必要があるときは、
検証することができる。
(検証と必要な処分)    条文別へ
第129条   検証については、
身体の検査、
死体の解剖、
墳墓の発掘、
物の破壊
その他必要な処分をすることができる。
(時刻の制限)    条文別へ
第130条  日出前、日没後には、
住居主 若しくは 看守者 又は これらの者に代るべき者の承諾がなければ、
検証のため、
人の住居
又は 人の看守する邸宅、建造物 若しくは 船舶内に入ることはできない。

但し 日出後では検証の目的を達することができない虞がある場合は、
この限りでない。
2項  日没前検証に着手したときは、
日没後でも
その処分を継続することができる。
3項  第117条に規定する場所については、
第1項に規定する制限によることを要しない。
(身体検査に関する注意、女子の身体検査と立会い)    条文別へ
第131条  身体の検査については、
これを受ける者の性別、健康状態
その他の事情を考慮した上、
特にその方法に注意し、
その者の名誉を害しないように注意しなければならない。
2項  女子の身体を検査する場合には、
医師 又は 成年の女子を
これに立ち会わせなければならない。
(身体検査のための召喚)    条文別へ
第132条   裁判所は、
身体の検査のため、
被告人以外の者を
裁判所 又は 指定の場所に召喚することができる。
(出頭拒否と過料等)    条文別へ
第133条  前条の規定により召喚を受けた者が
正当な理由がなく出頭しないときは、

決定で、
10万円以下の過料に処し、
かつ、 出頭しないために生じた費用の賠償を命ずることができる。
2項  前項の決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(出頭拒否と刑罰)    条文別へ
第134条  第132条の規定により召喚を受け
正当な理由がなく出頭しない者は、

10万円以下の罰金 又は 拘留に処する。
2項  前項の罪を犯した者には、
情状により、
罰金 及び 拘留を併科することができる。
(出頭拒否と勾引)    条文別へ
第135条   第132条の規定による召喚に応じない者は、
更にこれを召喚し、
又は これを勾引することができる。
(召喚・勾引に関する準用規定)    条文別へ
第136条   第62条、
第63条
及び 第65条の規定は、

第132条 及び 前条の規定による召喚について、
第62条、
第64条、
第66条、
第67条、
第70条、
第71条
及び 第73条第1項の規定は、

前条の規定による勾引についてこれを準用する。
(身体検査の拒否と過料等)    条文別へ
第137条  被告人 又は 被告人以外の者が正当な理由がなく身体の検査を拒んだときは、
決定で、
10万円以下の過料に処し、
かつ、 その拒絶により生じた費用の賠償を命ずることができる。
2項  前項の決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(身体検査の拒否と刑罰)    条文別へ
第138条  正当な理由がなく
身体の検査を拒んだ者は、

10万円以下の罰金 又は 拘留に処する。
2項  前項の罪を犯した者には、
情状により、
罰金 及び 拘留を併科することができる。
(身体検査の直接強制)    条文別へ
第139条   裁判所は、
身体の検査を拒む者を過料に処し、
又は これに刑を科しても、
その効果がないと認めるときは、

そのまま、
身体の検査を行うことができる。
(身体検査の強制に関する訓示規定)    条文別へ
第140条   裁判所は、
第137条の規定により過料を科し、
又は 前条の規定により身体の検査をするにあたつては、

あらかじめ、
検察官の意見を聴き、
且つ 、身体の検査を受ける者の異議の理由を知るため適当な努力をしなければならない。
(検証の補助)    条文別へ
第141条   検証をするについて必要があるときは、
司法警察職員に補助をさせることができる。
(準用規定)    条文別へ
第142条   第111条の2から第114条まで、
第118条
及び 第125条の規定は、

検証についてこれを準用する。
第11章 証人尋問    編章別条文→     ↑先頭へ
(証人の資格)    条文別へ
第143条   裁判所は、
この法律に特別の定のある場合を除いては、
何人でも証人としてこれを尋問することができる。
(証人の召喚)    条文別へ
第143条の2   裁判所は、
裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、
証人を召喚することができる。
(公務上秘密と証人資格)    条文別へ
第144条   公務員 又は 公務員であつた者が知り得た事実について、
本人 又は 当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、

当該監督官庁の承諾がなければ
証人としてこれを尋問することはできない。
但し 当該監督官庁は、
国の重大な利益を害する場合を除いては、
承諾を拒むことができない。
(同前−公務上秘密と証人資格A)    条文別へ
第145条  左に掲げる者が前条の申立をしたときは、
第1号に掲げる者についてはその院、
第2号に掲げる者については内閣の承諾がなければ、
証人としてこれを尋問することはできない。
 衆議院 若しくは 参議院の議員 又は その職に在つた者
 内閣総理大臣その他の国務大臣 又は その職に在つた者
2項  前項の場合において、
衆議院、参議院 又は 内閣は、
国の重大な利益を害する場合を除いては、
承諾を拒むことができない。
(自己の刑事責任と証言拒絶権)    条文別へ
第146条   何人も、
自己が刑事訴追を受け、
又は 有罪判決を受ける虞のある証言を
拒むことができる。
(近親者の刑事責任と証言拒絶権)    条文別へ
第147条   何人も、
左に掲げる者が刑事訴追を受け、
又は 有罪判決を受ける虞のある証言を
拒むことができる。
 自己の配偶者3親等内の血族 若しくは 2親等内の姻族 又は 自己とこれらの親族関係があつた者
 自己の後見人、後見監督人 又は 保佐人
 自己を後見人、後見監督人 又は 保佐人とする者
(近親者の刑事責任と証言拒絶権の例外)    条文別へ
第148条   共犯 又は 共同被告人の一人 又は 数人に対し
前条の関係がある者でも、

他の共犯 又は 共同被告人のみに関する事項については、
証言を拒むことはできない。
(業務上秘密と証言拒絶権)    条文別へ
第149条   医師、
歯科医師、
助産師、
看護師、
弁護士
外国法事務弁護士を含む。)
弁理士、
公証人、
宗教の職に在る者
又は これらの職に在つた者は、

業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、
証言を拒むことができる。

但し 本人が承諾した場合、
証言の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合
被告人が本人である場合を除く。)
その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、
この限りでない。
(出頭義務違反と過料等)    条文別へ
第150条  召喚を受けた証人が
正当な理由がなく出頭しないときは、

決定で、
10万円以下の過料に処し、
かつ、 出頭しないために生じた費用の賠償を命ずることができる。
2項  前項の決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(出頭義務違反と刑罰)    条文別へ
第151条   証人として召喚を受け正当な理由がなく出頭しない者は、
1年以下の懲役 又は 30万円以下の罰金に処する。
(再度の召喚・勾引)    条文別へ
第152条   裁判所は、
証人が、
正当な理由がなく、
召喚に応じないとき、
又は 応じないおそれがあるときは、

その証人を勾引することができる。
(準用規定)    条文別へ
第153条   第62条、
第63条
及び 第65条の規定は、

証人の召喚について、
第62条、
第64条、
第66条、
第67条、
第70条、
第71条
及び 第73条第1項の規定は、

証人の勾引についてこれを準用する。
(証人の留置)    条文別へ
第153条の2   勾引状の執行を受けた証人を
護送する場合 又は 引致した場合において
必要があるときは、

一時最寄の警察署
その他の適当な場所に
これを留置することができる。
(宣誓)    条文別へ
第154条   証人には、
この法律に特別の定のある場合を除いて、
宣誓をさせなければならない。
(宣誓無能力)    条文別へ
第155条  宣誓の趣旨を理解することができない者は、
宣誓をさせないで、
これを尋問しなければならない。
2項  前項に掲げる者が宣誓をしたときでも、
その供述は、
証言としての効力を妨げられない。
(推測事項の証言)    条文別へ
第156条  証人には、
その実験した事実により推測した事項を
供述させることができる。
2項  前項の供述は、
鑑定に属するものでも、
証言としての効力を妨げられない。
(当事者の立会権、尋問権)    条文別へ
第157条  検察官、
被告人
又は 弁護人は、

証人の尋問に立ち会うことができる。
2項  証人尋問の日時 及び 場所は、
あらかじめ、
前項の規定により尋問に立ち会うことができる者に
これを通知しなければならない。

但し これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない意思を明示したときは、
この限りでない。
3項  第1項に規定する者は、
証人の尋問に立ち会つたときは、
裁判長に告げて、
その証人を尋問することができる。
(証人への付添い)    条文別へ
第157条の2  裁判所は、
証人を尋問する場合において、
証人の年齢、
心身の状態
その他の事情を考慮
し、
証人が著しく不安 又は 緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、

検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
その不安 又は 緊張を緩和するのに適当であり、
かつ、 裁判官 若しくは 訴訟関係人の尋問 若しくは 証人の供述を妨げ、
又は その供述の内容に不当な影響を与えるおそれがない
と認める者を、
その証人の供述中、
証人に付き添わせることができる。
2項  前項の規定により証人に付き添うこととされた者は、
その証人の供述中、
裁判官 若しくは 訴訟関係人の尋問 若しくは 証人の供述を妨げ、
又は その供述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。
(証人尋問の際の証人の遮へい)    条文別へ
第157条の3  裁判所は、
証人を尋問する場合において、
犯罪の性質、
証人の年齢、
心身の状態、
被告人との関係
その他の事情により、
証人が被告人の面前
次条第1項に規定する方法による場合を含む。)
において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、
相当と認めるときは、

検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
被告人とその証人との間で、
一方から 又は 相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。

ただし、 被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置については、
弁護人が出頭している場合に限り、
採ることができる。
2項  裁判所は、
証人を尋問する場合において、
犯罪の性質、
証人の年齢、
心身の状態、
名誉に対する影響
その他の事情を考慮し、
相当と認めるときは、

検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
傍聴人とその証人との間で、
相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。
(ビデオリンク方式による証人尋問)    条文別へ
第157条の4  裁判所は、
次に掲げる者を証人として尋問する場合において、
相当と認めるときは、

検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
裁判官 及び 訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所
以外の場所
これらの者が在席する場所と同一の構内に限る。)
にその証人を在席させ、
映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、
尋問することができる。
 刑法第176条から第178条の2まで 若しくは 第181条の罪、同法第225条 若しくは 第226条の2第3項の罪わいせつ 又は 結婚の目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、同法第227条第1項第225条 又は 第226条の2第3項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。) 若しくは 第3項わいせつの目的に係る部分に限る。) 若しくは 第241条前段の罪 又は これらの罪の未遂罪の被害者
 児童福祉法第60条第1項の罪 若しくは 同法第34条第1項第9号に係る同法第60条第2項の罪 又は 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制 及び 処罰 並びに 児童の保護等に関する法律第4条から第8条までの罪の被害者
 前2号に掲げる者のほか、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、裁判官 及び 訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者
2項  前項に規定する方法により証人尋問を行う場合において、
裁判所は、
その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがあると思料する場合であつて、
証人の同意があるときは、

検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
その証人の尋問 及び 供述 並びに その状況を記録媒体映像 及び 音声を同時に記録することができるものに限る。)
に記録することができる。
3項  前項の規定により証人の尋問 及び 供述 並びに その状況を記録した記録媒体は、
訴訟記録に添付して
調書の一部とするものとする。
(証人の裁判所外への喚問・所在尋問、当事者の権利)    条文別へ
第158条  裁判所は、
証人の重要性、
年齢、
職業、
健康状態
その他の事情と
事案の軽重とを考慮した上、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、

必要と認めるときは、
裁判所外にこれを召喚し、
又は その現在場所で
これを尋問することができる。
2項  前項の場合には、
裁判所は、
あらかじめ、
検察官、被告人 及び 弁護人に、
尋問事項を知る機会を与えなければならない。
3項  検察官、被告人 又は 弁護人は、
前項の尋問事項に附加して、
必要な事項の尋問を請求することができる。
(同前−証人の裁判所外への喚問・所在尋問、当事者の権利A)    条文別へ
第159条  裁判所は、
検察官、被告人 又は 弁護人が前条の証人尋問に立ち会わなかつたときは、
立ち会わなかつた者に、
証人の供述の内容を知る機会を与えなければならない。
2項  前項の証人の供述が
被告人に予期しなかつた著しい不利益なものである場合には、

被告人 又は 弁護人は、
更に必要な事項の尋問を請求することができる。
3項  裁判所は、
前項の請求を理由がないものと認めるときは、
これを却下することができる。
(宣誓証言の拒絶と過料等)    条文別へ
第160条  証人が正当な理由がなく宣誓 又は 証言を拒んだときは、
決定で、
10万円以下の過料に処し、
かつ、 その拒絶により生じた費用の賠償を命ずることができる。
2項  前項の決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(宣誓証言の拒絶と過料等)    条文別へ
第161条   正当な理由がなく宣誓 又は 証言を拒んだ者は、
1年以下の懲役 又は 30万円以下の罰金に処する。
(同行命令・勾引)    条文別へ
第162条   裁判所は、
必要があるときは、
決定で
指定の場所に証人の同行を命ずることができる。
証人が正当な理由がなく同行に応じないときは、
これを勾引することができる。
(受命裁判官、受託裁判官)    条文別へ
第163条  裁判所外で証人を尋問すべきときは、
合議体の構成員にこれをさせ、
又は 証人の現在地の
地方裁判所、家庭裁判所 若しくは 簡易裁判所の裁判官に
これを嘱託することができる。
2項  受託裁判官は、
受託の権限を有する
他の地方裁判所、家庭裁判所 又は 簡易裁判所の裁判官に
転嘱することができる。
3項  受託裁判官は、
受託事項について権限を有しないときは、
受託の権限を有する
他の地方裁判所、家庭裁判所 又は 簡易裁判所の裁判官に
嘱託を移送することができる。
4項  受命裁判官 又は 受託裁判官は、
証人の尋問に関し、
裁判所 又は 裁判長に属する処分をすることができる。
但し 第150条 及び 第160条の決定は、
裁判所もこれをすることができる。
5項  第158条第2項 及び 第3項
並びに 第159条に規定する手続は、

前項の規定にかかわらず、
裁判所が
これをしなければならない。
(証人の旅費・日当・宿泊料)    条文別へ
第164条  証人は、
旅費、日当 及び 宿泊料を請求することができる。
但し 正当な理由がなく宣誓 又は 証言を拒んだ者は、
この限りでない。
2項  証人は、
あらかじめ旅費、日当 又は 宿泊料の支給を受けた場合において、
正当な理由がなく、
出頭せず 又は 宣誓 若しくは 証言を拒んだときは、

その支給を受けた費用を返納しなければならない。
第12章 鑑定    編章別条文→     ↑先頭へ
(鑑定)    条文別へ
第165条   裁判所は、
学識経験のある者に鑑定を命ずることができる。
(宣誓)    条文別へ
第166条   鑑定人には、
宣誓をさせなければならない。
(鑑定留置、留置状)    条文別へ
第167条  被告人の心神 又は 身体に関する鑑定をさせるについて必要があるときは、
裁判所は、
期間を定め、
病院その他の相当な場所に
被告人を留置することができる。
2項  前項の留置は、
鑑定留置状を発してこれをしなければならない。
3項  第1項の留置につき必要があるときは、
裁判所は、
被告人を収容すべき病院その他の場所の管理者の申出により、
又は 職権で、
司法警察職員に被告人の看守を命ずることができる。
4項  裁判所は、
必要があるときは、
留置の期間を延長し 又は 短縮することができる。
5項  勾留に関する規定は、
この法律に特別の定のある場合を除いては、
第1項の留置についてこれを準用する。
但し 保釈に関する規定は、
この限りでない。
6項  第1項の留置は、
未決勾留日数の算入については、
これを勾留とみなす。
(鑑定留置と勾留の執行停止)    条文別へ
第167条の2  勾留中の被告人に対し鑑定留置状が執行されたときは、
被告人が留置されている間、
勾留は、
その執行を停止されたものとする。
2項  前項の場合において、
前条第1項の処分が取り消され
又は 留置の期間が満了したときは、

第98条の規定を準用する。
(鑑定と必要な処分、許可状)    条文別へ
第168条  鑑定人は、
鑑定について必要がある場合には、
裁判所の許可を受けて、
人の住居
若しくは 人の看守する邸宅、建造物 若しくは 船舶内に入り、
身体を検査し、
死体を解剖し、
墳墓を発掘し、
又は 物を破壊することができる。
2項  裁判所は、
前項の許可をするには、
被告人の氏名、
罪名
及び 立ち入るべき場所、
検査すべき身体、
解剖すべき死体、
発掘すべき墳墓
又は 破壊すべき物
並びに 鑑定人の氏名
その他裁判所の規則で定める事項
を記載した許可状を発して、
これをしなければならない。
3項  裁判所は、
身体の検査に関し、
適当と認める条件を附することができる。
4項  鑑定人は、
第1項の処分を受ける者に許可状を示さなければならない。
5項  前3項の規定は、
鑑定人が公判廷でする第1項の処分については、
これを適用しない。
6項  第131条、
第137条、
第138条
及び 第140条の規定は、

鑑定人の第1項の規定によつてする身体の検査について
これを準用する。
(受命裁判官)    条文別へ
第169条   裁判所は、
合議体の構成員に鑑定について必要な処分をさせることができる。
但し 第167条第1項に規定する処分については、
この限りでない。
(当事者の立会い)    条文別へ
第170条   検察官 及び 弁護人は、
鑑定に立ち会うことができる。
この場合には、
第157条第2項の規定を準用する。
(準用規定)    条文別へ
第171条   前章の規定は、
勾引に関する規定を除いて、
鑑定についてこれを準用する。
(裁判官に対する身体検査の請求)    条文別へ
第172条  身体の検査を受ける者が、
鑑定人の第168条第1項の規定によつてする身体の検査を拒んだ場合には、

鑑定人は、
裁判官にその者の身体の検査を請求することができる。
2項  前項の請求を受けた裁判官は、
第10章の規定に準じ
身体の検査をすることができる。
(鑑定料・鑑定必要費用等)    条文別へ
第173条  鑑定人は、
旅費、日当 及び 宿泊料の外、
鑑定料を請求し、
及び 鑑定に必要な費用の支払 又は 償還を受けることができる。
2項  鑑定人は、
あらかじめ鑑定に必要な費用の支払を受けた場合において、
正当な理由がなく、
出頭せず 又は 宣誓 若しくは 鑑定を拒んだときは、

その支払を受けた費用を返納しなければならない。
(鑑定証人)    条文別へ
第174条   特別の知識によつて知り得た過去の事実に関する尋問については、
この章の規定によらないで、
前章の規定を適用する。
第13章 通訳 及び 翻訳    編章別条文→     ↑先頭へ
(通訳)    条文別へ
第175条   国語に通じない者に陳述をさせる場合には、
通訳人に通訳をさせなければならない。
(同前−通訳A)    条文別へ
第176条   耳の聞えない者 又は 口のきけない者に陳述をさせる場合には、
通訳人に通訳をさせることができる。
(翻訳)    条文別へ
第177条   国語でない文字 又は 符号は、
これを翻訳させることができる。
(準用規定)    条文別へ
第178条   前章の規定は、
通訳 及び 翻訳についてこれを準用する。
第14章 証拠保全    編章別条文→     ↑先頭へ
(証拠保全の請求、手続)    条文別へ
第179条  被告人、被疑者 又は 弁護人は、
あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠を使用することが困難な事情があるときは、
第1回の公判期日前に限り、
裁判官に
押収、
捜索、
検証、
証人の尋問
又は 鑑定の処分
を請求することができる。
2項  前項の請求を受けた裁判官は、
その処分に関し、
裁判所 又は 裁判長と同一の権限を有する。
(当事者の書類・証拠物の閲覧・謄写権)    条文別へ
第180条  検察官 及び 弁護人は、
裁判所において、
前条第1項の処分に関する書類 及び 証拠物を
閲覧し、 且つ 謄写することができる。

但し 弁護人証拠物の謄写をするについては、
裁判官の許可を受けなければならない。
2項  前項の規定にかかわらず、
第157条の4第3項に規定する記録媒体は、
謄写することができない。
3項  被告人 又は 被疑者は、
裁判官の許可を受け、
裁判所において、
第1項の書類 及び 証拠物を閲覧することができる。

ただし、 被告人 又は 被疑者に弁護人があるときは、
この限りでない。
第15章 訴訟費用    編章別条文→     ↑先頭へ
(被告人等の費用負担)    条文別へ
第181条  刑の言渡をしたときは、
被告人に訴訟費用の全部 又は 一部を負担させなければならない。
但し 被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときは、
この限りでない。
2項  被告人の責に帰すべき事由によつて生じた費用は、
刑の言渡をしない場合にも、
被告人にこれを負担させることができる。
3項  検察官のみが上訴を申し立てた場合において、
上訴が棄却されたとき、
又は 上訴の取下げがあつたときは、

上訴に関する訴訟費用は、
これを被告人に負担させることができない。
ただし、 被告人の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、
この限りでない。
4項  公訴が提起されなかつた場合において、
被疑者の責めに帰すべき事由により生じた費用があるときは、

被疑者にこれを負担させることができる。
(共犯の費用)    条文別へ
第182条   共犯の訴訟費用は、
共犯人に、
連帯して、
これを負担させることができる。
(告訴人等の費用負担)    条文別へ
第183条  告訴、告発 又は 請求により公訴の提起があつた事件について
被告人が無罪 又は 免訴の裁判を受けた場合において、
告訴人、告発人 又は 請求人に
故意 又は 重大な過失があつたときは、

その者に
訴訟費用を負担させることができる。
2項  告訴、告発 又は 請求があつた事件について
公訴が提起されなかつた場合において、
告訴人、告発人 又は 請求人に
故意 又は 重大な過失があつたときも、

前項と同様とする。
(上訴等の取下げと費用負担)    条文別へ
第184条   検察官以外の者が
上訴 又は 再審 若しくは 正式裁判の請求を取り下げた場合には、

その者に
上訴、再審 又は 正式裁判に関する費用を負担させることができる。
(被告人負担の裁判)    条文別へ
第185条   裁判によつて訴訟手続が終了する場合において、
被告人に訴訟費用を負担させるときは、

職権で
その裁判をしなければならない。

この裁判に対しては、
本案の裁判について上訴があつたときに限り、
不服を申し立てることができる。
(第三者負担の裁判)    条文別へ
第186条   裁判によつて訴訟手続が終了する場合において、
被告人以外の者に訴訟費用を負担させるときは、

職権で
別にその決定をしなければならない。

この決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(本案の裁判がないとき)    条文別へ
第187条   裁判によらないで訴訟手続が終了する場合において、
訴訟費用を負担させるときは、

最終に事件の係属した裁判所が、
職権で
その決定をしなければならない。

この決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(公訴の提起がないとき)    条文別へ
第187条の2   公訴が提起されなかつた場合において、
訴訟費用を負担させるときは、

検察官の請求により、
裁判所が
決定をもつて
これを行う。
この決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(負担額の算定)    条文別へ
第188条   訴訟費用の負担を命ずる裁判に
その額を表示しないときは、

執行の指揮をすべき検察官が、
これを算定する。
第16章 費用の補償    編章別条文→     ↑先頭へ
(無罪判決と費用の補償)    条文別へ
第188条の2  無罪の判決が確定したときは、
国は、
当該事件の被告人であつた者に対し、
その裁判に要した費用の補償をする。

ただし、 被告人であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、
補償をしないことができる。
2項  被告人であつた者が
捜査 又は 審判を誤らせる目的で、
虚偽の自白をし、
又は 他の有罪の証拠を作ることにより、
公訴の提起を受けるに至つた
ものと認められるときは、

前項の補償の全部 又は 一部をしないことができる。
3項  第188条の5第1項の規定による補償の請求がされている場合には、
第188条の4の規定により補償される費用については、
第1項の補償をしない。
(補償の手続)    条文別へ
第188条の3  前条第1項の補償は、
被告人であつた者の請求により、
無罪の判決をした裁判所が、
決定をもつてこれを行う。
2項  前項の請求は、
無罪の判決が確定した後6箇月以内に
これをしなければならない。
3項  補償に関する決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(上訴費用の補償)    条文別へ
第188条の4   検察官のみが上訴をした場合において、
上訴が棄却され 又は 取り下げられて当該上訴に係る原裁判が確定したときは、

これによつて無罪の判決が確定した場合を除き、
国は、
当該事件の被告人 又は 被告人であつた者に対し、
上訴によりその審級において生じた費用の補償をする。

ただし、 被告人 又は 被告人であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、
補償をしないことができる。
(補償の手続)    条文別へ
第188条の5  前条の補償は、
被告人 又は 被告人であつた者の請求により、
当該上訴裁判所であつた最高裁判所 又は 高等裁判所が
決定をもつて
これを行う。
2項  前項の請求は、
当該上訴に係る原裁判が確定した後2箇月以内に
これをしなければならない。
3項  補償に関する決定で
高等裁判所がしたものに対しては、

第428条第2項の異議の申立てをすることができる。
この場合には、
即時抗告に関する規定をも準用する。
(補償費用の範囲)    条文別へ
第188条の6  第188条の2第1項 又は 第188条の4の規定により補償される費用の範囲は、
被告人 若しくは 被告人であつた者 又は それらの者の弁護人であつた者が
公判準備 及び 公判期日に出頭するに要した
旅費、日当 及び 宿泊料
並びに 弁護人であつた者に対する報酬に限るものとし、

その額に関しては、
刑事訴訟費用に関する法律の規定中、
被告人 又は 被告人であつた者については証人
弁護人であつた者については弁護人に関する規定を準用する。
2項  裁判所は、
公判準備 又は 公判期日に出頭した弁護人が二人以上あつたときは、
事件の性質、
審理の状況
その他の事情を考慮して、

前項の弁護人であつた者の
旅費、日当 及び 宿泊料を

主任弁護人その他一部の弁護人に係るものに限ることができる。
(刑事補償法の例)    条文別へ
第188条の7   補償の請求
その他補償に関する手続、
補償と他の法律による損害賠償との関係、
補償を受ける権利の譲渡 又は 差押え
及び 被告人 又は 被告人であつた者の相続人に対する補償については、

この法律に特別の定めがある場合のほか、
刑事補償法第1条に規定する補償の例による。
第2編 第一審    編章別条文→     ↑先頭へ
第1章 捜査    編章別条文→     ↑先頭へ
(一般司法警察職員と捜査)    条文別へ
第189条  警察官は、
それぞれ、
他の法律
又は 国家公安委員会 若しくは 都道府県公安委員会の定めるところにより、

司法警察職員として職務を行う。
2項  司法警察職員は、
犯罪があると思料するときは、
犯人 及び 証拠を捜査するものとする。
(特別司法警察職員)    条文別へ
第190条   森林、鉄道その他特別の事項について
司法警察職員として職務を行うべき者
及び その職務の範囲は、

別に法律でこれを定める。
(検察官・検察事務官と捜査)    条文別へ
第191条  検察官は、
必要と認めるときは、
自ら犯罪を捜査することができる。
2項  検察事務官は、
検察官の指揮を受け、
捜査をしなければならない。
(捜査に関する協力)    条文別へ
第192条   検察官と
都道府県公安委員会 及び 司法警察職員とは、

捜査に関し、
互に協力しなければならない。
(検察官の司法警察職員に対する指示・指揮)    条文別へ
第193条  検察官は、
その管轄区域により、
司法警察職員に対し、
その捜査に関し、
必要な一般的指示をすることができる。

この場合における指示は、
捜査を適正にし、
その他公訴の遂行を全うする
ために必要な事項に関する一般的な準則を定めること
によつて行うものとする。
2項  検察官は、
その管轄区域により、
司法警察職員に対し、
捜査の協力を求めるため必要な一般的指揮をすることができる。
3項  検察官は、
自ら犯罪を捜査する場合において必要があるときは、
司法警察職員を指揮して
捜査の補助をさせることができる。
4項  前3項の場合において、
司法警察職員は、
検察官の指示 又は 指揮に従わなければならない。
(司法警察職員に対する懲戒・罷免の訴追)    条文別へ
第194条  検事総長、検事長 又は 検事正は、
司法警察職員が
正当な理由がなく検察官の指示 又は 指揮に従わない場合において
必要と認めるときは、

警察官たる司法警察職員については、
国家公安委員会 又は 都道府県公安委員会に、
警察官たる者以外の司法警察職員については、
その者を懲戒し 又は 罷免する権限を有する者に、
それぞれ懲戒 又は 罷免の訴追をすることができる。
2項  国家公安委員会、都道府県公安委員会 又は 警察官たる者以外の司法警察職員を
懲戒し 若しくは 罷免する権限を有する者は、

前項の訴追が理由のあるものと認めるときは、
別に法律の定めるところにより、
訴追を受けた者を懲戒し 又は 罷免しなければならない。
(検察官・検察事務官の管轄区域外における職務執行)    条文別へ
第195条   検察官 及び 検察事務官は、
捜査のため必要があるときは、
管轄区域外で職務を行うことができる。
(捜査関係者に対する訓示規定)    条文別へ
第196条   検察官、検察事務官 及び 司法警察職員
並びに 弁護人その他職務上捜査に関係のある者は、

被疑者その他の者の名誉を害しないように注意し、
且つ 、捜査の妨げとならないように注意しなければならない。
(捜査に必要な取調べ)    条文別へ
第197条  捜査については、
その目的を達するため
必要な取調をすることができる。
但し 強制の処分は、
この法律に特別の定のある場合でなければ、
これをすることができない。
2項  捜査については、
公務所 又は 公私の団体に照会して
必要な事項の報告を求めることができる。
3項  検察官、検察事務官 又は 司法警察員は、
差押え 又は 記録命令付差押えをするため必要があるときは、
電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者
又は 自己の業務のために不特定 若しくは 多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、

その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時
その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、
30日を超えない期間を定めて、

これを消去しないよう、
書面で
求めることができる。
この場合において、
当該電磁的記録について
差押え 又は 記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至つたときは、

当該求めを取り消さなければならない。
4項  前項の規定により消去しないよう求める期間については、
特に必要があるときは、
30日を超えない範囲内で
延長することができる。
ただし、 消去しないよう求める期間は、
通じて60日を超えることができない。
5項  第2項 又は 第3項の規定による求めを行う場合において、
必要があるときは、

みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求めることができる。
(被疑者の出頭要求・取調べ)    条文別へ
第198条  検察官、検察事務官 又は 司法警察職員は、
犯罪の捜査をするについて必要があるときは、
被疑者の出頭を求め、
これを取り調べることができる。

但し 被疑者は、
逮捕 又は 勾留されている場合を除いては、
出頭を拒み、
又は 出頭後、何時でも退去することができる。
2項  前項の取調に際しては、
被疑者に対し、
あらかじめ、
自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
3項  被疑者の供述は、
これを調書に録取することができる。
4項  前項の調書は、
これを被疑者に閲覧させ、
又は 読み聞かせて、
誤がないかどうかを問い、

被疑者が増減変更の申立をしたときは、
その供述を調書に記載しなければならない。
5項  被疑者が、
調書に誤のないことを申し立てたときは、

これに署名押印することを求めることができる。
但し これを拒絶した場合は、
この限りでない。
(逮捕状による逮捕の要件)    条文別へ
第199条  検察官、検察事務官 又は 司法警察職員は、
被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、
裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、
これを逮捕することができる。
ただし、 30万円刑法、暴力行為等処罰に関する法律 及び 経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については当分の間、2万円以下の罰金、
拘留 又は 科料に当たる罪については、

被疑者が定まつた住居を有しない場合
又は 正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合

に限る。
2項  裁判官は、
被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、
検察官 又は 司法警察員警察官たる司法警察員については国家公安委員会 又は 都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)
の請求により、
前項の逮捕状を発する。
但し 明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、
この限りでない。
3項  検察官 又は 司法警察員は、
第1項の逮捕状を請求する場合において、
同一の犯罪事実について
その被疑者に対し
前に逮捕状の請求 又は その発付があつたときは、

その旨を裁判所に通知しなければならない。
(逮捕状の方式)    条文別へ
第200条  逮捕状には、
被疑者の氏名 及び 住居、
罪名、
被疑事実の要旨、
引致すべき官公署その他の場所、
有効期間 及び その期間経過後は逮捕をすることができず令状はこれを返還しなければならない旨
並びに 発付の年月日
その他裁判所の規則で定める事項
を記載し、
裁判官が
これに記名押印しなければならない。
2項  第64条第2項 及び 第3項の規定は、
逮捕状についてこれを準用する。
(逮捕状による逮捕の手続)    条文別へ
第201条  逮捕状により被疑者を逮捕するには、
逮捕状を被疑者に示さなければならない。
2項  第73条第3項の規定は、
逮捕状により被疑者を逮捕する場合にこれを準用する。
(検察官・司法警察員への引致)    条文別へ
第202条   検察事務官 又は 司法巡査が
逮捕状により被疑者を逮捕したときは、
直ちに、
検察事務官はこれを検察官に、
司法巡査はこれを司法警察員に引致しなければならない。
(司法警察員の手続、検察官送致の時間の制限)    条文別へ
第203条  司法警察員は、
逮捕状により被疑者を逮捕したとき、
又は 逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、

直ちに
犯罪事実の要旨
及び 弁護人を選任することができる旨を告げた上、
弁解の機会を与え、

留置の必要がないと思料するときは
直ちにこれを釈放し、
留置の必要があると思料するときは
被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類 及び 証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
2項  前項の場合において、
被疑者に弁護人の有無を尋ね、
弁護人があるときは、

弁護人を選任することができる旨は、
これを告げることを要しない。
3項  司法警察員は、
第1項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、
被疑者に対し、
弁護士、弁護士法人 又は 弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨
及び その申出先を
教示しなければならない。
4項  司法警察員は、
第37条の2第1項に規定する事件について
第1項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、

被疑者に対し、
引き続き勾留を請求された場合において
貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは

裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨
並びに 裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨
及び その資力が基準額以上であるときはあらかじめ、弁護士会
第37条の3第2項の規定により第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない
を教示しなければならない。
5項  第1項の時間の制限内に送致の手続をしないときは、
直ちに被疑者を釈放しなければならない。
(検察官の手続・勾留請求の時間の制限)    条文別へ
第204条  検察官は、
逮捕状により被疑者を逮捕したとき、
又は 逮捕状により逮捕された被疑者
前条の規定により送致された被疑者を除く。を受け取つたときは、
直ちに
犯罪事実の要旨
及び 弁護人を選任することができる旨を告げた上、
弁解の機会を与え、

留置の必要がないと思料するときは
直ちにこれを釈放し、
留置の必要があると思料するときは
被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
但し その時間の制限内に公訴を提起したときは、
勾留の請求をすることを要しない。
2項  検察官は、
前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、
被疑者に対し、
弁護士、弁護士法人 又は 弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨
及び その申出先を
教示しなければならない。
3項  検察官は、
第37条の2第1項に規定する事件について
第1項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、

被疑者に対し、
引き続き勾留を請求された場合において
貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは

裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨
並びに 裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨
及び その資力が基準額以上であるときはあらかじめ、弁護士会
(第37条の3第2項の規定により第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない
を教示しなければならない。
4項  第1項の時間の制限内に勾留の請求 又は 公訴の提起をしないときは、
直ちに被疑者を釈放しなければならない。
5項  前条第2項の規定は、
第1項の場合にこれを準用する。
(司法警察員から送致を受けた検察官の手続・勾留請求の時間の制限)    条文別へ
第205条  検察官は、
第203条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、
弁解の機会を与え、
留置の必要がないと思料するときは
直ちにこれを釈放し、
留置の必要があると思料するときは
被疑者を受け取つた時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
2項  前項の時間の制限は、
被疑者が身体を拘束された時から
72時間を超えることができない。
3項  前2項の時間の制限内に公訴を提起したときは、
勾留の請求をすることを要しない。
4項  第1項 及び 第2項の時間の制限内に勾留の請求 又は 公訴の提起をしないときは、
直ちに被疑者を釈放しなければならない。
5項  前条第3項の規定は、
検察官が
第37条の2第1項に規定する事件以外の事件について逮捕され、
第203条の規定により同項に規定する事件について送致された被疑者に対し、
第1項の規定により弁解の機会を与える
場合
についてこれを準用する。
ただし、 被疑者に弁護人があるときは、
この限りでない。
(制限時間の不遵守と免責)    条文別へ
第206条  検察官 又は 司法警察員が
やむを得ない事情によつて
前3条の時間の制限に従うことができなかつたときは、

検察官は、
裁判官にその事由を疎明して、
被疑者の勾留を請求することができる。
2項  前項の請求を受けた裁判官は、
その遅延がやむを得ない事由に基く正当なものであると認める場合でなければ、
勾留状を発することができない。
(被疑者の勾留)    条文別へ
第207条  前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、
その処分に関し裁判所 又は 裁判長と同一の権限を有する。
但し 保釈については、
この限りでない。
2項  前項の裁判官は、
勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げる際に、
被疑者に対し、
弁護人を選任することができる旨を告げ、
第37条の2第1項に規定する事件について勾留を請求された被疑者に対しては、
貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。

ただし、 被疑者に弁護人があるときは、
この限りでない。
3項  前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、
勾留された被疑者は弁護士、弁護士法人 又は 弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる
及び その申出先
を教示しなければならない。
4項  第2項の規定により弁護人の選任を請求することができる旨を告げるに当たつては、
弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨
及び その資力が基準額以上であるときはあらかじめ、弁護士会
第37条の3第2項の規定により第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない
を教示しなければならない。
5項  裁判官は、
第1項の勾留の請求を受けたときは、
速やかに勾留状を発しなければならない。
ただし、 勾留の理由がないと認めるとき、
及び 前条第2項の規定により勾留状を発することができないときは、

勾留状を発しないで、
直ちに被疑者の釈放を命じなければならない。
(起訴前の勾留期間、期間の延長)    条文別へ
第208条  前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、
勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、

検察官は、
直ちに被疑者を釈放しなければならない。
2項  裁判官は、
やむを得ない事由があると認めるときは、
検察官の請求により、
前項の期間を延長することができる。
この期間の延長は、
通じて10日を超えることができない。
(勾留期間の再延長)    条文別へ
第208条の2   裁判官は、
刑法第2編第2章 乃至 第4章 又は 第8章の罪にあたる事件については、
検察官の請求により、
前条第2項の規定により延長された期間を更に延長することができる。
この期間の延長は、
通じて5日を超えることができない。
(逮捕状による逮捕に関する準用規定)    条文別へ
第209条   第74条、
第75条
及び 第78条の規定は、

逮捕状による逮捕についてこれを準用する。
(緊急逮捕)    条文別へ
第210条  検察官、検察事務官 又は 司法警察職員は、
死刑 又は 無期 若しくは 長期3年以上の懲役 若しくは 禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、
急速を要し、
裁判官の逮捕状を求めることができないときは、

その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。
この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。
逮捕状が発せられないときは、
直ちに被疑者を釈放しなければならない。
2項  第200条の規定は、
前項の逮捕状についてこれを準用する。
(緊急逮捕と準用規定)    条文別へ
第211条   前条の規定により被疑者が逮捕された場合には、
第199条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。
(現行犯人)    条文別へ
第212条  現に罪を行い、 又は 現に罪を行い終つた者を
現行犯人とする。
2項  左の各号の一にあたる者が、
罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、

これを現行犯人とみなす。
 犯人として追呼されているとき。
 贓物 又は 明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
 身体 又は 被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
 誰何されて逃走しようとするとき。
(現行犯逮捕)    条文別へ
第213条   現行犯人は、
何人でも、
逮捕状なくして
これを逮捕することができる。
(私人による現行犯逮捕と被逮捕者の引渡し)    条文別へ
第214条   検察官、検察事務官 及び 司法警察職員以外の者は、
現行犯人を逮捕したときは、
直ちに
これを地方検察庁 若しくは 区検察庁の検察官
又は 司法警察職員に
引き渡さなければならない。
(現行犯人を受け取った司法巡査の手続)    条文別へ
第215条  司法巡査は、
現行犯人を受け取つたときは、
速やかに
これを司法警察員に引致しなければならない。
2項  司法巡査は、
犯人を受け取つた場合には、
逮捕者の氏名、住居
及び 逮捕の事由
を聴き取らなければならない。

必要があるときは、
逮捕者に対し
ともに官公署に行くことを求めることができる。
(現行犯逮捕と準用規定)    条文別へ
第216条   現行犯人が逮捕された場合には、
第199条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。
(軽微事件と現行犯逮捕)    条文別へ
第217条   30万円刑法、暴力行為等処罰に関する法律 及び 経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については当分の間、2万円
以下の罰金、拘留 又は 科料
に当たる罪の現行犯については、

犯人の住居 若しくは 氏名が明らかでない場合
又は 犯人が逃亡するおそれがある場合
に限り、
第213条から前条までの規定を適用する。
(令状による差押え・捜索・検証)    条文別へ
第218条  検察官、検察事務官 又は 司法警察職員は、
犯罪の捜査をするについて必要があるときは、
裁判官の発する令状により、
差押え、
記録命令付差押え、
捜索
又は 検証をすることができる。

この場合において、
身体の検査は、
身体検査令状によらなければならない。
2項  差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、
当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、
当該電子計算機で作成 若しくは 変更をした電磁的記録
又は 当該電子計算機で変更 若しくは 消去をすることができることとされている電磁的記録
を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、
その電磁的記録を
当該電子計算機 又は 他の記録媒体に複写した上、
当該電子計算機 又は 当該他の記録媒体を
差し押さえることができる。
3項  身体の拘束を受けている被疑者の
指紋 若しくは 足型を採取し、
身長 若しくは 体重を測定し、
又は 写真を撮影する
には、

被疑者を裸にしない限り、
第1項の令状によることを要しない。
4項  第1項の令状は、
検察官、検察事務官 又は 司法警察員の請求により、
これを発する。
5項  検察官、検察事務官 又は 司法警察員は、
身体検査令状の請求をするには、
身体の検査を必要とする理由
及び 身体の検査を受ける者の性別、健康状態
その他裁判所の規則で定める事項
を示さなければならない。
6項  裁判官は、
身体の検査に関し、
適当と認める条件を附することができる。
(差押え等の令状の方式)    条文別へ
第219条  前条の令状には、
被疑者 若しくは 被告人の氏名、
罪名、
差し押さえるべき物、
記録させ 若しくは 印刷させるべき電磁的記録 及び これを記録させ 若しくは 印刷させるべき者、
捜索すべき場所、身体 若しくは 物、
検証すべき場所 若しくは
又は 検査すべき身体 及び 身体の検査に関する条件、
有効期間 及び その期間経過後は差押え、記録命令付差押え、捜索 又は 検証に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨
並びに 発付の年月日
その他裁判所の規則で定める事項

を記載し、
裁判官が
これに記名押印しなければならない。
2項  前条第2項の場合には、
同条の令状に、
前項に規定する事項のほか、
差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、
その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならない。
3項  第64条第2項の規定は、
前条の令状についてこれを準用する。
(令状によらない差押え・捜索・検証)    条文別へ
第220条  検察官、検察事務官 又は 司法警察職員は、
第199条の規定により被疑者を逮捕する場合
又は 現行犯人を逮捕する場合
において必要があるときは、

左の処分をすることができる。
第210条の規定により被疑者を逮捕する場合において必要があるときも、
同様である。
 人の住居 又は 人の看守する邸宅、建造物 若しくは 船舶内に入り被疑者の捜索をすること。
 逮捕の現場で差押、捜索 又は 検証をすること。
2項  前項後段の場合において逮捕状が得られなかつたときは、
差押物は、
直ちにこれを還付しなければならない。
第123条第3項の規定は、
この場合についてこれを準用する。
3項  第1項の処分をするには、
令状は、
これを必要としない。
4項  第1項第2号 及び 前項の規定は、
検察事務官 又は 司法警察職員が勾引状 又は 勾留状を執行する場合
にこれを準用する。
被疑者に対して発せられた勾引状 又は 勾留状を執行する場合には、
第1項第1号の規定をも準用する。
(領置)    条文別へ
第221条   検察官、検察事務官 又は 司法警察職員は、
被疑者その他の者が遺留した物
又は 所有者、所持者 若しくは 保管者が任意に提出した物は、

これを領置することができる。
(押収・捜索・検証に関する準用規定、検証の時刻の制限、被疑者の立会い、身体検査を拒否した者に対する制裁)    条文別へ
第222条  第99条第1項、
第100条、
第102条から第105条まで、
第110条から第112条まで、
第114条、
第115条
及び 第118条から第124条までの規定は、

検察官、検察事務官 又は 司法警察職員が
第218条、第220条 及び 前条の規定によつてする押収 又は 捜索について、

第110条、
第111条の2、
第112条、
第114条、
第118条、
第129条、
第131条
及び 第137条から第140条までの規定は、

検察官、検察事務官 又は 司法警察職員が
第218条 又は 第220条の規定によつてする検証について
これを準用する。

ただし、 司法巡査は、
第122条から第124条までに規定する処分をすることができない。
2項  第220条の規定により被疑者を捜索する場合において
急速を要するときは、

第114条第2項の規定によることを要しない。
3項  第116条 及び 第117条の規定は、
検察官、検察事務官 又は 司法警察職員が
第218条の規定によつてする差押え、記録命令付差押え 又は 捜索について、
これを準用する。
4項  日出前、日没後には、
令状に夜間でも検証をすることができる旨の記載がなければ、
検察官、検察事務官 又は 司法警察職員は、
第218条の規定によつてする検証のため、
人の住居 又は 人の看守する邸宅、建造物 若しくは 船舶内に
入ることができない。

但し 第117条に規定する場所については、
この限りでない。
5項  日没前検証に着手したときは、
日没後でもその処分を継続することができる。
6項  検察官、検察事務官 又は 司法警察職員は、
第218条の規定により差押、捜索 又は 検証をするについて
必要があるときは、

被疑者をこれに立ち会わせることができる。
7項  第1項の規定により、
身体の検査を拒んだ者を
過料に処し、
又は これに賠償を命ずべきときは、

裁判所に
その処分を請求しなければならない。
(電気通信の傍受を行う強制処分)    条文別へ
第222条の2   通信の当事者のいずれの同意も得ないで
電気通信の傍受を行う強制の処分
については、

別に法律で定めるところによる。
(第三者の任意出頭・取調べ・鑑定等の嘱託)    条文別へ
第223条  検察官、検察事務官 又は 司法警察職員は、
犯罪の捜査をするについて必要があるときは、
被疑者以外の者の出頭を求め、
これを取り調べ、
又は これに鑑定、通訳 若しくは 翻訳を嘱託することができる。
2項  第198条第1項但書 及び 第3項 乃至 第5項の規定は、
前項の場合にこれを準用する。
(鑑定の嘱託と鑑定留置の請求)    条文別へ
第224条  前条第1項の規定により鑑定を嘱託する場合において
第167条第1項に規定する処分を必要とするときは、

検察官、検察事務官 又は 司法警察員は、
裁判官にその処分を請求しなければならない。
2項  裁判官は、
前項の請求を相当と認めるときは、
第167条の場合に準じてその処分をしなければならない。
この場合には、
第167条の2の規定を準用する。
(鑑定受託者と必要な処分、許可状)    条文別へ
第225条  第223条第1項の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、
裁判官の許可を受けて、
第168条第1項に規定する処分をすることができる。
2項  前項の許可の請求は、
検察官、検察事務官 又は 司法警察員から
これをしなければならない。
3項  裁判官は、
前項の請求を相当と認めるときは、
許可状を発しなければならない。
4項  第168条第2項 乃至 第4項 及び 第6項の規定は、
前項の許可状についてこれを準用する。
(証人尋問の請求)    条文別へ
第226条   犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、
第223条第1項の規定による取調に対して、
出頭 又は 供述を拒んだ
場合には、

第1回の公判期日前に限り、
検察官は、
裁判官に
その者の証人尋問を請求することができる。
(同前−証人尋問の請求A)    条文別へ
第227条  第223条第1項の規定による
検察官、検察事務官 又は 司法警察職員の取調べに際して
任意の供述をした者が、

公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、

かつ、 その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、
第1回の公判期日前に限り、
検察官は、
裁判官に
その者の証人尋問を請求することができる。
2項  前項の請求をするには、
検察官は、
証人尋問を必要とする理由
及び それが犯罪の証明に欠くことができないものであること
を疎明しなければならない。
(証人尋問)    条文別へ
第228条  前2条の請求を受けた裁判官は、
証人の尋問に関し、
裁判所 又は 裁判長と同一の権限を有する。
2項  裁判官は、
捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、
被告人、被疑者 又は 弁護人を
前項の尋問に立ち会わせることができる。
(検視)    条文別へ
第229条  変死者 又は 変死の疑のある死体があるときは、
その所在地を管轄する地方検察庁 又は 区検察庁の検察官は、
検視をしなければならない。
2項  検察官は、
検察事務官 又は 司法警察員に前項の処分をさせることができる。
(告訴権者)    条文別へ
第230条   犯罪により害を被つた者は、
告訴をすることができる。
(同前−告訴権者A)    条文別へ
第231条  被害者の法定代理人は、
独立して告訴をすることができる。
2項  被害者が死亡したときは、
その配偶者、直系の親族 又は 兄弟姉妹は、
告訴をすることができる。
但し 被害者の明示した意思に反することはできない。
(同前−告訴権者B)    条文別へ
第232条   被害者の法定代理人が
被疑者であるとき、
被疑者の配偶者であるとき、
又は 被疑者の4親等内の血族 若しくは 3親等内の姻族であるときは、

被害者の親族は、
独立して告訴をすることができる。
(同前−告訴権者C)    条文別へ
第233条  死者の名誉を毀損した罪については、
死者の親族 又は 子孫は、
告訴をすることができる。
2項  名誉を毀損した罪について
被害者が告訴をしないで死亡したときも、

前項と同様である。
但し 被害者の明示した意思に反することはできない。
(告訴権者の指定)    条文別へ
第234条   親告罪について告訴をすることができる者がない場合には、
検察官は、
利害関係人の申立により
告訴をすることができる者を指定することができる。
(告訴期間)    条文別へ
第235条  親告罪の告訴は、
犯人を知つた日から6箇月を経過したときは、
これをすることができない。
ただし、 次に掲げる告訴については、
この限りでない。
 刑法第176条から第178条まで、第225条 若しくは 第227条第1項第225条の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。 若しくは 第3項の罪 又は これらの罪に係る未遂罪につき行う告訴
 刑法第232条第2項の規定により外国の代表者が行う告訴 及び 日本国に派遣された外国の使節に対する同法第230条 又は 第231条の罪につきその使節が行う告訴
2項  刑法第229条但書の場合における告訴は、
婚姻の無効 又は 取消の裁判が確定した日から6箇月以内にこれをしなければ、
その効力がない。
(告訴期間の独立)    条文別へ
第236条   告訴をすることができる者が数人ある場合には、
一人の期間の徒過は、
他の者に対しその効力を及ぼさない。
(告訴の取消し)    条文別へ
第237条  告訴は、
公訴の提起があるまで
これを取り消すことができる。
2項  告訴の取消をした者は、
更に告訴をすることができない。
3項  前2項の規定は、
請求を待つて受理すべき事件についての請求についてこれを準用する。
(告訴の不可分)    条文別へ
第238条  親告罪について
共犯の一人 又は 数人に対してした告訴 又は その取消は、

他の共犯に対しても、
その効力を生ずる。
2項  前項の規定は、
告発 又は 請求を待つて受理すべき事件についての告発 若しくは 請求 又は その取消についてこれを準用する。
(告発)    条文別へ
第239条  何人でも、
犯罪があると思料するときは、
告発をすることができる。
2項  官吏 又は 公吏は、
その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、
告発をしなければならない。
(告訴の代理)    条文別へ
第240条   告訴は、
代理人によりこれをすることができる。
告訴の取消についても、
同様である。
(告訴・告発の方式)    条文別へ
第241条  告訴 又は 告発は、
書面 又は 口頭で
検察官 又は 司法警察員にこれをしなければならない。
2項  検察官 又は 司法警察員は、
口頭による告訴 又は 告発を受けたときは
調書を作らなければならない。
(告訴・告発を受けた司法警察員の手続)    条文別へ
第242条   司法警察員は、
告訴 又は 告発を受けたときは、
速やかに
これに関する書類 及び 証拠物を
検察官に送付しなければならない。
(準用規定)    条文別へ
第243条   前2条の規定は、
告訴 又は 告発の取消についてこれを準用する。
(外国代表者等の告訴の特別方式)    条文別へ
第244条   刑法第232条第2項の規定により
外国の代表者が行う告訴 又は その取消は、

第241条 及び 前条の規定にかかわらず、
外務大臣にこれをすることができる。
日本国に派遣された外国の使節に対する刑法第230条 又は 第231条の罪につき
その使節が行う告訴 又は その取消も、

同様である。
(自首)    条文別へ
第245条   第241条 及び 第242条の規定は、
自首についてこれを準用する。
(司法警察員から検察官への事件の送致)    条文別へ
第246条   司法警察員は、
犯罪の捜査をしたときは、
この法律に特別の定のある場合を除いては、
速やかに
書類 及び 証拠物とともに
事件を検察官に送致しなければならない。

但し 検察官が指定した事件については、
この限りでない。
第2章 公訴    編章別条文→     ↑先頭へ
(国家訴追主義)    条文別へ
第247条   公訴は、
検察官がこれを行う。
(起訴便宜主義)    条文別へ
第248条   犯人の性格、年齢 及び 境遇、
犯罪の軽重 及び 情状
並びに 犯罪後の情況により
訴追を必要としないときは、

公訴を提起しないことができる。
(公訴の効力の人的範囲)    条文別へ
第249条   公訴は、
検察官の指定した被告人以外の者に
その効力を及ぼさない。
(公訴時効期間)    条文別へ
第250条  時効は、
人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの死刑に当たるものを除く。
については
次に掲げる期間を経過すること
によつて完成する。
 無期の懲役 又は 禁錮に当たる罪については30年
 長期20年の懲役 又は 禁錮に当たる罪については20年
 前2号に掲げる罪以外の罪については10年
2項  時効は、
人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、
次に掲げる期間を経過すること
によつて完成する。
 死刑に当たる罪については25年
 無期の懲役 又は 禁錮に当たる罪については15年
 長期15年以上の懲役 又は 禁錮に当たる罪については10年
 長期15年未満の懲役 又は 禁錮に当たる罪については7年
 長期10年未満の懲役 又は 禁錮に当たる罪については5年
 長期5年未満の懲役 若しくは 禁錮 又は 罰金に当たる罪については3年
 拘留 又は 科料に当たる罪については1年
(時効期間の標準となる刑)    条文別へ
第251条   二以上の主刑を併科し、
又は 二以上の主刑中その一を科すべき罪については、

その重い刑に従つて、
前条の規定を適用する。
(同前−時効期間の標準となる刑A)    条文別へ
第252条   刑法により刑を加重し、 又は 減軽すべき場合には、
加重し、 又は 減軽しない刑に従つて、
第250条の規定を適用する。
(時効の起算点)    条文別へ
第253条  時効は、
犯罪行為が終つた時から進行する。
2項  共犯の場合には、
最終の行為が終つた時から、
すべての共犯に対して時効の期間を起算する。
(公訴の提起と時効の停止)    条文別へ
第254条  時効は、
当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し、
管轄違 又は 公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。
2項  共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は、
他の共犯に対してその効力を有する。
この場合において、
停止した時効は、
当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始める。
(その他の理由による時効の停止)    条文別へ
第255条  犯人が国外にいる場合
又は 犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達 若しくは 略式命令の告知ができなかつた場合には、

時効は、
その国外にいる期間 又は 逃げ隠れている期間
その進行を停止する。
2項  犯人が国外にいること
又は 犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達 若しくは 略式命令の告知ができなかつたこと
の証明に必要な事項は、

裁判所の規則でこれを定める。
(起訴状、訴因、罰条)    条文別へ
第256条  公訴の提起は、
起訴状を提出して
これをしなければならない。
2項  起訴状には、
左の事項を記載しなければならない。
 被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項
 公訴事実
 罪名
3項  公訴事実は、
訴因を明示して
これを記載しなければならない。

訴因を明示するには、
できる限り日時、場所 及び 方法を以て
罪となるべき事実を特定して
これをしなければならない。
4項  罪名は、
適用すべき罰条を示して
これを記載しなければならない。

但し 罰条の記載の誤は、
被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞がない限り、
公訴提起の効力に影響を及ぼさない。
5項  数個の訴因 及び 罰条は、
予備的に 又は 択一的に
これを記載することができる。
6項  起訴状には、
裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある
書類その他の物を添附し、
又は その内容を引用してはならない。
(公訴の取消し)    条文別へ
第257条   公訴は、
第一審の判決があるまで
これを取り消すことができる。
(他管送致)    条文別へ
第258条   検察官は、
事件が
その所属検察庁の対応する裁判所の管轄に属しない
ものと思料するときは、

書類 及び 証拠物とともに
その事件を
管轄裁判所に対応する検察庁の検察官に
送致しなければならない。
(被疑者に対する不起訴処分の告知)    条文別へ
第259条   検察官は、
事件につき公訴を提起しない処分をした場合において、
被疑者の請求があるときは、

速やかにその旨をこれに告げなければならない。
(告訴人等に対する起訴・不起訴等の通知)    条文別へ
第260条   検察官は、
告訴、告発 又は 請求のあつた事件について、
公訴を提起し、 又は これを提起しない処分をしたときは、

速やかに
その旨を
告訴人、告発人 又は 請求人に
通知しなければならない。

公訴を取り消し、
又は 事件を他の検察庁の検察官に送致したときも、

同様である。
(告訴人等に対する不起訴理由の告知)    条文別へ
第261条   検察官は、
告訴、告発 又は 請求のあつた事件について
公訴を提起しない処分をした場合において、
告訴人、告発人 又は 請求人の請求があるときは、

速やかに
告訴人、告発人 又は 請求人に
その理由を告げなければならない。
(裁判上の準起訴手続・付審判の請求)    条文別へ
第262条  刑法第193条から第196条まで
又は 破壊活動防止法第45条
若しくは 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律第42条 若しくは 第43条
の罪について
告訴 又は 告発をした者は、

検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、
その検察官所属の検察庁の所在地を管轄する地方裁判所に
事件を裁判所の審判に付することを請求することができる。
2項  前項の請求は、
第260条の通知を受けた日から
7日以内に、
請求書を
公訴を提起しない処分をした検察官に差し出して
これをしなければならない。
(請求の取下げ)    条文別へ
第263条  前条第1項の請求は、
第266条の決定があるまで
これを取り下げることができる。
2項  前項の取下をした者は、
その事件について
更に前条第1項の請求をすることができない。
(公訴提起の義務)    条文別へ
第264条   検察官は、
第262条第1項の請求を理由があるものと認めるときは、
公訴を提起しなければならない。
(裁判上の準起訴手続の審判)    条文別へ
第265条  第262条第1項の請求についての審理 及び 裁判は、
合議体で
これをしなければならない。
2項  裁判所は、
必要があるときは、
合議体の構成員に事実の取調をさせ、
又は 地方裁判所 若しくは 簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。

この場合には、
受命裁判官 及び 受託裁判官は、
裁判所 又は 裁判長と同一の権限を有する。
(請求棄却の決定・付審判の決定)    条文別へ
第266条   裁判所は、
第262条第1項の請求を受けたときは、
左の区別に従い、
決定をしなければならない。
 請求が法令上の方式に違反し、 若しくは 請求権の消滅後にされたものであるとき、 又は 請求が理由のないときは、請求を棄却する。
 請求が理由のあるときは、事件を管轄地方裁判所の審判に付する。
(公訴提起の擬制)    条文別へ
第267条   前条第2号の決定があつたときは、
その事件について公訴の提起があつたものとみなす。
(付審判決定の通知)    条文別へ
第267条の2   裁判所は、
第266条第2号の決定をした場合において、
同一の事件について、
検察審査会法第2条第1項第1号に規定する審査を行う検察審査会
又は 同法第41条の6第1項の起訴議決をした検察審査会
同法第41条の9第1項の規定により公訴の提起 及び その維持に当たる者が指定された後はその者があるときは、
これに当該決定をした旨を通知しなければならない。
(公訴の維持と指定弁護士)    条文別へ
第268条  裁判所は、
第266条第2号の規定により
事件がその裁判所の審判に付されたときは、

その事件について
公訴の維持にあたる者を
弁護士の中から指定しなければならない。
2項  前項の指定を受けた弁護士は、
事件について公訴を維持するため、
裁判の確定に至るまで

検察官の職務を行う。
但し 検察事務官 及び 司法警察職員に対する捜査の指揮は、
検察官に嘱託してこれをしなければならない。
3項  前項の規定により検察官の職務を行う弁護士は、
これを法令により公務に従事する職員とみなす。
4項  裁判所は、
第1項の指定を受けた弁護士が
その職務を行うに適さないと認めるとき
その他特別の事情があるときは、

何時でも
その指定を取り消すことができる。
5項  第1項の指定を受けた弁護士には、
政令で定める額の手当を給する。
(請求者に対する費用賠償の決定)    条文別へ
第269条   裁判所は、
第262条第1項の請求を棄却する場合
又は その請求の取下があつた場合には、

決定で、
請求者に、
その請求に関する手続によつて生じた費用の全部 又は 一部の賠償
を命ずることができる。

この決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(検察官の書類・証拠物の閲覧・謄写権)    条文別へ
第270条  検察官は、
公訴の提起後は、
訴訟に関する書類 及び 証拠物を
閲覧し、 且つ 謄写することができる。
2項  前項の規定にかかわらず、
第157条の4第3項に規定する記録媒体は、
謄写することができない。
第3章 公判    編章別条文→     ↑先頭へ
第1節 公判準備 及び 公判手続    編章別条文→     ↑先頭へ
(起訴状謄本の送達・不送達と公訴提起の失効)    条文別へ
第271条  裁判所は、
公訴の提起があつたときは、
遅滞なく
起訴状の謄本を
被告人に送達しなければならない。
2項  公訴の提起があつた日から
2箇月以内に
起訴状の謄本が送達されないときは、

公訴の提起は、
さかのぼつてその効力を失う。
(弁護人選任権等の告知)    条文別へ
第272条  裁判所は、
公訴の提起があつたときは、
遅滞なく
被告人に対し、
弁護人を選任することができる旨
及び 貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨
を知らせなければならない。

但し 被告人に弁護人があるときは、
この限りでない。
2項  裁判所は、
この法律により弁護人を要する場合を除いて、
前項の規定により弁護人の選任を請求することができる旨を知らせるに当たつては、
弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨
及び その資力が基準額以上であるときは、
あらかじめ、
弁護士会
第36条の3第1項の規定により第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)
に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨
を教示しなければならない。
(公判期日の指定、召喚、通知)    条文別へ
第273条  裁判長は、
公判期日を定めなければならない。
2項  公判期日には、
被告人を召喚しなければならない。
3項  公判期日は、
これを検察官、弁護人 及び 補佐人に
通知しなければならない。
(召喚状送達の擬制)    条文別へ
第274条   裁判所の構内にいる被告人に対し
公判期日を通知したときは、

召喚状の送達があつた場合と同一の効力を有する。
(期日の猶予期間)    条文別へ
第275条   第1回の公判期日と
被告人に対する召喚状の送達との間には、

裁判所の規則で定める猶予期間を置かなければならない。
(公判期日の変更)    条文別へ
第276条  裁判所は、
検察官、被告人 若しくは 弁護人の請求により
又は 職権で、
公判期日を変更することができる。
2項  公判期日を変更するには、
裁判所の規則の定めるところにより、
あらかじめ、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴かなければならない。

但し 急速を要する場合は、
この限りでない。
3項  前項但書の場合には、
変更後の公判期日において、
まず、検察官 及び 被告人 又は 弁護人に対し、
異議を申し立てる機会を与えなければならない。
(不当な期日変更に対する救済)    条文別へ
第277条   裁判所がその権限を濫用して公判期日を変更したときは、
訴訟関係人は、
最高裁判所の規則 又は 訓令の定めるところにより、
司法行政監督上の措置を求めることができる。
(不出頭と診断書の提出)    条文別へ
第278条   公判期日に召喚を受けた者が
病気その他の事由によつて出頭することができないときは、

裁判所の規則の定めるところにより、
医師の診断書
その他の資料
を提出しなければならない。
(検察官・弁護人に対する出頭命令)    条文別へ
第278条の2  裁判所は、
必要と認めるときは、
検察官 又は 弁護人に対し、
公判準備 又は 公判期日に出頭し、

かつ、 これらの手続が行われている間
在席し 又は 在廷することを命ずることができる。
2項  裁判長は、
急速を要する場合には、
前項に規定する命令をし、
又は 合議体の構成員にこれをさせることができる。
3項  前2項の規定による命令を受けた検察官 又は 弁護人が
正当な理由がなくこれに従わないときは、

決定で、
10万円以下の過料に処し、
かつ、 その命令に従わないために生じた費用の賠償を命ずることができる。
4項  前項の決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
5項  裁判所は、
第3項の決定をしたときは、
検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に、
弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会 又は 日本弁護士連合会
通知し、
適当な処置をとるべきことを請求しなければならない。
6項  前項の規定による請求を受けた者は、
そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。
(公務所等に対する照会)    条文別へ
第279条   裁判所は、
検察官、被告人 若しくは 弁護人の請求により
又は 職権で、
公務所 又は 公私の団体に照会して
必要な事項の報告を求めることができる。
(勾留に関する処分)    条文別へ
第280条  公訴の提起があつた後
第1回の公判期日までは、

勾留に関する処分は、
裁判官がこれを行う。
2項  第199条 若しくは 第210条の規定により逮捕され、
又は 現行犯人として逮捕された被疑者で
まだ勾留されていないものについて
第204条 又は 第205条の時間の制限内に公訴の提起があつた場合には、

裁判官は、
速やかに、
被告事件を告げ、
これに関する陳述を聴き、

勾留状を発しないときは、
直ちにその釈放を命じなければならない。
3項  前2項の裁判官は、
その処分に関し、
裁判所 又は 裁判長と同一の権限を有する。
(期日外の証人尋問)    条文別へ
第281条   証人については、
裁判所は、
第158条に掲げる事項を考慮した上、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き必要と認めるときに限り、

公判期日外においてこれを尋問することができる。
(被告人の退席)    条文別へ
第281条の2   裁判所は、
公判期日外における証人尋問に被告人が立ち会つた場合において、
証人が被告人の面前
第157条の3第1項に規定する措置を採る場合 及び 第157条の4第1項に規定する方法による場合を含む。)
においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、
弁護人が立ち会つている場合に限り、
検察官 及び 弁護人の意見を聴き、

その証人の供述中被告人を退席させることができる。
この場合には、
供述終了後
被告人に証言の要旨を告知し、
その証人を尋問する機会を与えなければならない。
(開示された証拠の管理)    条文別へ
第281条の3   弁護人は、
検察官において
被告事件の審理の準備のために
閲覧 又は 謄写の機会を与えた証拠
に係る複製等
複製その他証拠の全部 又は 一部をそのまま記録した物 及び 書面をいう。以下同じ。)を適正に管理し、
その保管を
みだりに他人にゆだねてはならない。
(開示された証拠の目的外使用の禁止)    条文別へ
第281条の4  被告人 若しくは 弁護人第440条に規定する弁護人を含む。 又は これらであつた者は、
検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧 又は 謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、
次に掲げる手続 又は その準備に使用する目的以外の目的で、
人に交付し、 又は 提示し、 若しくは 電気通信回線を通じて提供してはならない。
 当該被告事件の審理その他の当該被告事件に係る裁判のための審理
 当該被告事件に関する次に掲げる手続
 第1編第16章の規定による費用の補償の手続
 第349条第1項の請求があつた場合の手続
 第350条の請求があつた場合の手続
 上訴権回復の請求の手続
 再審の請求の手続
 非常上告の手続
 第500条第1項の申立ての手続
 第502条の申立ての手続
 刑事補償法の規定による補償の請求の手続
2項  前項の規定に違反した場合の措置については、
被告人の防御権を踏まえ、
複製等の内容、行為の目的 及び 態様、関係人の名誉、その私生活 又は 業務の平穏を害されているかどうか、当該複製等に係る証拠が公判期日において取り調べられたものであるかどうか、その取調べの方法
その他の事情を考慮するものとする。
(目的外使用の罪)    条文別へ
第281条の5  被告人 又は 被告人であつた者が、
検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧 又は 謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、
前条第1項各号に掲げる手続 又は その準備に使用する目的以外の目的で、
人に交付し、 又は 提示し、 若しくは 電気通信回線を通じて提供したときは、

1年以下の懲役 又は 50万円以下の罰金に処する。
2項  弁護人第440条に規定する弁護人を含む。以下この項において同じ。) 又は 弁護人であつた者が、
検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧 又は 謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、
対価として財産上の利益その他の利益を得る目的で、

人に交付し、 又は 提示し、 若しくは 電気通信回線を通じて提供したときも、
前項と同様とする。
(連日的開廷の確保)    条文別へ
第281条の6  裁判所は、
審理に2日以上を要する事件については、
できる限り、
連日開廷し、
継続して審理を行わなければならない。
2項  訴訟関係人は、
期日を厳守し、
審理に支障を来さないようにしなければならない。
(公判廷)    条文別へ
第282条  公判期日における取調は、
公判廷でこれを行う。
2項  公判廷は、
裁判官 及び 裁判所書記が列席し、
且つ 検察官が出席して

これを開く。
(被告人たる法人と代理人の出頭)    条文別へ
第283条   被告人が
法人である場合には、
代理人を出頭させることができる。
(軽微事件における出頭義務の免除・代理人の出頭)    条文別へ
第284条   50万円刑法、暴力行為等処罰に関する法律 及び 経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については当分の間、5万円以下の罰金 又は 科料に当たる事件については
被告人は、
公判期日に出頭することを要しない
ただし、 被告人は、
代理人を出頭させることができる。
(出頭義務とその免除)    条文別へ
第285条  拘留にあたる事件の被告人は、
判決の宣告をする場合には、
公判期日に出頭しなければならない。
その他の場合には、
裁判所は、
被告人の出頭がその権利の保護のため重要でないと認めるときは、
被告人に対し
公判期日に出頭しないことを許すことができる。
2項  長期3年以下の懲役 若しくは 禁錮 又は 50万円刑法、暴力行為等処罰に関する法律 及び 経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については当分の間、5万円を超える罰金に当たる事件の被告人は、
第291条の手続をする場合 及び 判決の宣告をする場合には、
公判期日に出頭しなければならない。
その他の場合には、
前項後段の例による。
(被告人の出頭の権利義務)    条文別へ
第286条   前3条に規定する場合の外、
被告人が公判期日に出頭しないときは、
開廷することはできない。
(出頭拒否と公判手続)    条文別へ
第286条の2   被告人が出頭しなければ開廷することができない場合において、
勾留されている被告人が、
公判期日に召喚を受け、
正当な理由がなく出頭を拒否し、
刑事施設職員による引致を著しく困難にした
ときは、

裁判所は、
被告人が出頭しないでも、
その期日の公判手続を行うことができる。
(身体の不拘束)    条文別へ
第287条  公判廷においては、
被告人の身体を拘束してはならない。
但し 被告人が暴力を振い 又は 逃亡を企てた場合は、
この限りでない。
2項  被告人の身体を拘束しない場合にも、
これに看守者を附することができる。
(被告人の在廷義務、法廷の秩序維持)    条文別へ
第288条  被告人は、
裁判長の許可がなければ、
退廷することができない。
2項  裁判長は、
被告人を在廷させるため、
又は 法廷の秩序を維持するため

相当な処分をすることができる。
(必要的弁護)    条文別へ
第289条  死刑 又は 無期 若しくは 長期3年を超える懲役 若しくは 禁錮にあたる事件を審理する場合には、
弁護人がなければ
開廷することはできない。
2項  弁護人がなければ開廷することができない場合において、
弁護人が出頭しないとき 若しくは 在廷しなくなつたとき、
又は 弁護人がないときは、

裁判長は、
職権で
弁護人を付さなければならない。
3項  弁護人がなければ開廷することができない場合において、
弁護人が出頭しないおそれがあるときは、

裁判所は、
職権で
弁護人を付することができる。
(任意的国選弁護)    条文別へ
第290条   第37条各号の場合に
弁護人が出頭しないときは、

裁判所は、
職権で
弁護人を附することができる。
(公開の法廷での被害者特定事項の秘匿)    条文別へ
第290条の2  裁判所は、
次に掲げる事件を取り扱う場合において、
当該事件の被害者等
被害者 又は 被害者が死亡した場合 若しくは その心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族 若しくは 兄弟姉妹をいう。以下同じ。)
若しくは 当該被害者の法定代理人
又は これらの者から委託を受けた弁護士
から申出
があるときは、
被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
相当と認めるときは、

被害者特定事項氏名 及び 住所その他の当該事件の被害者を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)
公開の法廷で
明らかにしない旨の決定をすることができる。
 刑法第176条から第178条の2まで 若しくは 第181条の罪、同法第225条 若しくは 第226条の2第3項の罪わいせつ 又は 結婚の目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、同法第227条第1項第225条 又は 第226条の2第3項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。) 若しくは 第3項わいせつの目的に係る部分に限る。) 若しくは 第241条の罪 又は これらの罪の未遂罪に係る事件
 児童福祉法第60条第1項の罪 若しくは 同法第34条第1項第9号に係る同法第60条第2項の罪 又は 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制 及び 処罰 並びに 児童の保護等に関する法律第4条から第8条までの罪に係る事件
 前2号に掲げる事件のほか、犯行の態様、被害の状況その他の事情により、被害者特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより被害者等の名誉 又は 社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認められる事件
2項  前項の申出は、
あらかじめ、
検察官にしなければならない。

この場合において、
検察官は、
意見を付して、
これを裁判所に通知するものとする。
3項  裁判所は、
第1項に定めるもののほか、
犯行の態様、被害の状況その他の事情により、
被害者特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより
被害者 若しくは その親族の身体 若しくは 財産に害を加え 又は これらの者を畏怖させ 若しくは 困惑させる行為がなされるおそれがある
と認められる事件を取り扱う場合において、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
相当と認めるときは、

被害者特定事項を
公開の法廷で
明らかにしない旨の決定をすることができる。
4項  裁判所は、
第1項 又は 前項の決定をした事件について、
被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至つたとき、
第312条の規定により罰条が撤回 若しくは 変更されたため第1項第1号 若しくは 第2号に掲げる事件に該当しなくなつたとき
又は 同項第3号に掲げる事件 若しくは 前項に規定する事件に該当しないと認めるに至つたときは、

決定で、
第1項 又は 前項の決定を取り消さなければならない。
(証人等特定事項の非公開)    条文別へ
第290条の3  裁判所は、
次に掲げる場合において、
証人、鑑定人、通訳人、翻訳人 又は 供述録取書等
供述書、供述を録取した書面で供述者の署名 若しくは 押印のあるもの 又は 映像 若しくは 音声を記録することができる記録媒体であつて供述を記録したものをいう。以下同じ。)
の供述者(以下この項において「証人等」という。)
から申出があるときは、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
相当と認めるときは、
証人等特定事項氏名 及び 住所その他の当該証人等を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)
を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。
 証人等特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより証人等 若しくは その親族の身体 若しくは 財産に害を加え 又は これらの者を畏怖させ 若しくは 困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。
 前号に掲げる場合のほか、証人等特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより証人等の名誉 又は 社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認めるとき。
2項  裁判所は、
前項の決定をした事件について、
証人等特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至つたときは、

決定で、
同項の決定を取り消さなければならない。
(冒頭手続)    条文別へ
第291条  検察官は、
まず、起訴状を朗読しなければならない。
2項  第290条の2第1項 又は 第3項の決定があつたときは、
前項の起訴状の朗読は、
被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。
この場合においては、
検察官は、
被告人に起訴状を示さなければならない。
3項  前条第1項の決定があつた場合における
第1項の起訴状の朗読についても、
前項と同様とする。
この場合において、
同項中「被害者特定事項」とあるのは、
「証人等特定事項」とする。
4項  裁判長は、
起訴状の朗読が終つた後、
被告人に対し、
終始沈黙し、
又は 個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨
その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項
を告げた上、
被告人 及び 弁護人に対し、
被告事件について陳述する機会を与えなければならない。
(簡易公判手続の決定)    条文別へ
第291条の2   被告人が、
前条第4項の手続に際し、
起訴状に記載された訴因について有罪である旨を陳述したときは、

裁判所は、
検察官、被告人 及び 弁護人の意見を聴き、
有罪である旨の陳述のあつた訴因に限り、

簡易公判手続によつて審判をする旨の決定をすることができる。
ただし、 死刑 又は 無期 若しくは 短期1年以上の懲役 若しくは 禁錮に当たる事件については、
この限りでない。
(決定の取消し)    条文別へ
第291条の3   裁判所は、
前条の決定があつた事件が簡易公判手続によることができないものであり、
又は これによることが相当でないものである
と認めるときは、

その決定を取り消さなければならない。
(証拠調べ)    条文別へ
第292条   証拠調べは、
第291条の手続が終つた後、
これを行う。
ただし、 次節第1款に定める公判前整理手続において争点 及び 証拠の整理のために行う手続については、
この限りでない。
(被害者等の意見の陳述)    条文別へ
第292条の2  裁判所は、
被害者等 又は 当該被害者の法定代理人から、
被害に関する心情その他の被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは、

公判期日において、
その意見を陳述させるものとする。
2項  前項の規定による意見の陳述の申出は、
あらかじめ、
検察官にしなければならない。

この場合において、
検察官は、
意見を付して、
これを裁判所に通知するものとする。
3項  裁判長 又は 陪席の裁判官は、
被害者等 又は 当該被害者の法定代理人が意見を陳述した後、
その趣旨を明確にするため、
これらの者に質問することができる。
4項  訴訟関係人は、
被害者等 又は 当該被害者の法定代理人が意見を陳述した後、
その趣旨を明確にするため、
裁判長に告げて、

これらの者に質問することができる。
5項  裁判長は、
被害者等 若しくは 当該被害者の法定代理人の意見の陳述
又は 訴訟関係人の被害者等 若しくは 当該被害者の法定代理人に対する質問が

既にした陳述 若しくは 質問と重複するとき、
又は 事件に関係のない事項にわたるとき
その他相当でないときは、

これを制限することができる。
6項  第157条の2、
第157条の3
及び 第157条の4第1項の規定は、

第1項の規定による意見の陳述について準用する。
7項  裁判所は、
審理の状況その他の事情を考慮して、
相当でないと認めるときは、

意見の陳述に代え意見を記載した書面を提出させ、
又は 意見の陳述をさせないことができる。
8項  前項の規定により書面が提出された場合には、
裁判長は、
公判期日において、
その旨を明らかにしなければならない。

この場合において、
裁判長は、
相当と認めるときは、
その書面を朗読し、
又は その要旨を告げることができる。
9項  第1項の規定による陳述
又は 第7項の規定による書面は、

犯罪事実の認定のための証拠とすることができない。
(弁論)    条文別へ
第293条  証拠調が終つた後、
検察官は、
事実 及び 法律の適用について
意見を陳述しなければならない。
2項  被告人 及び 弁護人は、
意見を陳述することができる。
(訴訟指揮権)    条文別へ
第294条   公判期日における訴訟の指揮は、
裁判長が
これを行う。
(弁論等の制限)    条文別へ
第295条  裁判長は、
訴訟関係人のする尋問 又は 陳述が
既にした尋問 若しくは 陳述と重複するとき、
又は 事件に関係のない事項にわたるとき
その他相当でないときは、

訴訟関係人の本質的な権利を害しない限り、
これを制限することができる。
訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても
同様である。
2項  裁判長は、
証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人を尋問する場合において、
証人、鑑定人、通訳人 若しくは 翻訳人 若しくは これらの親族の身体 若しくは 財産に害を加え
又は これらの者を畏怖させ 若しくは 困惑させる
行為がなされるおそれがあり、
これらの者の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定される事項が明らかにされたならば

証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人が
十分な供述をすることができないと認めるときは、

当該事項についての尋問を制限することができる。
ただし、 検察官のする尋問を制限することにより
犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがあるとき、
又は 被告人 若しくは 弁護人のする尋問を制限することにより
被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、

この限りでない。
3項  裁判長は、
第290条の2第1項 又は 第3項の決定があつた場合において、
訴訟関係人のする尋問 又は 陳述が
被害者特定事項にわたるときは、

これを制限することにより、
犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがある場合
又は 被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、

当該尋問 又は 陳述を制限することができる。
訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても
同様とする。
4項  第290条の3第1項の決定があつた場合における
訴訟関係人のする尋問 若しくは 陳述 又は 訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、
前項と同様とする。
この場合において、
同項中「被害者特定事項」とあるのは、
「証人等特定事項」とする。
5項  裁判所は、
前各項の規定による命令を受けた検察官 又は 弁護士である弁護人がこれに従わなかつた場合には、
検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に、
弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会 又は 日本弁護士連合会に
通知し、
適当な処置をとるべきことを請求する
ことができる。
6項  前項の規定による請求を受けた者は、
そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。
(検察官の冒頭陳述)    条文別へ
第296条   証拠調のはじめに、
検察官は、
証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならない。
但し 証拠とすることができず、 又は 証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、
裁判所に事件について偏見 又は 予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない。
(証拠調べの範囲・順序・方法の予定とその変更)    条文別へ
第297条  裁判所は、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
証拠調の範囲、順序 及び 方法を定めることができる。
2項  前項の手続は、
合議体の構成員に
これをさせることができる。
3項  裁判所は、
適当と認めるときは、
何時でも、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
第1項の規定により定めた証拠調の範囲、順序 又は 方法を
変更することができる。
(証拠調べの請求、職権証拠調べ)    条文別へ
第298条  検察官、被告人 又は 弁護人は、
証拠調を請求することができる。
2項  裁判所は、
必要と認めるときは、
職権で
証拠調をすることができる。
(証拠調べの請求等と当事者の権利)    条文別へ
第299条  検察官、被告人 又は 弁護人が
証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人の尋問を請求するについては、

あらかじめ、
相手方に対し、
その氏名 及び 住居を知る機会を与えなければならない。

証拠書類 又は 証拠物の取調を請求するについては、
あらかじめ、
相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。

但し 相手方に異議のないときは、
この限りでない。
2項  裁判所が
職権で証拠調の決定をするについては、

検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴かなければならない。
(証人等の身体・財産への加害行為等の防止のための配慮)    条文別へ
第299条の2   検察官 又は 弁護人は、
前条第1項の規定により
証人、鑑定人、通訳人 若しくは 翻訳人の氏名 及び 住居を知る機会を与え
又は 証拠書類 若しくは 証拠物を閲覧する機会を与えるに当たり、
証人、鑑定人、通訳人 若しくは 翻訳人 若しくは 証拠書類 若しくは 証拠物にその氏名が記載され 若しくは 記録されている者 若しくは これらの親族の身体 若しくは 財産に害を加え
又は これらの者を畏怖させ 若しくは 困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、

相手方に対し、
その旨を告げ、
これらの者の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定される事項が、
犯罪の証明 若しくは 犯罪の捜査 又は 被告人の防御に関し必要がある場合を除き、
関係者被告人を含む。)に知られないようにすること
その他これらの者の安全が脅かされることがないように配慮すること
を求めることができる。
(証拠開示の際の被害者特定事項の秘匿要請)    条文別へ
第299条の3   検察官は、
第299条第1項の規定により
証人の氏名 及び 住居を知る機会を与え
又は 証拠書類 若しくは 証拠物を閲覧する機会を与えるに当たり、
被害者特定事項が明らかにされることにより、
被害者等の名誉 若しくは 社会生活の平穏が著しく害される
おそれがあると認めるとき、
又は 被害者 若しくは その親族の身体 若しくは 財産に害を加え
若しくは これらの者を畏怖させ 若しくは 困惑させる行為がなされる
おそれがあると認めるときは、

弁護人に対し、
その旨を告げ、
被害者特定事項が、
被告人の防御に関し必要がある場合を除き、

被告人その他の者に知られないようにすることを求めることができる。
ただし、 被告人に知られないようにすることを求めることについては、
被害者特定事項のうち
起訴状に記載された事項以外のものに限る。
(証拠開示の際の被害者特定事項の秘匿条件)    条文別へ
第299条の4  検察官は、
第299条第1項の規定により
証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人の氏名 及び 住居を知る機会を与えるべき場合において、
その者 若しくは その親族の身体 若しくは 財産に害を加え
又は これらの者を畏怖させ 若しくは 困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、

弁護人に対し、
当該氏名 及び 住居を知る機会を与えた上で、
当該氏名 又は 住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、
又は 被告人に知らせる時期 若しくは 方法を指定することができる。

ただし、 その証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき
その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、

この限りでない。
2項  検察官は、
前項本文の場合において、
同項本文の規定による措置によつては同項本文に規定する行為を防止できないおそれがあると認めるとき
被告人に弁護人がないときを含む。)は、
その証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなる場合
その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、

被告人 及び 弁護人に対し、
その証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人の氏名 又は 住居を知る機会を与えないことができる。

この場合において、
被告人 又は 弁護人に対し、
氏名にあつてはこれに代わる呼称を、
住居にあつてはこれに代わる連絡先を知る機会を与えなければならない。
3項  検察官は、
第299条第1項の規定により証拠書類 又は 証拠物を閲覧する機会を与えるべき場合において、
証拠書類 若しくは 証拠物に氏名 若しくは 住居が記載され 若しくは 記録されている者であつて
検察官が証人、鑑定人、通訳人 若しくは 翻訳人として尋問を請求するもの
若しくは 供述録取書等の供述者
(以下この項 及び 次項において「検察官請求証人等」という。)
若しくは 検察官請求証人等の親族
の身体 若しくは 財産に害を加え 又は これらの者を畏怖させ 若しくは 困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、

弁護人に対し、
証拠書類 又は 証拠物を閲覧する機会を与えた上で、
その検察官請求証人等の氏名 又は 住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、
又は 被告人に知らせる時期 若しくは 方法を指定することができる。

ただし、 その検察官請求証人等の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき
その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、

この限りでない。
4項  検察官は、
前項本文の場合において、
同項本文の規定による措置によつては同項本文に規定する行為を防止できないおそれがあると認めるとき
被告人に弁護人がないときを含む。)は、
その検察官請求証人等の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなる場合
その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、

被告人 及び 弁護人に対し、
証拠書類 又は 証拠物のうちその検察官請求証人等の氏名 又は 住居が記載され 又は 記録されている部分について
閲覧する機会を与えないことができる。

この場合において、
被告人 又は 弁護人に対し、
氏名にあつてはこれに代わる呼称を、
住居にあつてはこれに代わる連絡先を知る機会を与えなければならない。
5項  検察官は、
前各項の規定による措置をとつたときは、
速やかに、
裁判所に
その旨を通知しなければならない。
(証拠開示の際の被害者特定事項の秘匿措置の取り消し)    条文別へ
第299条の5  裁判所は、
検察官が前条第1項から第4項までの規定による措置をとつた場合において、
次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、

被告人 又は 弁護人の請求により、
決定で、
当該措置の全部 又は 一部を取り消さなければならない。
 当該措置に係る者 若しくは その親族の身体 若しくは 財産に害を加え 又は これらの者を畏怖させ 若しくは 困惑させる行為がなされるおそれがないとき。
 当該措置により、当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるとき。
 検察官のとつた措置が前条第2項 又は 第4項の規定によるものである場合において、同条第1項本文 又は 第3項本文の規定による措置によつて第1号に規定する行為を防止できるとき。
2項  裁判所は、
前項第2号 又は 第3号に該当すると認めて検察官がとつた措置の全部 又は 一部を取り消す場合において、
同項第1号に規定する行為がなされるおそれがあると認めるときは、

弁護人に対し、
当該措置に係る者の氏名 又は 住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、
又は 被告人に知らせる時期 若しくは 方法を指定することができる。

ただし、 当該条件を付し、 又は 当該時期 若しくは 方法の指定をすることにより、
当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき
その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、

この限りでない。
3項  裁判所は、
第1項の請求について決定をするときは、
検察官の意見を聴かなければならない。
4項  第1項の請求についてした決定第2項の規定により条件を付し、 又は 時期 若しくは 方法を指定する裁判を含む。)
に対しては、
即時抗告をすることができる。
(裁判所による証拠開示の際の被害者特定事項の秘匿)    条文別へ
第299条の6  裁判所は、
検察官がとつた第299条の4第1項 若しくは 第3項の規定による措置に係る者
若しくは 裁判所がとつた前条第2項の規定による措置に係る者
若しくは これらの親族
の身体 若しくは 財産に害を加え
又は これらの者を畏怖させ 若しくは 困惑させる行為がなされる
おそれがあると認める場合において、
検察官 及び 弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、

弁護人が第40条第1項の規定により訴訟に関する書類 又は 証拠物を閲覧し 又は 謄写するに当たり、
これらに記載され 又は 記録されている当該措置に係る者の氏名 又は 住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、
又は 被告人に知らせる時期 若しくは 方法を指定することができる。

ただし、 当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき
その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、

この限りでない。
2項  裁判所は、
検察官がとつた第299条の4第2項 若しくは 第4項の規定による措置に係る者
若しくは その親族
の身体 若しくは 財産に害を加え
又は これらの者を畏怖させ 若しくは 困惑させる行為がなされる
おそれがあると認める場合において、
検察官 及び 弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、

弁護人が第40条第1項の規定により訴訟に関する書類 又は 証拠物を閲覧し 又は 謄写するについて、
これらのうち当該措置に係る者の氏名 若しくは 住居が記載され 若しくは 記録されている部分の閲覧 若しくは 謄写を禁じ、
又は 当該氏名 若しくは 住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し、
若しくは 被告人に知らせる時期 若しくは 方法を指定することができる。

ただし、 当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき
その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、

この限りでない。
3項  裁判所は、
検察官がとつた第299条の4第1項から第4項までの規定による措置に係る者
若しくは 裁判所がとつた前条第2項の規定による措置に係る者
若しくは これらの親族
の身体 若しくは 財産に害を加え
又は これらの者を畏怖させ 若しくは 困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において、
検察官 及び 被告人の意見を聴き、相当と認めるときは、

被告人が第49条の規定により公判調書を閲覧し 又は その朗読を求めるについて、
このうち当該措置に係る者の氏名 若しくは 住居が記載され 若しくは 記録されている部分の閲覧を禁じ、
又は 当該部分の朗読の求めを拒むことができる。

ただし、 当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるとき
その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、

この限りでない。
(弁護人による被害者特定事項の秘匿条件違反)    条文別へ
第299条の7  検察官は、
第299条の4第1項 若しくは 第3項の規定により付した条件に弁護人が違反したとき、
又は これらの規定による時期 若しくは 方法の指定に弁護人が従わなかつたときは、

弁護士である弁護人については
当該弁護士の所属する弁護士会 又は 日本弁護士連合会に通知し

適当な処置をとるべきことを請求することができる。
2項  裁判所は、
第299条の5第2項 若しくは 前条第1項 若しくは 第2項の規定により付した条件に弁護人が違反したとき、
又は これらの規定による時期 若しくは 方法の指定に弁護人が従わなかつたときは、

弁護士である弁護人については
当該弁護士の所属する弁護士会 又は 日本弁護士連合会に通知し

適当な処置をとるべきことを請求することができる。
3項  前2項の規定による請求を受けた者は、
そのとつた処置を
その請求をした検察官 又は 裁判所に通知しなければならない。
(証拠調べの請求の義務)    条文別へ
第300条   第321条第1項第2号後段の規定により証拠とすることができる書面については、
検察官は、
必ずその取調を請求しなければならない。
(自白と証拠調べの請求の制限)    条文別へ
第301条   第322条 及び 第324条第1項の規定により証拠とすることができる被告人の供述が
自白である場合には、
犯罪事実に関する他の証拠が取り調べられた後でなければ、
その取調を請求することはできない。
(捜査記録の一部についての証拠調べの請求)    条文別へ
第302条   第321条 乃至 第323条
又は 第326条の規定により
証拠とすることができる書面が

捜査記録の一部であるときは、

検察官は、
できる限り他の部分と分離して
その取調を請求しなければならない。
(公判準備の結果と証拠調べの必要)    条文別へ
第303条   公判準備においてした証人その他の者の尋問、検証、押収 及び 捜索の結果を記載した書面
並びに 押収した物については、

裁判所は、
公判期日において
証拠書類 又は 証拠物として
これを取り調べなければならない。
(人的証拠に対する証拠調べの方式)    条文別へ
第304条  証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人は、
裁判長 又は 陪席の裁判官が、
まず、これを尋問する。
2項  検察官、被告人 又は 弁護人は、
前項の尋問が終つた後、
裁判長に告げて、

その証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人を
尋問することができる。

この場合において、
その証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人の取調が、
検察官、被告人 又は 弁護人の請求にかかるものであるときは、

請求をした者が、
先に尋問する。
3項  裁判所は、
適当と認めるときは、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
前2項の尋問の順序を変更することができる。
(被告人の退廷)    条文別へ
第304条の2   裁判所は、
証人を尋問する場合において、
証人が被告人の面前
第157条の3第1項に規定する措置を採る場合 及び 第157条の4第1項に規定する方法による場合を含む。
においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、
弁護人が出頭している場合に限り、
検察官 及び 弁護人の意見を聴き、

その証人の供述中被告人を退廷させることができる。
この場合には、
供述終了後
被告人を入廷させ、
これに証言の要旨を告知し、
その証人を尋問する機会を与えなければならない。
(証拠書類等に対する証拠調べの方式)    条文別へ
第305条  検察官、被告人 又は 弁護人の請求により、
証拠書類の取調べをするについては、

裁判長は、
その取調べを請求した者にこれを朗読させなければならない。
ただし、 裁判長は、
自らこれを朗読し、
又は 陪席の裁判官 若しくは 裁判所書記官にこれを朗読させることができる。
2項  裁判所が職権で証拠書類の取調べをするについては、
裁判長は、
自らその書類を朗読し、
又は 陪席の裁判官 若しくは 裁判所書記官にこれを朗読させなければならない。
3項  第290条の2第1項 又は 第3項の決定があつたときは、
前2項の規定による証拠書類の朗読は、
被害者特定事項を明らかにしない方法で
これを行うものとする。
4項  第290条の3第1項の決定があつた場合における
第1項 又は 第2項の規定による証拠書類の朗読についても、
前項と同様とする。
この場合において、
同項中「被害者特定事項」とあるのは、
「証人等特定事項」とする。
5項  第157条の4第3項の規定により記録媒体がその一部とされた調書の取調べについては、
第1項 又は 第2項の規定による朗読に代えて、
当該記録媒体を再生するものとする。

ただし、 裁判長は、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、
当該記録媒体の再生に代えて、
当該調書の取調べを請求した者、陪席の裁判官 若しくは 裁判所書記官に
当該調書に記録された供述の内容を告げさせ、 又は 自らこれを告げることができる。
6項  裁判所は、
前項の規定により第157条の4第3項に規定する記録媒体を再生する場合において、
必要と認めるときは、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、

第157条の3に規定する措置を採ることができる。
(証拠物に対する証拠調べの方式)    条文別へ
第306条  検察官、被告人 又は 弁護人の請求により、
証拠物の取調をするについては、

裁判長は、
請求をした者をして
これを示させなければならない。

但し 裁判長は、
自らこれを示し、
又は 陪席の裁判官 若しくは 裁判所書記にこれを示させることができる。
2項  裁判所が職権で証拠物の取調をするについては、
裁判長は、
自らこれを訴訟関係人に示し、
又は 陪席の裁判官 若しくは 裁判所書記にこれを示させなければならない。
(同前−証拠物に対する証拠調べの方式A)    条文別へ
第307条   証拠物中書面の意義が証拠となるものの取調をするについては、
前条の規定による外、
第305条の規定による。
(簡易公判手続)    条文別へ
第307条の2   第291条の2の決定があつた事件については、
第296条、
第297条、
第300条 乃至 第302条
及び 第304条 乃至 前条の規定は、

これを適用せず

証拠調は、
公判期日において、
適当と認める方法でこれを行うことができる。
(証明力を争う権利)    条文別へ
第308条   裁判所は、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人に対し、
証拠の証明力を争うために必要とする適当な機会を与えなければならない。
(証拠調べに関する異議申立て、裁判長の処分に対する異議申立て)    条文別へ
第309条  検察官、被告人 又は 弁護人は、
証拠調に関し異議を申し立てることができる。
2項  検察官、被告人 又は 弁護人は、
前項に規定する場合の外、
裁判長の処分に対して異議を申し立てることができる。
3項  裁判所は、
前2項の申立について
決定をしなければならない。
(証拠調べを終わった証拠の提出)    条文別へ
第310条   証拠調を終つた証拠書類 又は 証拠物は、
遅滞なく
これを裁判所に提出しなければならない。

但し 裁判所の許可を得たときは、
原本に代え、
その謄本を提出することができる。
(被告人の黙秘権・供述拒否権、任意の供述)    条文別へ
第311条  被告人は、
終始沈黙し、
又は 個々の質問に対し、供述を拒むことができる。
2項  被告人が任意に供述をする場合には、
裁判長は、
何時でも
必要とする事項につき
被告人の供述を求めることができる。
3項  陪席の裁判官、検察官、弁護人、共同被告人 又は その弁護人は、
裁判長に告げて、
前項の供述を求めることができる。
(起訴状の変更)    条文別へ
第312条  裁判所は、
検察官の請求があるときは、
公訴事実の同一性を害しない限度において、
起訴状に記載された訴因 又は 罰条の追加、撤回 又は 変更を許さなければならない。
2項  裁判所は、
審理の経過に鑑み適当と認めるときは、
訴因 又は 罰条を
追加 又は 変更すべきことを命ずることができる。
3項  裁判所は、
訴因 又は 罰条の
追加、撤回 又は 変更があつたときは、

速やかに
追加、撤回 又は 変更された部分を
被告人に通知しなければならない。
4項  裁判所は、
訴因 又は 罰条の追加 又は 変更により
被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞があると認めるときは、

被告人 又は 弁護人の請求により、
決定で、
被告人に充分な防禦の準備をさせるため必要な期間
公判手続を停止しなければならない。
(弁論の分離・併合・再開)    条文別へ
第313条  裁判所は、
適当と認めるときは、
検察官、被告人 若しくは 弁護人の請求により
又は 職権で、
決定を以て、
弁論を分離し 若しくは 併合し、 又は 終結した弁論を
再開することができる。
2項  裁判所は、
被告人の権利を保護するため必要があるときは、
裁判所の規則の定めるところにより、
決定を以て
弁論を分離しなければならない。
(併合事件における弁護人選任の効力)    条文別へ
第313条の2  この法律の規定に基づいて
裁判所 若しくは 裁判長 又は 裁判官が付した弁護人の選任は、

弁論が併合された事件についても
その効力を有する。

ただし、 裁判所がこれと異なる決定をしたときは、
この限りでない。
2項  前項ただし書の決定をするには、
あらかじめ、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴かなければならない。
(公判手続の停止)    条文別へ
第314条  被告人が心神喪失の状態に在るときは、
検察官 及び 弁護人の意見を聴き、
決定で、
その状態の続いている間
公判手続を停止しなければならない。

但し 無罪、免訴、刑の免除 又は 公訴棄却の裁判をすべきことが明らかな場合には、
被告人の出頭を待たないで、
直ちにその裁判をすることができる。
2項  被告人が病気のため出頭することができないときは、
検察官 及び 弁護人の意見を聴き、
決定で、
出頭することができるまで
公判手続を停止しなければならない。

但し 第284条 及び 第285条の規定により代理人を出頭させた場合は、
この限りでない。
3項  犯罪事実の存否の証明に欠くことのできない証人が
病気のため公判期日に出頭することができないときは、

公判期日外においてその取調をするのを適当と認める場合の外、
決定で、
出頭することができるまで
公判手続を停止しなければならない。
4項  前3項の規定により公判手続を停止するには、
医師の意見を聴かなければならない。
(公判手続の更新)    条文別へ
第315条   開廷後裁判官がかわつたときは、
公判手続を更新しなければならない。
但し 判決の宣告をする場合は、
この限りでない。
(簡易公判手続の決定の取消しと手続の更新)    条文別へ
第315条の2   第291条の2の決定が取り消されたときは、
公判手続を更新しなければならない。
但し 検察官 及び 被告人 又は 弁護人に異議がないときは、
この限りでない。
(合議制事件と一人の裁判官の手続の効力)    条文別へ
第316条   地方裁判所において
一人の裁判官のした訴訟手続は、

被告事件が合議体で審判すべきものであつた場合にも、
その効力を失わない。
第2節 争点 及び 証拠の整理手続    編章別条文→     ↑先頭へ
第1款 公判前整理手続    編章別条文→     ↑先頭へ
第1目 通則    編章別条文→     ↑先頭へ
(公判前整理手続の決定と方法)    条文別へ
第316条の2  裁判所は、
充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うため必要があると認めるときは、
検察官、被告人 若しくは 弁護人の請求により
又は 職権で、
第1回公判期日前に、
決定で、

事件の争点 及び 証拠を整理するための公判準備として、
事件を公判前整理手続に付することができる。
2項  前項の決定 又は 同項の請求を却下する決定をするには、
裁判所の規則の定めるところにより、
あらかじめ、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴かなければならない。
3項  公判前整理手続は、
この款に定めるところにより、
訴訟関係人を出頭させて陳述させ、
又は 訴訟関係人に書面を提出させる方法により、

行うものとする。
(公判前整理手続の目的)    条文別へ
第316条の3  裁判所は、
充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うことができるよう、
公判前整理手続において、
十分な準備が行われるようにするとともに、
できる限り早期にこれを終結させるように努めなければならない。
2項  訴訟関係人は、
充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うことができるよう、
公判前整理手続において、
相互に協力するとともに、
その実施に関し、
裁判所に進んで協力しなければならない。
(必要的弁護)    条文別へ
第316条の4  公判前整理手続においては、
被告人に弁護人がなければ
その手続を行うことができない。
2項  公判前整理手続において被告人に弁護人がないときは、
裁判長は、
職権で
弁護人を付さなければならない。
(公判前整理手続の内容)    条文別へ
第316条の5   公判前整理手続においては、
次に掲げる事項を行うことができる。
 訴因 又は 罰条を明確にさせること。
 訴因 又は 罰条の追加、撤回 又は 変更を許すこと。
 公判期日においてすることを予定している主張を明らかにさせて事件の争点を整理すること。
 証拠調べの請求をさせること。
 前号の請求に係る証拠について、その立証趣旨、尋問事項等を明らかにさせること。
 証拠調べの請求に関する意見証拠書類について第326条の同意をするかどうかの意見を含む。を確かめること。
 証拠調べをする決定 又は 証拠調べの請求を却下する決定をすること。
 証拠調べをする決定をした証拠について、その取調べの順序 及び 方法を定めること。
 証拠調べに関する異議の申立てに対して決定をすること。
10  第3目の定めるところにより証拠開示に関する裁定をすること。
11  第316条の33第1項の規定による被告事件の手続への参加の申出に対する決定 又は 当該決定を取り消す決定をすること。
12  公判期日を定め、 又は 変更することその他公判手続の進行上必要な事項を定めること。
(公判前整理手続期日の決定と変更)    条文別へ
第316条の6  裁判長は、
訴訟関係人を出頭させて公判前整理手続をするときは、
公判前整理手続期日を定めなければならない。
2項  公判前整理手続期日は、
これを検察官、被告人 及び 弁護人に通知しなければならない。
3項  裁判長は、
検察官、被告人 若しくは 弁護人の請求により
又は 職権で、
公判前整理手続期日を変更することができる。

この場合においては、
裁判所の規則の定めるところにより、
あらかじめ、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴かなければならない。
(公判前整理手続の出席者)    条文別へ
第316条の7   公判前整理手続期日に検察官 又は 弁護人が出頭しないときは、
その期日の手続を行うことができない。
(弁護人の選任)    条文別へ
第316条の8  弁護人が
公判前整理手続期日に出頭しないとき、
又は 在席しなくなつたときは、

裁判長は、
職権で
弁護人を付さなければならない。
2項  弁護人が公判前整理手続期日に出頭しないおそれがあるときは、
裁判所は、
職権で
弁護人を付することができる。
(被告人の出席)    条文別へ
第316条の9  被告人は、
公判前整理手続期日に出頭することができる。
2項  裁判所は、
必要と認めるときは、
被告人に対し、
公判前整理手続期日に出頭することを求めることができる。
3項  裁判長は、
被告人を出頭させて公判前整理手続をする場合には、
被告人が出頭する最初の公判前整理手続期日において、
まず、被告人に対し、
終始沈黙し、 又は 個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨
を告知しなければならない。
(被告人の意思確認)    条文別へ
第316条の10   裁判所は、
弁護人の陳述
又は 弁護人が提出する書面について
被告人の意思を確かめる必要があると認めるときは、

公判前整理手続期日において
被告人に対し質問を発し、
及び 弁護人に対し被告人と連署した書面の提出を求めることができる。
(受命裁判官)    条文別へ
第316条の11   裁判所は、
合議体の構成員に命じ、
公判前整理手続
第316条の5第2号、第7号 及び 第9号から第11号までの決定を除く。をさせることができる。
この場合において、
受命裁判官は、
裁判所 又は 裁判長と同一の権限を有する。
(調書の作成)    条文別へ
第316条の12  公判前整理手続期日には、
裁判所書記官を立ち会わせなければならない。
2項  公判前整理手続期日における手続については、
裁判所の規則の定めるところにより、
公判前整理手続調書を作成しなければならない。
第2目 争点 及び 証拠の整理    編章別条文→     ↑先頭へ
(検察官による証明予定事実の提示と証拠調べ請求)    条文別へ
第316条の13  検察官は、
事件が公判前整理手続に付されたときは、
その証明予定事実公判期日において証拠により証明しようとする事実をいう。以下同じ。)
を記載した書面を、
裁判所に提出し、
及び 被告人 又は 弁護人に送付しなければならない。

この場合においては、
当該書面には、
証拠とすることができず、 又は 証拠としてその取調べを請求する意思のない資料に基づいて、
裁判所に
事件について
偏見 又は 予断を生じさせるおそれのある事項を
記載することができない。
2項  検察官は、
前項の証明予定事実を証明するために用いる証拠の取調べ
を請求しなければならない。
3項  前項の規定により証拠の取調べを請求するについては、
第299条第1項の規定は適用しない。
4項  裁判所は、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴いた上で、
第1項の書面の提出 及び 送付 並びに 第2項の請求
の期限を定めるものとする。
(検察官請求証拠の開示)    条文別へ
第316条の14  検察官は、
前条第2項の規定により取調べを請求した証拠(以下「検察官請求証拠」という。)については、
速やかに、
被告人 又は 弁護人に対し、
次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、
当該各号に定める方法による開示をしなければならない。
 証拠書類 又は 証拠物 当該証拠書類 又は 証拠物を閲覧する機会弁護人に対しては閲覧し、 かつ、 謄写する機会を与えること。
 証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人 その氏名 及び 住居を知る機会を与え、 かつ、 その者の供述録取書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの当該供述録取書等が存在しないとき、 又は これを閲覧させることが相当でないと認めるときにあつてはその者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面を閲覧する機会弁護人に対しては閲覧し、 かつ、 謄写する機会を与えること。
2項  検察官は、
前項の規定による証拠の開示をした後、
被告人 又は 弁護人から請求があつたときは、

速やかに、
被告人 又は 弁護人に対し、
検察官が保管する証拠の一覧表の交付をしなければならない。
3項  前項の一覧表には、
次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、
証拠ごとに、
当該各号に定める事項を記載しなければならない。
 証拠物 品名 及び 数量
 供述を録取した書面で供述者の署名 又は 押印のあるもの 当該書面の標目、作成の年月日 及び 供述者の氏名
 証拠書類前号に掲げるものを除く。 当該証拠書類の標目、作成の年月日 及び 作成者の氏名
4項  前項の規定にかかわらず、
検察官は、
同項の規定により第2項の一覧表に記載すべき事項であつて、
これを記載することにより
次に掲げるおそれがあると認めるものは、
同項の一覧表に記載しないことができる。
 人の身体 若しくは 財産に害を加え 又は 人を畏怖させ 若しくは 困惑させる行為がなされるおそれ
 人の名誉 又は 社会生活の平穏が著しく害されるおそれ
 犯罪の証明 又は 犯罪の捜査に支障を生ずるおそれ
5項  検察官は、
第2項の規定により一覧表の交付をした後、
証拠を新たに保管するに至つたときは、

速やかに、
被告人 又は 弁護人に対し、
当該新たに保管するに至つた証拠の一覧表の交付をしなければならない。

この場合においては、
前2項の規定を準用する。
(検察官請求証拠以外の証拠の開示)    条文別へ
第316条の15  検察官は、
前条第1項の規定による開示をした証拠以外の証拠であつて、
次の各号に掲げる証拠の類型のいずれかに該当し、
かつ、 特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であると認められるものについて、
被告人 又は 弁護人から開示の請求があつた場合において、
その重要性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度 並びに 当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内容 及び 程度を考慮し、
相当と認めるときは、

速やかに、
同項第1号に定める方法による開示をしなければならない。

この場合において、
検察官は、
必要と認めるときは、
開示の時期 若しくは 方法を指定し、
又は 条件を付することができる。
 証拠物
 第321条第2項に規定する裁判所 又は 裁判官の検証の結果を記載した書面
 第321条第3項に規定する書面 又は これに準ずる書面
 第321条第4項に規定する書面 又は これに準ずる書面
 次に掲げる者の供述録取書等
 検察官が証人として尋問を請求した者
 検察官が取調べを請求した供述録取書等の供述者であつて、当該供述録取書等が第326条の同意がされない場合には検察官が証人として尋問を請求することを予定しているもの
 前号に掲げるもののほか、被告人以外の者の供述録取書等であつて、検察官が特定の検察官請求証拠により直接証明しようとする事実の有無に関する供述を内容とするもの
 被告人の供述録取書等
 取調べ状況の記録に関する準則に基づき、検察官、検察事務官 又は 司法警察職員が職務上作成することを義務付けられている書面であつて、身体の拘束を受けている者の取調べに関し、その年月日、時間、場所その他の取調べの状況を記録したもの被告人 又は その共犯として身体を拘束され 若しくは 公訴を提起された者であつて第5号イ 若しくは ロに掲げるものに係るものに限る。)
 検察官請求証拠である証拠物の押収手続記録書面押収手続の記録に関する準則に基づき、検察官、検察事務官 又は 司法警察職員が職務上作成することを義務付けられている書面であつて、証拠物の押収に関し、その押収者、押収の年月日、押収場所その他の押収の状況を記録したものをいう。次項 及び 第3項第2号イにおいて同じ。)
2項  前項の規定による開示をすべき証拠物の押収手続記録書面前条第1項 又は 前項の規定による開示をしたものを除く。について、
被告人 又は 弁護人から開示の請求があつた場合において、
当該証拠物により特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために当該開示をすることの必要性の程度 並びに 当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内容 及び 程度を考慮し、
相当と認めるときも、

同項と同様とする。
3項  被告人 又は 弁護人は、
前2項の開示の請求をするときは、
次の各号に掲げる開示の請求の区分に応じ、
当該各号に定める事項を明らかにしなければならない。
 第1項の開示の請求 次に掲げる事項
 第1項各号に掲げる証拠の類型 及び 開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項
 事案の内容、特定の検察官請求証拠に対応する証明予定事実、開示の請求に係る証拠と当該検察官請求証拠との関係その他の事情に照らし、当該開示の請求に係る証拠が当該検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であることその他の被告人の防御の準備のために当該開示が必要である理由
 前項の開示の請求 次に掲げる事項
 開示の請求に係る押収手続記録書面を識別するに足りる事項
 第1項の規定による開示をすべき証拠物と特定の検察官請求証拠との関係その他の事情に照らし、当該証拠物により当該検察官請求証拠の証明力を判断するために当該開示が必要である理由
(検察官請求証拠に対する被告人・弁護人の意見表明)    条文別へ
第316条の16  被告人 又は 弁護人は、
第316条の13第1項の書面の送付を受け、
かつ、 第316条の14第1項 並びに 前条第1項 及び 第2項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けたときは、

検察官請求証拠について、
第326条の同意をするかどうか 又は その取調べの請求に関し異議がないかどうかの意見を明らかにしなければならない。
2項  裁判所は、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴いた上で、
前項の意見を明らかにすべき期限を定めることができる。
(被告人・弁護人による主張の明示と証拠調べ請求)    条文別へ
第316条の17  被告人 又は 弁護人は、
第316条の13第1項の書面の送付を受け、
かつ、 第316条の14第1項 並びに 第316条の15第1項 及び 第2項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けた場合において、
その証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上 及び 法律上の主張があるときは、

裁判所 及び 検察官に対し、
これを明らかにしなければならない。

この場合においては、
第316条の13第1項後段の規定を準用する。
2項  被告人 又は 弁護人は、
前項の証明予定事実があるときは、
これを証明するために用いる証拠の取調べを請求しなければならない。
この場合においては、
第316条の13第3項の規定を準用する。
3項  裁判所は、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴いた上で、
第1項の主張を明らかにすべき期限 及び 前項の請求の期限を定めることができる。
(被告人・弁護人請求証拠の開示)    条文別へ
第316条の18   被告人 又は 弁護人は、
前条第2項の規定により取調べを請求した証拠については、
速やかに、
検察官に対し、
次の各号に掲げる証拠の区分に応じ
当該各号に定める方法による開示をしなければならない。
 証拠書類 又は 証拠物 当該証拠書類 又は 証拠物を閲覧し、 かつ、 謄写する機会を与えること。
 証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人 その氏名 及び 住居を知る機会を与え、 かつ、 その者の供述録取書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの当該供述録取書等が存在しないとき、 又は これを閲覧させることが相当でないと認めるときにあつてはその者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面を閲覧し、 かつ、 謄写する機会を与えること。
(被告人・弁護人請求証拠に対する検察官の意見表示)    条文別へ
第316条の19  検察官は、
前条の規定による開示をすべき証拠の開示を受けたときは、
第316条の17第2項の規定により被告人 又は 弁護人が取調べを請求した証拠について、
第326条の同意をするかどうか
又は その取調べの請求に関し異議がないかどうか
の意見を明らかにしなければならない。
2項  裁判所は、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴いた上で、
前項の意見を明らかにすべき期限を定めることができる。
(争点に関する証拠の開示)    条文別へ
第316条の20  検察官は、
第316条の14第1項 並びに 第316条の15第1項 及び 第2項の規定による開示をした証拠以外の証拠であつて、
第316条の17第1項の主張に関連すると認められるものについて、
被告人 又は 弁護人から開示の請求があつた場合において、
その関連性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度 並びに 当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内容 及び 程度を考慮し、
相当と認めるときは、

速やかに、
第316条の14第1項第1号に定める方法による開示をしなければならない。

この場合において、
検察官は、
必要と認めるときは、
開示の時期 若しくは 方法を指定し、
又は 条件を付することができる。
2項  被告人 又は 弁護人は、
前項の開示の請求をするときは、
次に掲げる事項を明らかにしなければならない。
 開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項
 第316条の17第1項の主張と開示の請求に係る証拠との関連性その他の被告人の防御の準備のために当該開示が必要である理由
(検察官による証明予定事実の追加・変更)    条文別へ
第316条の21  検察官は、
第316条の13から前条まで第316条の14第5項を除く。
に規定する手続が終わつた後、
その証明予定事実を追加し 又は 変更する必要があると認めるときは、

速やかに、
その追加し 又は 変更すべき証明予定事実を記載した書面を、
裁判所に提出し、 及び 被告人 又は 弁護人に送付しなければならない。

この場合においては、
第316条の13第1項後段の規定を準用する。
2項  検察官は、
その証明予定事実を証明するために用いる証拠の取調べの請求を追加する必要があると認めるときは、
速やかに、
その追加すべき証拠の取調べを請求しなければならない。

この場合においては、
第316条の13第3項の規定を準用する。
3項  裁判所は、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴いた上で、
第1項の書面の提出 及び 送付
並びに 前項の請求の期限を定めることができる。
4項  第316条の14第1項、第316条の15 及び 第316条の16の規定は、
第2項の規定により検察官が取調べを請求した証拠について
これを準用する。
(被告人・弁護人による主張の追加・変更)    条文別へ
第316条の22  被告人 又は 弁護人は、
第316条の13から第316条の20まで第316条の14第5項を除く。
に規定する手続が終わつた後、
第316条の17第1項の主張を追加し 又は 変更する必要があると認めるときは、

速やかに、
裁判所 及び 検察官に対し、
その追加し 又は 変更すべき主張を明らかにしなければならない。

この場合においては、
第316条の13第1項後段の規定を準用する。
2項  被告人 又は 弁護人は、
その証明予定事実を証明するために用いる証拠の取調べの請求を追加する必要があると認めるときは、
速やかに、
その追加すべき証拠の取調べを請求しなければならない。

この場合においては、
第316条の13第3項の規定を準用する。
3項  裁判所は、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴いた上で、
第1項の主張を明らかにすべき期限
及び 前項の請求の期限
を定めることができる。
4項  第316条の18 及び 第316条の19の規定は、
第2項の規定により被告人 又は 弁護人が取調べを請求した証拠についてこれを準用する。
5項  第316条の20の規定は、
第1項の追加し 又は 変更すべき主張に関連すると認められる証拠についてこれを準用する。
(証人等の保護のための配慮)    条文別へ
第316条の23  第299条の2 及び 第299条の3の規定は、
検察官 又は 弁護人がこの目の規定による証拠の開示をする場合についてこれを準用する。
2項  第299条の4の規定は、
検察官が第316条の14第1項(第316条の21第4項において準用する場合を含む。)
の規定による証拠の開示をすべき場合についてこれを準用する。
3項  第299条の5から第299条の7までの規定は、
検察官が前項において準用する第299条の4第1項から第4項までの規定による措置をとつた場合についてこれを準用する。
(争点 及び 証拠の整理結果の確認)    条文別へ
第316条の24   裁判所は、
公判前整理手続を終了するに当たり、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人との間で、
事件の争点
及び 証拠の整理の結果
を確認しなければならない。
第3目 証拠開示に関する裁定    編章別条文→     ↑先頭へ
(開示方法等の指定)    条文別へ
第316条の25  裁判所は、
証拠の開示の必要性の程度 並びに 証拠の開示によつて生じるおそれのある弊害の内容 及び 程度その他の事情を考慮して、
必要と認めるときは、

第316条の14第1項第316条の21第4項において準用する場合を含む。
の規定による開示をすべき証拠については検察官の請求により、
第316条の18
第316条の22第4項において準用する場合を含む。
の規定による開示をすべき証拠については被告人 又は 弁護人の請求により、
決定で、

当該証拠の開示の時期 若しくは 方法を指定し、
又は 条件を付することができる。
2項  裁判所は、
前項の請求について決定をするときは、
相手方の意見を聴かなければならない。
3項  第1項の請求についてした決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(開示命令)    条文別へ
第316条の26  裁判所は、
検察官が第316条の14第1項 若しくは 第316条の15第1項 若しくは 第2項第316条の21第4項においてこれらの規定を準用する場合を含む。
若しくは 第316条の20第1項第316条の22第5項において準用する場合を含む。
の規定による開示をすべき証拠を開示していないと認めるとき、
又は 被告人 若しくは 弁護人が第316条の18
第316条の22第4項において準用する場合を含む。
の規定による開示をすべき証拠を開示していないと認めるときは、
相手方の請求により、
決定で、
当該証拠の開示を命じなければならない。

この場合において、
裁判所は、
開示の時期 若しくは 方法を指定し、
又は 条件を付することができる。
2項  裁判所は、
前項の請求について決定をするときは、
相手方の意見を聴かなければならない。
3項  第1項の請求についてした決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(証拠 及び 証拠の標目の提示命令)    条文別へ
第316条の27  裁判所は、
第316条の25第1項 又は 前条第1項の請求について決定をするに当たり、
必要があると認めるときは、

検察官、被告人 又は 弁護人に対し、
当該請求に係る証拠の提示を命ずることができる。

この場合においては、
裁判所は、
何人にも、
当該証拠の閲覧 又は 謄写をさせることができない。
2項  裁判所は、
被告人 又は 弁護人がする前条第1項の請求について決定をするに当たり、
必要があると認めるときは、

検察官に対し、
その保管する証拠であつて、
裁判所の指定する範囲に属するものの標目を記載した一覧表の提示を命ずることができる。

この場合においては、
裁判所は、
何人にも、
当該一覧表の閲覧 又は 謄写をさせることができない。
3項  第1項の規定は
第316条の25第3項 又は 前条第3項の即時抗告が係属する抗告裁判所について、
前項の規定は
同条第3項の即時抗告が係属する抗告裁判所について、
それぞれ準用する。
第2款 期日間整理手続    編章別条文→     ↑先頭へ
(期日間整理手続の決定と進行)    条文別へ
第316条の28  裁判所は、
審理の経過に鑑み必要と認めるときは、
検察官、被告人 若しくは 弁護人の請求により
又は 職権で、
第1回公判期日後に、
決定で、

事件の争点 及び 証拠を整理するための公判準備として、
事件を期日間整理手続に付することができる。
2項  期日間整理手続については、
前款第316条の2第1項 及び 第316条の9第3項を除く。の規定を準用する。
この場合において、
検察官、被告人 又は 弁護人が前項の決定前に取調べを請求している証拠については、
期日間整理手続において取調べを請求した証拠とみなし、
第316条の6から第316条の10まで 及び 第316条の12中「公判前整理手続期日」とあるのは
「期日間整理手続期日」と、
同条第2項中「公判前整理手続調書」とあるのは
「期日間整理手続調書」と読み替えるものとする。
第3款 公判手続の特例    編章別条文→     ↑先頭へ
(必要的弁護)    条文別へ
第316条の29   公判前整理手続 又は 期日間整理手続に付された事件を審理する場合には、
第289条第1項に規定する事件に該当しないときであつても、

弁護人がなければ
開廷することはできない。
(被告人・弁護人による冒頭陳述)    条文別へ
第316条の30   公判前整理手続に付された事件については、
被告人 又は 弁護人は、
証拠により証明すべき事実
その他の事実上 及び 法律上の主張
があるときは、

第296条の手続に引き続き、
これを明らかにしなければならない。

この場合においては、
同条ただし書の規定を準用する。
(整理手続の結果の顕出)    条文別へ
第316条の31  公判前整理手続に付された事件については、
裁判所は、
裁判所の規則の定めるところにより、
前条の手続が終わつた後、
公判期日において、
当該公判前整理手続の結果を明らかにしなければならない。
2項  期日間整理手続に付された事件については、
裁判所は、
裁判所の規則の定めるところにより、
その手続が終わつた後、
公判期日において、
当該期日間整理手続の結果を明らかにしなければならない。
(整理手続終了後の証拠調べ請求の制限)    条文別へ
第316条の32  公判前整理手続 又は 期日間整理手続に付された事件については、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人は、
第298条第1項の規定にかかわらず、
やむを得ない事由によつて公判前整理手続 又は 期日間整理手続において請求することができなかつたものを除き、

当該公判前整理手続 又は 期日間整理手続が終わつた後には、
証拠調べを請求することができない。
2項  前項の規定は、
裁判所が、
必要と認めるときに、
職権で証拠調べをすることを妨げるものではない。
第3節 被害者参加    編章別条文→     ↑先頭へ
(被告事件の手続への被害者参加)    条文別へ
第316条の33  裁判所は、
次に掲げる罪に係る被告事件
被害者等 若しくは 当該被害者の法定代理人 又は これらの者から委託を受けた弁護士から、
被告事件の手続への参加の申出があるときは、
被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し、
相当と認めるときは、

決定で、
当該被害者等 又は 当該被害者の法定代理人の
被告事件の手続への参加を許すものとする。
 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
 刑法第176条から第178条まで、第211条、第220条 又は 第224条から第227条までの罪
 前号に掲げる罪のほか、その犯罪行為にこれらの罪の犯罪行為を含む罪第1号に掲げる罪を除く。)
 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第4条、第5条 又は 第6条第3項 若しくは 第4項の罪
 第1号から第3号までに掲げる罪の未遂罪
2項  前項の申出は、
あらかじめ、
検察官にしなければならない。

この場合において、
検察官は、
意見を付して、
これを裁判所に通知するものとする。
3項  裁判所は、
第1項の規定により被告事件の手続への参加を許された者(以下「被害者参加人」という。)
当該被告事件の被害者等 若しくは 当該被害者の法定代理人に該当せず
若しくは 該当しなくなつた
ことが明らかになつたとき、
又は 第312条の規定により罰条が撤回 若しくは 変更されたため
当該被告事件が同項各号に掲げる罪に係るものに該当しなくなつた
ときは、

決定で、
同項の決定を取り消さなければならない。

犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮して
被告事件の手続への参加を認めることが相当でないと認めるに至つたときも、

同様とする。
(被害者参加人等の公判期日への出席)    条文別へ
第316条の34  被害者参加人 又は その委託を受けた弁護士は、
公判期日に
出席することができる。
2項  公判期日は、
これを被害者参加人に通知しなければならない。
3項  裁判所は、
被害者参加人 又は その委託を受けた弁護士が多数である場合において、
必要があると認めるときは、

これらの者の全員 又は その一部に対し、
その中から、
公判期日に出席する代表者を選定するよう求めることができる。
4項  裁判所は、
審理の状況、被害者参加人 又は その委託を受けた弁護士の数その他の事情を考慮して、
相当でないと認めるときは、

公判期日の全部 又は 一部への出席を許さないことができる。
5項  前各項の規定は、
公判準備において証人の尋問 又は 検証が行われる場合
について準用する。
(被害者参加人等の意見に対する検察官の説明義務)    条文別へ
第316条の35   被害者参加人 又は その委託を受けた弁護士は、
検察官に対し、
当該被告事件についてのこの法律の規定による検察官の権限の行使に関し、
意見を述べることができる。

この場合において、
検察官は、
当該権限を行使し 又は 行使しないこととしたときは、
必要に応じ、
当該意見を述べた者に対し、
その理由を説明しなければならない。
(被害者参加人等による証人尋問)    条文別へ
第316条の36  裁判所は、
証人を尋問する場合において、
被害者参加人 又は その委託を受けた弁護士から、
その者がその証人を尋問することの申出があるときは、
被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
審理の状況、申出に係る尋問事項の内容、申出をした者の数その他の事情を考慮し、
相当と認めるときは、

情状に関する事項犯罪事実に関するものを除く。についての証人の供述の証明力を争うために必要な事項について
申出をした者が
その証人を尋問することを許すものとする。
2項  前項の申出は、
検察官の尋問が終わつた後検察官の尋問がないときは被告人 又は 弁護人の尋問が終わつた後
直ちに、
尋問事項を明らかにして、
検察官にしなければならない。

この場合において、
検察官は、
当該事項について自ら尋問する場合を除き、
意見を付して、
これを裁判所に通知するものとする。
3項  裁判長は、
第295条第1項から第4項までに規定する場合のほか、
被害者参加人 又は その委託を受けた弁護士のする尋問が第1項に規定する事項以外の事項にわたるときは、

これを制限することができる。
(被害者参加人等による被告人への質問)    条文別へ
第316条の37  裁判所は、
被害者参加人 又は その委託を受けた弁護士から、
その者が被告人に対して第311条第2項の供述を求めるための質問を発することの申出があるときは、

被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
被害者参加人 又は その委託を受けた弁護士がこの法律の規定による意見の陳述をするために必要があると認める場合であつて、
審理の状況、申出に係る質問をする事項の内容、申出をした者の数その他の事情を考慮し、
相当と認めるときは、

申出をした者が
被告人に対してその質問を発することを許すものとする。
2項  前項の申出は、
あらかじめ、
質問をする事項を明らかにして、
検察官にしなければならない。

この場合において、
検察官は、
当該事項について自ら供述を求める場合を除き、
意見を付して、
これを裁判所に通知するものとする。
3項  裁判長は、
第295条第1項、第3項 及び 第4項に規定する場合のほか、
被害者参加人 又は その委託を受けた弁護士のする質問が
第1項に規定する意見の陳述をするために必要がある事項に関係のない事項にわたるときは、

これを制限することができる。
(被害者参加人等による弁論としての意見陳述)    条文別へ
第316条の38  裁判所は、
被害者参加人 又は その委託を受けた弁護士から、
事実 又は 法律の適用について意見を陳述することの申出がある場合において、
審理の状況、申出をした者の数その他の事情を考慮し、
相当と認めるときは、

公判期日において、
第293条第1項の規定による検察官の意見の陳述の後に、
訴因として特定された事実の範囲内で、

申出をした者が
その意見を陳述することを許すものとする。
2項  前項の申出は、
あらかじめ、
陳述する意見の要旨を明らかにして、
検察官にしなければならない。

この場合において、
検察官は、
意見を付して、
これを裁判所に通知するものとする。
3項  裁判長は、
第295条第1項、第3項 及び 第4項に規定する場合のほか、
被害者参加人 又は その委託を受けた弁護士の意見の陳述が
第1項に規定する範囲を超えるときは、

これを制限することができる。
4項  第1項の規定による陳述は、
証拠とはならないものとする。
(被害者参加人への付添い、遮へいの措置)    条文別へ
第316条の39  裁判所は、
被害者参加人が
第316条の34第1項
(同条第5項において準用する場合を含む。第4項において同じ。)の規定により
公判期日 又は 公判準備に出席する
場合において、
被害者参加人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、
被害者参加人が著しく不安 又は 緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、

検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
その不安 又は 緊張を緩和するのに適当であり、

かつ、 裁判官 若しくは 訴訟関係人の尋問 若しくは 被告人に対する供述を求める行為 若しくは 訴訟関係人がする陳述を妨げ、 又は その陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、
被害者参加人に付き添わせることができる。
2項  前項の規定により被害者参加人に付き添うこととされた者は、
裁判官 若しくは 訴訟関係人の尋問 若しくは 被告人に対する供述を求める行為 若しくは 訴訟関係人がする陳述を妨げ、
又は その陳述の内容に不当な影響を与える
ような言動をしてはならない。
3項  裁判所は、
第1項の規定により被害者参加人に付き添うこととされた者が、
裁判官 若しくは 訴訟関係人の尋問 若しくは 被告人に対する供述を求める行為 若しくは 訴訟関係人がする陳述を妨げ、
又は その陳述の内容に不当な影響を与える

おそれがあると認めるに至つたとき
その他その者を被害者参加人に付き添わせることが相当でないと認めるに至つたときは、

決定で、
同項の決定を取り消すことができる。
4項  裁判所は、
被害者参加人が
第316条の34第1項の規定により公判期日 又は 公判準備に出席する場合において、
犯罪の性質、被害者参加人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、
被害者参加人が
被告人の面前において在席、尋問、質問 又は 陳述をするときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、
相当と認めるときは、

検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
弁護人が出頭している場合に限り、

被告人とその被害者参加人との間で、
被告人から被害者参加人の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。
5項  裁判所は、
被害者参加人が第316条の34第1項の規定により公判期日に出席する場合において、
犯罪の性質、被害者参加人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、
相当と認めるときは、

検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴き、
傍聴人とその被害者参加人との間で、
相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。
第4節 証拠    編章別条文→     ↑先頭へ
(証拠裁判主義)    条文別へ
第317条   事実の認定は、
証拠による。
(自由心証主義)    条文別へ
第318条   証拠の証明力は、
裁判官の自由な判断に委ねる。
(自白の証拠能力・証明力)    条文別へ
第319条  強制、拷問 又は 脅迫による自白、
不当に長く抑留 又は 拘禁された後の自白
その他任意にされたものでない疑のある自白は、

これを証拠とすることができない。
2項  被告人は、
公判廷における自白であると否とを問わず、
その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、

有罪とされない。
3項  前2項の自白には、
起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。
(伝聞証拠と証拠能力の制限)    条文別へ
第320条  第321条 乃至 第328条に規定する場合を除いては、
公判期日における供述に代えて
書面を証拠とし、
又は 公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。
2項  第291条の2の決定があつた事件の証拠については、
前項の規定は、
これを適用しない。
但し 検察官、被告人 又は 弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、
この限りでない。
(被告人以外の者の供述書・供述録取書の証拠能力)    条文別へ
第321条  被告人以外の者が作成した供述書
又は その者の供述を録取した書面で
供述者の署名 若しくは 押印のあるものは、

次に掲げる場合に限り、
これを証拠とすることができる。
 裁判官の面前第157条の4第1項に規定する方法による場合を含む。における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神 若しくは 身体の故障、所在不明 若しくは 国外にいるため公判準備 若しくは 公判期日において供述することができないとき、 又は 供述者が公判準備 若しくは 公判期日において前の供述と異つた供述をしたとき。
 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神 若しくは 身体の故障、所在不明 若しくは 国外にいるため公判準備 若しくは 公判期日において供述することができないとき、 又は 公判準備 若しくは 公判期日において前の供述と相反するか 若しくは 実質的に異つた供述をしたとき。但し 公判準備 又は 公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
 前2号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神 若しくは 身体の故障、所在不明 又は 国外にいるため公判準備 又は 公判期日において供述することができず 且つ その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。但し その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
2項  被告人以外の者の公判準備 若しくは 公判期日における供述を録取した書面
又は 裁判所 若しくは 裁判官の検証の結果を記載した書面は、

前項の規定にかかわらず、
これを証拠とすることができる。
3項  検察官、検察事務官 又は 司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、
その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、
その真正に作成されたものであることを供述したときは、

第1項の規定にかかわらず、
これを証拠とすることができる。
4項  鑑定の経過 及び 結果を記載した書面で
鑑定人の作成したものについても、

前項と同様である。
(ビデオリンク方式による証人尋問調書の証拠能力)    条文別へ
第321条の2  被告事件の公判準備 若しくは 公判期日における手続以外の刑事手続 又は 他の事件の刑事手続において
第157条の4第1項に規定する方法によりされた証人の尋問 及び 供述 並びに その状況を記録した記録媒体がその一部とされた調書は、

前条第1項の規定にかかわらず、
証拠とすることができる。
この場合において、
裁判所は、
その調書を取り調べた後、
訴訟関係人に対し、
その供述者を証人として尋問する機会を与えなければならない。
2項  前項の規定により調書を取り調べる場合においては、
第305条第5項ただし書の規定は、
適用しない。
3項  第1項の規定により取り調べられた調書に記録された証人の供述は、
第295条第1項前段 並びに 前条第1項第1号 及び 第2号の適用については、
被告事件の公判期日においてされたものとみなす。
(被告人の供述書・供述録取書の証拠能力)    条文別へ
第322条  被告人が作成した供述書 又は 被告人の供述を録取した書面で
被告人の署名 若しくは 押印のあるものは、

その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、
又は 特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、

これを証拠とすることができる。
但し 被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、
その承認が自白でない場合においても、
第319条の規定に準じ、
任意にされたものでない疑があると認めるときは、

これを証拠とすることができない。
2項  被告人の公判準備 又は 公判期日における供述を録取した書面は、
その供述が任意にされたものであると認めるときに限り、
これを証拠とすることができる。
(その他の書面の証拠能力)    条文別へ
第323条   前3条に掲げる書面以外の書面は、
次に掲げるものに限り、
これを証拠とすることができる。
 戸籍謄本、公正証書謄本その他公務員外国の公務員を含む。がその職務上証明することができる事実についてその公務員の作成した書面
 商業帳簿、航海日誌その他業務の通常の過程において作成された書面
 前2号に掲げるものの外特に信用すべき情況の下に作成された書面
(伝聞の供述)    条文別へ
第324条  被告人以外の者の公判準備 又は 公判期日における供述で
被告人の供述をその内容とするものについては、

第322条の規定を準用する。
2項  被告人以外の者の公判準備 又は 公判期日における供述で
被告人以外の者の供述をその内容とするものについては、

第321条第1項第3号の規定を準用する。
(供述の任意性の調査)    条文別へ
第325条   裁判所は、
第321条から前条までの規定により証拠とすることができる書面 又は 供述であつても、
あらかじめ、
その書面に記載された供述 又は 公判準備 若しくは 公判期日における供述の内容となつた他の者の供述が任意にされたものかどうかを調査した後でなければ、

これを証拠とすることができない。
(当事者の同意と書面供述の証拠能力)    条文別へ
第326条  検察官 及び 被告人が証拠とすることに同意した書面 又は 供述は、
その書面が作成され 又は 供述のされたときの情況を考慮し相当と認めるときに限り、
第321条 乃至 前条の規定にかかわらず、
これを証拠とすることができる。
2項  被告人が出頭しないでも証拠調を行うことができる場合において、
被告人が出頭しないときは、

前項の同意があつたものとみなす。
但し 代理人 又は 弁護人が出頭したときは、
この限りでない。
(合意による書面の証拠能力)    条文別へ
第327条   裁判所は、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人が合意の上、
文書の内容
又は 公判期日に出頭すれば供述することが予想されるその供述の内容
を書面に記載して提出したときは、

その文書 又は 供述すべき者を取り調べないでも、
その書面を証拠とすることができる。
この場合においても、
その書面の証明力を争うことを妨げない。
(証明力を争うための証拠)    条文別へ
第328条   第321条 乃至 第324条の規定により証拠とすることができない書面 又は 供述であつても、
公判準備 又は 公判期日における被告人、証人その他の者の供述の証明力を争うためには、
これを証拠とすることができる。
第5節 公判の裁判    編章別条文→     ↑先頭へ
(管轄違いの判決)    条文別へ
第329条   被告事件が裁判所の管轄に属しないときは、
判決で
管轄違の言渡をしなければならない。

但し 第266条第2号の規定により地方裁判所の審判に付された事件については、
管轄違の言渡をすることはできない。
(管轄違い言渡しの制限)    条文別へ
第330条   高等裁判所は、
その特別権限に属する事件として公訴の提起があつた場合において、
その事件が下級の裁判所の管轄に属するものと認めるときは、

前条の規定にかかわらず、
決定で
管轄裁判所にこれを移送しなければならない。
(同前−管轄違い言渡しの制限A)    条文別へ
第331条  裁判所は、
被告人の申立がなければ、
土地管轄について、
管轄違の言渡をすることができない。
2項  管轄違の申立は、
被告事件につき証拠調を開始した後は、
これをすることができない。
(移送の決定)    条文別へ
第332条   簡易裁判所は、
地方裁判所において審判するのを相当と認めるときは、
決定で
管轄地方裁判所にこれを移送しなければならない。
(刑の言渡しの判決、刑の執行猶予の言渡し)    条文別へ
第333条  被告事件について犯罪の証明があつたときは、
第334条の場合を除いては、
判決で
刑の言渡をしなければならない。
2項  刑の執行猶予は、
刑の言渡しと同時に、
判決でその言渡しをしなければならない。

猶予の期間中保護観察に付する場合も、
同様とする。
(刑の免除の判決)    条文別へ
第334条   被告事件について刑を免除するときは、
判決で
その旨の言渡をしなければならない。
(有罪判決に示すべき理由)    条文別へ
第335条  有罪の言渡をするには、
罪となるべき事実、
証拠の標目
及び 法令の適用を示さなければならない。
2項  法律上犯罪の成立を妨げる理由
又は 刑の加重減免の理由
となる事実が主張されたときは、

これに対する判断を示さなければならない。
(無罪の判決)    条文別へ
第336条   被告事件が罪とならないとき、
又は 被告事件について犯罪の証明がないときは、

判決で
無罪の言渡をしなければならない。
(免訴の判決)    条文別へ
第337条   左の場合には、
判決で
免訴の言渡をしなければならない。
 確定判決を経たとき。
 犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。
 大赦があつたとき。
 時効が完成したとき。
(公訴棄却の判決)    条文別へ
第338条   左の場合には、
判決で
公訴を棄却しなければならない。
 被告人に対して裁判権を有しないとき。
 第340条の規定に違反して公訴が提起されたとき。
 公訴の提起があつた事件について、更に同一裁判所に公訴が提起されたとき。
 公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。
(公訴棄却の決定)    条文別へ
第339条  左の場合には、
決定で
公訴を棄却しなければならない。
 第271条第2項の規定により公訴の提起がその効力を失つたとき。
 起訴状に記載された事実が真実であつても、何らの罪となるべき事実を包含していないとき。
 公訴が取り消されたとき。
 被告人が死亡し、 又は 被告人たる法人が存続しなくなつたとき。
 第10条 又は 第11条の規定により審判してはならないとき。
2項  前項の決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(公訴取消しによる公訴棄却と再起訴の要件)    条文別へ
第340条   公訴の取消による公訴棄却の決定が確定したときは、
公訴の取消後犯罪事実につきあらたに重要な証拠を発見した場合に限り、
同一事件について更に公訴を提起することができる。
(被告人の陳述を聴かない判決)    条文別へ
第341条   被告人が
陳述をせず、
許可を受けないで退廷し、
又は 秩序維持のため裁判長から退廷を命ぜられたときは、

その陳述を聴かないで
判決をすることができる。
(判決の宣告)    条文別へ
第342条   判決は、
公判廷において、
宣告により
これを告知する。
(禁錮以上の刑の宣告と保釈等の失効)    条文別へ
第343条   禁錮以上の刑に処する判決の宣告があつたときは、
保釈 又は 勾留の執行停止は、
その効力を失う。
この場合には、
あらたに保釈 又は 勾留の執行停止の決定がないときに限り、
第98条の規定を準用する。
(禁錮以上の刑の宣告後における勾留期間等)    条文別へ
第344条   禁錮以上の刑に処する判決の宣告があつた後は、
第60条第2項但書 及び 第89条の規定は、
これを適用しない。
(無罪等の宣告と勾留状の失効)    条文別へ
第345条   無罪、免訴、刑の免除、刑の全部の執行猶予、公訴棄却(第338条第4号による場合を除く。)、罰金 又は 科料の裁判の告知があつたときは、
勾留状は、
その効力を失う。
(没収の言渡しがない押収物)    条文別へ
第346条   押収した物について、
没収の言渡がないときは、
押収を解く言渡があつたものとする。
(押収物還付の言渡し)    条文別へ
第347条  押収した贓物で
被害者に還付すべき理由が明らかなものは、

これを被害者に還付する言渡をしなければならない。
2項  贓物の対価として得た物について、
被害者から交付の請求があつたときは、
前項の例による。
3項  仮に還付した物について、
別段の言渡がないときは、
還付の言渡があつたものとする。
4項  前3項の規定は、
民事訴訟の手続に従い、
利害関係人がその権利を主張することを妨げない。
(仮納付の判決)    条文別へ
第348条  裁判所は、
罰金、科料 又は 追徴を言い渡す場合において、
判決の確定を待つてはその執行をすることができず、
又は その執行をするのに著しい困難を生ずる虞があると認めるときは、

検察官の請求により
又は 職権で、
被告人に対し、
仮に罰金、科料 又は 追徴に相当する金額を納付すべきことを命ずることができる。
2項  仮納付の裁判は、
刑の言渡と同時に、
判決で
その言渡をしなければならない。
3項  仮納付の裁判は、
直ちにこれを執行することができる。
(刑の執行猶予取消しの手続)    条文別へ
第349条  刑の執行猶予の言渡を取り消すべき場合には、
検察官は、
刑の言渡を受けた者の現在地 又は 最後の住所地
を管轄する地方裁判所、家庭裁判所 又は 簡易裁判所に対し
その請求をしなければならない。
2項  刑法第26条の2第2号 又は 第27条の5第2号の規定により
刑の執行猶予の言渡しを取り消すべき場合には、

前項の請求は、
保護観察所の長の申出に基づいてこれをしなければならない。
(同前−刑の執行猶予取消しの手続A)    条文別へ
第349条の2  前条の請求があつたときは、
裁判所は、
猶予の言渡を受けた者 又は その代理人の意見を聴いて
決定をしなければならない。
2項  前項の場合において、
その請求が刑法第26条の2第2号 又は 第27条の5第2号の規定による猶予の言渡しの取消しを求めるものであつて、
猶予の言渡しを受けた者の請求があるときは、

口頭弁論を経なければならない。
3項  第1項の決定をするについて口頭弁論を経る場合には、
猶予の言渡を受けた者は、
弁護人を選任することができる。
4項  第1項の決定をするについて口頭弁論を経る場合には、
検察官は、
裁判所の許可を得て、
保護観察官に意見を述べさせることができる。
5項  第1項の決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(併合罪中大赦を受けない罪の刑を定める手続)    条文別へ
第350条   刑法第52条の規定により刑を定むべき場合には、
検察官は、
その犯罪事実について最終の判決をした裁判所に
その請求をしなければならない。

この場合には、
前条第1項 及び 第5項の規定を準用する。
第4章 即決裁判手続    編章別条文→     ↑先頭へ
第1節 即決裁判手続の申立て    編章別条文→     ↑先頭へ
(申立ての要件と手続)    条文別へ
第350条の2  検察官は、
公訴を提起しようとする事件について、
事案が明白であり、

かつ、 軽微であること、
証拠調べが速やかに終わると見込まれること
その他の事情を考慮し、
相当と認めるときは、

公訴の提起と同時に、
書面により

即決裁判手続の申立てをすることができる。
ただし、 死刑 又は 無期 若しくは 短期1年以上の懲役 若しくは 禁錮に当たる事件については、
この限りでない。
2項  前項の申立ては、
即決裁判手続によることについての被疑者の同意がなければ、
これをすることができない。
3項  検察官は、
被疑者に対し、
前項の同意をするかどうかの確認を求める
ときは、

これを書面でしなければならない。
この場合において、
検察官は、
被疑者に対し、
即決裁判手続を理解させるために必要な事項
被疑者に弁護人がないときは次条の規定により弁護人を選任することができる旨を含む。)を説明し、
通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げなければならない。
4項  被疑者に弁護人がある場合には、
第1項の申立ては、
被疑者が第2項の同意をするほか、
弁護人が即決裁判手続によることについて同意をし 又は その意見を留保しているときに限り、

これをすることができる。
5項  被疑者が
第2項の同意をし、
及び 弁護人が
前項の同意をし 又は その意見を留保するときは、

書面で
その旨を明らかにしなければならない。
6項  第1項の書面には、
前項の書面を添付しなければならない。
(同意確認のための公的弁護人の選任)    条文別へ
第350条の3  前条第3項の確認を求められた被疑者が
即決裁判手続によることについて同意をするかどうかを明らかにしようとする場合において、
被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、

裁判官は、
その請求により、
被疑者のため弁護人を付さなければならない。

ただし、 被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合は、
この限りでない。
2項  第37条の3の規定は、
前項の請求をする場合
についてこれを準用する。
第2節 公判準備 及び 公判手続の特例    編章別条文→     ↑先頭へ
(職権による公的弁護人の選任)    条文別へ
第350条の4   即決裁判手続の申立てがあつた場合において、
被告人に弁護人がないときは、

裁判長は、
できる限り速やかに、
職権で
弁護人を付さなければならない。
(検察官請求証拠の開示)    条文別へ
第350条の5   検察官は、
即決裁判手続の申立てをした事件について、
被告人 又は 弁護人に対し、
第299条第1項の規定により証拠書類を閲覧する機会
その他の同項に規定する機会を与えるべき場合には、

できる限り速やかに、
その機会を与えなければならない。
(弁護人に対する同意の確認)    条文別へ
第350条の6  裁判所は、
即決裁判手続の申立てがあつた事件について、
弁護人が即決裁判手続によることについてその意見を留保しているとき、
又は 即決裁判手続の申立てがあつた後に弁護人が選任されたときは、

弁護人に対し、
できる限り速やかに、
即決裁判手続によることについて同意をするかどうかの確認を求めなければならない。
2項  弁護人は、
前項の同意をするときは、
書面で
その旨を明らかにしなければならない。
(公判期日の指定)    条文別へ
第350条の7   裁判長は、
即決裁判手続の申立てがあつたときは、
検察官 及び 被告人 又は 弁護人の意見を聴いた上で、
その申立て後
前条第1項に規定する場合においては、同項の同意があつた後)
できる限り早い時期の公判期日を定めなければならない。
(即決裁判手続による審判の決定)    条文別へ
第350条の8   裁判所は、
即決裁判手続の申立てがあつた事件について、
第291条第4項の手続に際し、
被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述をしたときは、

次に掲げる場合を除き、
即決裁判手続によつて審判をする旨の決定をしなければならない。
 第350条の2第2項 又は 第4項の同意が撤回されたとき。
 第350条の6第1項に規定する場合において、同項の同意がされなかつたとき、 又は その同意が撤回されたとき。
 前2号に掲げるもののほか、当該事件が即決裁判手続によることができないものであると認めるとき。
 当該事件が即決裁判手続によることが相当でないものであると認めるとき。
(必要的弁護)    条文別へ
第350条の9   前条の手続を行う公判期日 及び 即決裁判手続による公判期日については、
弁護人がないときは、
これを開くことができない。
(公判審理の方式)    条文別へ
第350条の10  第350条の8の決定のための審理 及び 即決裁判手続による審判については、
第284条、
第285条、
第296条、
第297条、
第300条から第302条まで
及び 第304条から第307条までの規定は、

これを適用しない。
2項  即決裁判手続による証拠調べは、
公判期日において、
適当と認める方法でこれを行うことができる。
(即決裁判手続による審判の決定の取消し)    条文別へ
第350条の11  裁判所は、
第350条の8の決定があつた事件について、
次の各号のいずれかに該当することとなつた場合には、

当該決定を取り消さなければならない。
 判決の言渡し前に、被告人 又は 弁護人が即決裁判手続によることについての同意を撤回したとき。
 判決の言渡し前に、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述を撤回したとき。
 前2号に掲げるもののほか、当該事件が即決裁判手続によることができないものであると認めるとき。
 当該事件が即決裁判手続によることが相当でないものであると認めるとき。
2項  前項の規定により第350条の8の決定が取り消されたときは、
公判手続を更新しなければならない。
ただし、 検察官 及び 被告人 又は 弁護人に異議がないときは、
この限りでない。
(伝聞証拠排斥の適用除外)    条文別へ
第350条の12   即決裁判手続の申立てを却下する決定第350条の8第3号 又は 第4号に掲げる場合に該当することを理由とするものを除く。
があつた事件について、
当該決定後、
証拠調べが行われることなく公訴が取り消された場合において、
公訴の取消しによる公訴棄却の決定が確定したときは、

第340条の規定にかかわらず、
同一事件について更に公訴を提起することができる。
前条第1項第1号、第2号 又は 第4号のいずれかに該当すること同号については被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述と相反するか 又は 実質的に異なつた供述をしたことにより同号に該当する場合に限る。)
となつたことを理由として第350条の8の決定が取り消された事件について、
当該取消しの決定後、
証拠調べが行われることなく公訴が取り消された場合において、
公訴の取消しによる公訴棄却の決定が確定したときも、

同様とする。
第3節 証拠の特例    編章別条文→     ↑先頭へ
(即日判決の要請)    条文別へ
第350条の13   第350条の8の決定があつた事件の証拠については、
第320条第1項の規定は、
これを適用しない。
ただし、 検察官、被告人 又は 弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、
この限りでない。
第4節 公判の裁判の特例    編章別条文→     ↑先頭へ
(懲役 又は 禁錮の言渡し)    条文別へ
第350条の14   裁判所は、
第350条の8の決定があつた事件については、
できる限り、
即日判決の言渡しをしなければならない。
(懲役 又は 禁錮の言渡しにおける執行猶予)    条文別へ
第350条の15   即決裁判手続において懲役 又は 禁錮の言渡しをする場合には、
その刑の全部の執行猶予の言渡しをしなければならない。
第3編 上訴    編章別条文→     ↑先頭へ
第1章 通則    編章別条文→     ↑先頭へ
(上訴権者)    条文別へ
第351条  検察官 又は 被告人は、
上訴をすることができる。
2項  第266条第2号の規定により裁判所の審判に付された事件と他の事件とが併合して審判され、
一個の裁判があつた場合には、

第268条第2項の規定により検察官の職務を行う弁護士
及び 当該他の事件の検察官は、

その裁判に対し
各々独立して上訴をすることができる。
(同前−上訴権者A)    条文別へ
第352条   検察官 又は 被告人以外の者で決定を受けたものは、
抗告をすることができる。
(同前−上訴権者B)    条文別へ
第353条   被告人の法定代理人 又は 保佐人は、
被告人のため
上訴をすることができる。
(同前−上訴権者C)    条文別へ
第354条   勾留に対しては、
勾留の理由の開示があつたときは、
その開示の請求をした者も、
被告人のため上訴をすることができる。
その上訴を棄却する決定に対しても、
同様である。
(同前−上訴権者D)    条文別へ
第355条   原審における代理人 又は 弁護人は、
被告人のため上訴をすることができる。
(同前−上訴権者E)    条文別へ
第356条   前3条の上訴は、
被告人の明示した意思に反してこれをすることができない。
(一部上訴)    条文別へ
第357条   上訴は、
裁判の一部に対してこれをすることができる。
部分を限らないで上訴をしたときは、
裁判の全部に対してしたものとみなす。
(上訴提起期間)    条文別へ
第358条   上訴の提起期間は、
裁判が告知された日から進行する。
(上訴の放棄・取下げ)    条文別へ
第359条   検察官、被告人 又は 第352条に規定する者は、
上訴の放棄 又は 取下をすることができる。
(同前−上訴の放棄・取下げA)    条文別へ
第360条   第353条 又は 第354条に規定する者は、
書面による被告人の同意を得て、
上訴の放棄 又は 取下をすることができる。
(上訴放棄の制限)    条文別へ
第360条の2   死刑 又は 無期の懲役 若しくは 禁錮に処する判決に対する上訴は、
前2条の規定にかかわらず、
これを放棄することができない。
(上訴放棄の手続)    条文別へ
第360条の3   上訴放棄の申立は、
書面でこれをしなければならない。
(上訴の放棄・取下げと再上訴)    条文別へ
第361条   上訴の放棄 又は 取下をした者は、
その事件について更に上訴をすることができない。
上訴の放棄 又は 取下に同意をした被告人も、
同様である。
(上訴回復)    条文別へ
第362条   第351条 乃至 第355条の規定により上訴をすることができる者は、
自己 又は 代人の責に帰することができない事由によつて上訴の提起期間内に上訴をすることができなかつたときは、
原裁判所に上訴権回復の請求をすることができる。
(同前−上訴回復A)    条文別へ
第363条  上訴権回復の請求は、
事由が止んだ日から上訴の提起期間に相当する期間内にこれをしなければならない。
2項  上訴権回復の請求をする者は、
その請求と同時に上訴の申立をしなければならない。
(同前−上訴回復B)    条文別へ
第364条   上訴権回復の請求についてした決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(同前−上訴回復C)    条文別へ
第365条   上訴権回復の請求があつたときは、
原裁判所は、
前条の決定をするまで
裁判の執行を停止する決定をすることができる。
この場合には、
被告人に対し勾留状を発することができる。
(刑事施設にいる被告人に関する特則)    条文別へ
第366条  刑事施設にいる被告人が
上訴の提起期間内に
上訴の申立書を
刑事施設の長 又は その代理者に差し出したときは、

上訴の提起期間内に上訴をしたものとみなす。
2項  被告人が自ら申立書を作ることができないときは、
刑事施設の長 又は その代理者は、
これを代書し、 又は 所属の職員にこれをさせなければならない。
(同前−刑事施設にいる被告人に関する特則A)    条文別へ
第367条   前条の規定は、
刑事施設にいる被告人が上訴の放棄 若しくは 取下げ 又は 上訴権回復の請求をする場合に
これを準用する。
(削除)    条文別へ
第368条   削除
(削除)    条文別へ
第369条   削除
(削除)    条文別へ
第370条   削除
(削除)    条文別へ
第371条   削除
第2章 控訴    編章別条文→     ↑先頭へ
(控訴を許す判決)    条文別へ
第372条   控訴は、
地方裁判所 又は 簡易裁判所がした第一審の判決に対してこれをすることができる。
(控訴提起期間)    条文別へ
第373条   控訴の提起期間は、
14日とする。
(控訴提起の方式)    条文別へ
第374条   控訴をするには、
申立書を
第一審裁判所に差し出さなければならない。
(第一審裁判所による控訴棄却の決定)    条文別へ
第375条   控訴の申立が明らかに控訴権の消滅後にされたものであるときは、
第一審裁判所は、
決定で
これを棄却しなければならない。

この決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(控訴趣意書)    条文別へ
第376条  控訴申立人は、
裁判所の規則で定める期間内に
控訴趣意書を
控訴裁判所に差し出さなければならない。
2項  控訴趣意書には、
この法律 又は 裁判所の規則の定めるところにより、
必要な疎明資料 又は 検察官 若しくは 弁護人の保証書を添附しなければならない。
(控訴申立ての理由と控訴趣意書−絶対的控訴理由)    条文別へ
第377条   左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、
控訴趣意書に、
その事由があることの充分な証明をすることができる旨の
検察官 又は 弁護人の保証書を添附しなければならない。
 法律に従つて判決裁判所を構成しなかつたこと。
 法令により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
 審判の公開に関する規定に違反したこと。
(控訴申立ての理由と控訴趣意書A−絶対的控訴理由A)    条文別へ
第378条   左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、
控訴趣意書に、
訴訟記録 及び 原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて
その事由があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
 不法に管轄 又は 管轄違を認めたこと。
 不法に、公訴を受理し、 又は これを棄却したこと。
 審判の請求を受けた事件について判決をせず、 又は 審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。
 判決に理由を附せず、 又は 理由にくいちがいがあること。
(控訴申立ての理由と控訴趣意書B−訴訟手続の法令違反)    条文別へ
第379条   前2条の場合を除いて、
訴訟手続に法令の違反があつてその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、
控訴趣意書に、
訴訟記録 及び 原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて
明らかに判決に影響を及ぼすべき法令の違反があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
(控訴申立ての理由と控訴趣意書C−法令の適用の誤り)    条文別へ
第380条   法令の適用に誤があつて
その誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として
控訴の申立をした場合には、

控訴趣意書に、
その誤 及び その誤が明らかに判決に影響を及ぼすべきことを示さなければならない。
(控訴申立ての理由と控訴趣意書D−刑の量定不当)    条文別へ
第381条   刑の量定が不当であることを理由として
控訴の申立をした場合には、

控訴趣意書に、
訴訟記録 及び 原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて
刑の量定が不当であることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
(控訴申立ての理由と控訴趣意書E−事実誤認)    条文別へ
第382条   事実の誤認があつてその誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として
控訴の申立をした場合には、

控訴趣意書に、
訴訟記録 及び 原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて
明らかに判決に影響を及ぼすべき誤認があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
(控訴申立ての理由と控訴趣意書F−弁論終結後の事情)    条文別へ
第382条の2  やむを得ない事由によつて第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかつた証拠によつて証明することのできる事実であつて
前2条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものは、

訴訟記録 及び 原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実以外の事実であつても、
控訴趣意書にこれを援用することができる。
2項  第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であつて
前2条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものについても、

前項と同様である。
3項  前2項の場合には、
控訴趣意書に、
その事実を疎明する資料を添附しなければならない。
第1項の場合には、
やむを得ない事由によつてその証拠の取調を請求することができなかつた旨
を疎明する資料をも添附しなければならない。
(控訴申立ての理由と控訴趣意書G−再審事由その他)    条文別へ
第383条   左の事由があることを理由として
控訴の申立をした場合には、

控訴趣意書に、
その事由があることを疎明する資料を添附しなければならない。
 再審の請求をすることができる場合にあたる事由があること。
 判決があつた後に刑の廃止 若しくは 変更 又は 大赦があつたこと。
(控訴理由)    条文別へ
第384条   控訴の申立は、
第377条 乃至 第382条 及び 前条に規定する事由があることを理由とするときに限り、
これをすることができる。
(控訴棄却の決定)    条文別へ
第385条  控訴の申立が
法令上の方式に違反し、
又は 控訴権の消滅後にされた

ものであることが明らかなときは、

控訴裁判所は、
決定で
これを棄却しなければならない。
2項  前項の決定に対しては、
第428条第2項の異議の申立をすることができる。
この場合には、
即時抗告に関する規定をも準用する。
(同前−控訴棄却の決定A)    条文別へ
第386条  左の場合には、
控訴裁判所は、
決定で
控訴を棄却しなければならない。
 第376条第1項に定める期間内に控訴趣意書を差し出さないとき。
 控訴趣意書がこの法律 若しくは 裁判所の規則で定める方式に違反しているとき、 又は 控訴趣意書にこの法律 若しくは 裁判所の規則の定めるところに従い必要な疎明資料 若しくは 保証書を添附しないとき。
 控訴趣意書に記載された控訴の申立の理由が、明らかに第377条 乃至 第382条 及び 第383条に規定する事由に該当しないとき。
2項  前条第2項の規定は、
前項の決定についてこれを準用する。
(弁護人の資格)    条文別へ
第387条   控訴審では、
弁護士以外の者を弁護人に選任することはできない。
(弁論能力)    条文別へ
第388条   控訴審では、
被告人のためにする弁論は、
弁護人でなければ、
これをすることができない。
(弁論)    条文別へ
第389条   公判期日には、
検察官 及び 弁護人は、
控訴趣意書に基いて
弁論をしなければならない。
(被告人の出頭)    条文別へ
第390条   控訴審においては、
被告人は、
公判期日に出頭することを要しない。
ただし、 裁判所は、
50万円
刑法、暴力行為等処罰に関する法律 及び 経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については当分の間、5万円以下の罰金 又は 科料に当たる事件以外の事件について、
被告人の出頭がその権利の保護のため重要であると認めるときは、

被告人の出頭を命ずることができる。
(弁護人の不出頭)    条文別へ
第391条   弁護人が出頭しないとき、
又は 弁護人の選任がないときは、

この法律により弁護人を要する場合
又は 決定で弁護人を附した場合を除いては、

検察官の陳述を聴いて
判決をすることができる。
(調査の範囲)    条文別へ
第392条  控訴裁判所は、
控訴趣意書に包含された事項は、
これを調査しなければならない。
2項  控訴裁判所は、
控訴趣意書に包含されない事項であつても、
第377条 乃至 第382条 及び 第383条に規定する事由に関しては、
職権で
調査をすることができる。
(事実の取調べ)    条文別へ
第393条  控訴裁判所は、
前条の調査をするについて必要があるときは、
検察官、被告人 若しくは 弁護人の請求により
又は 職権で
事実の取調をすることができる。

但し 第382条の2の疎明があつたものについては、
刑の量定の不当 又は 判決に影響を及ぼすべき事実の誤認を証明するために欠くことのできない場合に限り、
これを取り調べなければならない。
2項  控訴裁判所は、
必要があると認めるときは、
職権で、
第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状につき
取調をすることができる。
3項  前2項の取調は、
合議体の構成員にこれをさせ、
又は 地方裁判所、家庭裁判所 若しくは 簡易裁判所の裁判官に
これを嘱託することができる。

この場合には、
受命裁判官 及び 受託裁判官は、
裁判所 又は 裁判長と同一の権限を有する。
4項  第1項 又は 第2項の規定による取調をしたときは、
検察官 及び 弁護人は、
その結果に基いて弁論をすることができる。
(証拠能力)    条文別へ
第394条   第一審において証拠とすることができた証拠は、
控訴審においても、
これを証拠とすることができる。
(控訴棄却の判決)    条文別へ
第395条   控訴の申立が法令上の方式に違反し、
又は 控訴権の消滅後にされたものであるときは、

判決で
控訴を棄却しなければならない。
(同前−控訴棄却の判決A)    条文別へ
第396条   第377条 乃至 第382条 及び 第383条に規定する事由がないときは、
判決で
控訴を棄却しなければならない。
(破棄の判決)    条文別へ
第397条  第377条 乃至 第382条 及び 第383条に規定する事由があるときは、
判決で
原判決を破棄しなければならない。
2項  第393条第2項の規定による取調の結果、
原判決を破棄しなければ明らかに正義に反すると認めるときは、

判決で
原判決を破棄することができる。
(破棄差戻し)    条文別へ
第398条   不法に、管轄違を言い渡し、 又は 公訴を棄却したこと
を理由として原判決を破棄するときは、

判決で
事件を原裁判所に差し戻さなければならない。
(破棄移送)    条文別へ
第399条   不法に管轄を認めたこと
を理由として原判決を破棄するときは、

判決で
事件を管轄第一審裁判所に移送しなければならない。

但し 控訴裁判所は、
その事件について第一審の管轄権を有するときは、
第一審として審判をしなければならない。
(破棄差戻し・移送・自判)    条文別へ
第400条   前2条に規定する理由以外の理由によつて原判決を破棄するときは、
判決で、
事件を原裁判所に差し戻し、
又は 原裁判所と同等の他の裁判所に移送しなければならない。

但し 控訴裁判所は、
訴訟記録 並びに 原裁判所 及び 控訴裁判所において取り調べた証拠によつて、
直ちに判決をすることができるものと認めるときは、

被告事件について更に判決をすることができる。
(共同被告人のための破棄)    条文別へ
第401条   被告人の利益のため原判決を破棄する場合において、
破棄の理由が控訴をした共同被告人に共通であるときは、

その共同被告人のためにも
原判決を破棄しなければならない。
(不利益変更の禁止)    条文別へ
第402条   被告人が控訴をし、 又は 被告人のため控訴をした事件については、
原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。
(公訴棄却の決定)    条文別へ
第403条  原裁判所が不法に公訴棄却の決定をしなかつたときは、
決定で
公訴を棄却しなければならない。
2項  第385条第2項の規定は、
前項の決定についてこれを準用する。
(控訴の制限)    条文別へ
第403条の2  即決裁判手続においてされた判決に対する控訴の申立ては、
第384条の規定にかかわらず、
当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について
第382条に規定する事由があることを理由としては、
これをすることができない。
2項  原裁判所が即決裁判手続によつて判決をした事件については、
第397条第1項の規定にかかわらず、
控訴裁判所は、
当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について
第382条に規定する事由があることを理由としては、
原判決を破棄することができない。
(準用規定)    条文別へ
第404条   第2編中公判に関する規定は、
この法律に特別の定のある場合を除いては、
控訴の審判についてこれを準用する。
第3章 上告    編章別条文→     ↑先頭へ
(上告を許す判決・上告申立ての理由)    条文別へ
第405条   高等裁判所がした第一審 又は 第二審の判決に対しては、
左の事由があることを理由として
上告の申立をすることができる。
 憲法の違反があること 又は 憲法の解釈に誤があること。
 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
 最高裁判所の判例がない場合に、大審院 若しくは 上告裁判所たる高等裁判所の判例 又は この法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
(上告を許す判決・上告申立ての理由の特則)    条文別へ
第406条   最高裁判所は、
前条の規定により上告をすることができる場合以外の場合であつても、
法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件については、
その判決確定前に限り、
裁判所の規則の定めるところにより、

自ら上告審としてその事件を受理することができる。
(上告趣意書)    条文別へ
第407条   上告趣意書には、
裁判所の規則の定めるところにより、
上告の申立の理由を明示しなければならない。
(弁論を経ない上告棄却の判決)    条文別へ
第408条   上告裁判所は、
上告趣意書その他の書類によつて、
上告の申立の理由がないことが明らかであると認めるときは、

弁論を経ないで、
判決で
上告を棄却することができる。
(被告人召喚の不要)    条文別へ
第409条   上告審においては、
公判期日に
被告人を召喚することを要しない。
(破棄の判決)    条文別へ
第410条  上告裁判所は、
第405条各号に規定する事由があるときは、
判決で
原判決を破棄しなければならない。

但し 判決に影響を及ぼさないことが明らかな場合は、
この限りでない。
2項  第405条第2号 又は 第3号に規定する事由のみがある場合において、
上告裁判所がその判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは、

前項の規定は、
これを適用しない。
(同前−破棄の判決A)    条文別へ
第411条   上告裁判所は、
第405条各号に規定する事由がない場合であつても、
左の事由があつて
原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、

判決で
原判決を破棄することができる。
 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。
 刑の量定が甚しく不当であること。
 判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること。
 再審の請求をすることができる場合にあたる事由があること。
 判決があつた後に刑の廃止 若しくは 変更 又は 大赦があつたこと。
(破棄移送)    条文別へ
第412条   不法に管轄を認めたことを理由として原判決を破棄するときは、
判決で
事件を管轄控訴裁判所 又は 管轄第一審裁判所に移送しなければならない。
(破棄差戻し・移送・自判)    条文別へ
第413条   前条に規定する理由以外の理由によつて原判決を破棄するときは、
判決で、
事件を原裁判所 若しくは 第一審裁判所に差し戻し、
又は これらと同等の他の裁判所に移送しなければならない。

但し 上告裁判所は、
訴訟記録 並びに 原裁判所 及び 第一審裁判所において取り調べた証拠によつて、
直ちに判決をすることができるものと認めるときは、

被告事件について更に判決をすることができる。
(上告審における破棄事由の制限)    条文別へ
第413条の2   第一審裁判所が即決裁判手続によつて判決をした事件については、
第411条の規定にかかわらず、
上告裁判所は、
当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について
同条第3号に規定する事由があることを理由としては、
原判決を破棄することができない。
(準用規定)    条文別へ
第414条   前章の規定は、
この法律に特別の定のある場合を除いては、
上告の審判についてこれを準用する。
(訂正の判決)    条文別へ
第415条  上告裁判所は、
その判決の内容に誤のあることを発見したときは、
検察官、被告人 又は 弁護人の申立により、
判決で

これを訂正することができる。
2項  前項の申立は、
判決の宣告があつた日から10日以内に
これをしなければならない。
3項  上告裁判所は、
適当と認めるときは、
第1項に規定する者の申立により、
前項の期間を延長することができる。
(同前−訂正の判決A)    条文別へ
第416条   訂正の判決は、
弁論を経ないでもこれをすることができる。
(同前−訂正の判決B)    条文別へ
第417条  上告裁判所は、
訂正の判決をしないときは、
速やかに
決定で
申立を棄却しなければならない。
2項  訂正の判決に対しては、
第415条第1項の申立をすることはできない。
(上告判決の確定)    条文別へ
第418条   上告裁判所の判決は、
宣告があつた日から第415条の期間を経過したとき、
又は その期間内に同条第1項の申立があつた場合には訂正の判決 若しくは 申立を棄却する決定があつたときに、

確定する。
第4章 抗告    編章別条文→     ↑先頭へ
(一般抗告を許す決定)    条文別へ
第419条   抗告は、
特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合の外、
裁判所のした決定に対して
これをすることができる。

但し この法律に特別の定のある場合は、
この限りでない。
(判決前の決定に対する抗告)    条文別へ
第420条  裁判所の管轄 又は 訴訟手続に関し
判決前にした決定に対しては、

この法律に特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合を除いては、
抗告をすることはできない。
2項  前項の規定は、
勾留、保釈、押収 又は 押収物の還付に関する決定
及び 鑑定のためにする留置に関する決定については、
これを適用しない。
3項  勾留に対しては、
前項の規定にかかわらず、
犯罪の嫌疑がないことを理由として
抗告をすることはできない。
(通常抗告の時期)    条文別へ
第421条   抗告は、
即時抗告を除いては、
何時でもこれをすることができる。
但し 原決定を取り消しても実益がないようになつたときは、
この限りでない。
(即時抗告の提起期間)    条文別へ
第422条   即時抗告の提起期間は、
3日とする。
(抗告の手続)    条文別へ
第423条  抗告をするには、
申立書を
原裁判所に差し出さなければならない。
2項  原裁判所は、
抗告を理由があるものと認めるときは、
決定を更正しなければならない。
抗告の全部 又は 一部を理由がないと認めるときは、
申立書を受け取つた日から3日以内に
意見書を添えて、
これを抗告裁判所に送付しなければならない。
(通常抗告と執行停止)    条文別へ
第424条  抗告は、
即時抗告を除いては、
裁判の執行を停止する効力を有しない。
但し 原裁判所は、
決定で、
抗告の裁判があるまで

執行を停止することができる。
2項  抗告裁判所は、
決定で
裁判の執行を停止することができる。
(即時抗告の執行停止の効力)    条文別へ
第425条   即時抗告の提起期間内 及び その申立があつたときは、
裁判の執行は、
停止される。
(抗告に対する決定)    条文別へ
第426条  抗告の手続がその規定に違反したとき、
又は 抗告が理由のないときは、

決定で
抗告を棄却しなければならない。
2項  抗告が理由のあるときは、
決定で
原決定を取り消し、

必要がある場合には、
更に裁判をしなければならない。
(再抗告の禁止)    条文別へ
第427条   抗告裁判所の決定に対しては、
抗告をすることはできない。
(高等裁判所の決定に対する抗告の禁止、抗告に代わる異議申立て)    条文別へ
第428条  高等裁判所の決定に対しては、
抗告をすることはできない。
2項  即時抗告をすることができる旨の規定がある決定
並びに 第419条 及び 第420条の規定により抗告をすることができる決定
で高等裁判所がしたものに対しては、

その高等裁判所に異議の申立をすることができる。
3項  前項の異議の申立に関しては、
抗告に関する規定を準用する。
即時抗告をすることができる旨の規定がある決定に対する異議の申立に関しては、
即時抗告に関する規定をも準用する。
(準抗告)    条文別へ
第429条  裁判官が左の裁判をした場合において、
不服がある者は、
簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、
その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所に
その裁判の取消 又は 変更を請求することができる。
 忌避の申立を却下する裁判
 勾留、保釈、押収 又は 押収物の還付に関する裁判
 鑑定のため留置を命ずる裁判
 証人、鑑定人、通訳人 又は 翻訳人に対して過料 又は 費用の賠償を命ずる裁判
 身体の検査を受ける者に対して過料 又は 費用の賠償を命ずる裁判
2項  第420条第3項の規定は、
前項の請求についてこれを準用する。
3項  第1項の請求を受けた地方裁判所 又は 家庭裁判所は、
合議体で
決定をしなければならない。
4項  第1項第4号 又は 第5号の裁判の取消 又は 変更の請求は、
その裁判のあつた日から
3日以内にこれをしなければならない。
5項  前項の請求期間内 及び その請求があつたときは、
裁判の執行は、
停止される。
(同前−準抗告A)    条文別へ
第430条  検察官 又は 検察事務官のした第39条第3項の処分 又は 押収 若しくは 押収物の還付に関する処分に不服がある者は、
その検察官 又は 検察事務官が所属する検察庁の対応する裁判所に
その処分の取消 又は 変更を請求することができる。
2項  司法警察職員のした前項の処分に不服がある者は、
司法警察職員の職務執行地を管轄する地方裁判所 又は 簡易裁判所に
その処分の取消 又は 変更を請求することができる。
3項  前2項の請求については、
行政事件訴訟に関する法令の規定は、
これを適用しない。
(準抗告の手続)    条文別へ
第431条   前2条の請求をするには、
請求書を
管轄裁判所に差し出さなければならない。
(同前−準抗告の手続A)    条文別へ
第432条   第424条、第426条 及び 第427条の規定は、
第429条 及び 第430条の請求があつた場合に
これを準用する。
(特別抗告)    条文別へ
第433条  この法律により不服を申し立てることができない決定 又は 命令に対しては、
第405条に規定する事由があることを理由とする場合に限り、
最高裁判所に特に抗告をすることができる。
2項  前項の抗告の提起期間は、
5日とする。
(同前−特別抗告A)    条文別へ
第434条   第423条、第424条 及び 第426条の規定は、
この法律に特別の定のある場合を除いては、
前条第1項の抗告についてこれを準用する。
第4編 再審    編章別条文→     ↑先頭へ
(再審を許す判決・再審の理由)    条文別へ
第435条   再審の請求は、
左の場合において、
有罪の言渡をした確定判決に対して、
その言渡を受けた者の利益のために、
これをすることができる。
 原判決の証拠となつた証拠書類 又は 証拠物が確定判決により偽造 又は 変造であつたことが証明されたとき。
 原判決の証拠となつた証言、鑑定、通訳 又は 翻訳が確定判決により虚偽であつたことが証明されたとき。
 有罪の言渡を受けた者を誣告した罪が確定判決により証明されたとき。但し 誣告により有罪の言渡を受けたときに限る。
 原判決の証拠となつた裁判が確定裁判により変更されたとき。
 特許権、実用新案権、意匠権 又は 商標権を害した罪により有罪の言渡をした事件について、その権利の無効の審決が確定したとき、 又は 無効の判決があつたとき。
 有罪の言渡を受けた者に対して無罪 若しくは 免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、 又は 原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。
 原判決に関与した裁判官、原判決の証拠となつた証拠書類の作成に関与した裁判官 又は 原判決の証拠となつた書面を作成し 若しくは 供述をした検察官、検察事務官 若しくは 司法警察職員が被告事件について職務に関する罪を犯したことが確定判決により証明されたとき。但し 原判決をする前に裁判官、検察官、検察事務官 又は 司法警察職員に対して公訴の提起があつた場合には、原判決をした裁判所がその事実を知らなかつたときに限る。
(同前−再審を許す判決・再審の理由A)    条文別へ
第436条  再審の請求は、
左の場合において、
控訴 又は 上告を棄却した確定判決に対して、
その言渡を受けた者の利益のために、
これをすることができる。
 前条第1号 又は 第2号に規定する事由があるとき。
 原判決 又は その証拠となつた証拠書類の作成に関与した裁判官について前条第7号に規定する事由があるとき。
2項  第一審の確定判決に対して再審の請求をした事件について再審の判決があつた後は、
控訴棄却の判決に対しては、
再審の請求をすることはできない。
3項  第一審 又は 第二審の確定判決に対して再審の請求をした事件について
再審の判決があつた後は、

上告棄却の判決に対しては、
再審の請求をすることはできない。
(確定判決に代わる証明)    条文別へ
第437条   前2条の規定に従い、
確定判決により犯罪が証明されたことを再審の請求の理由とすべき場合において、
その確定判決を得ることができないときは、

その事実を証明して
再審の請求をすることができる。
但し 証拠がないという理由によつて確定判決を得ることができないときは、
この限りでない。
(管轄)    条文別へ
第438条   再審の請求は、
原判決をした裁判所が
これを管轄する。
(再審請求権者)    条文別へ
第439条  再審の請求は、
左の者がこれをすることができる。
 検察官
 有罪の言渡を受けた者
 有罪の言渡を受けた者の法定代理人 及び 保佐人
 有罪の言渡を受けた者が死亡し、 又は 心神喪失の状態に在る場合には、その配偶者、直系の親族 及び 兄弟姉妹
2項  第435条第7号 又は 第436条第1項第2号に規定する事由による再審の請求は、
有罪の言渡を受けた者がその罪を犯させた場合には、
検察官でなければ
これをすることができない。
(弁護人選任)    条文別へ
第440条  検察官以外の者は、
再審の請求をする場合には、
弁護人を選任することができる。
2項  前項の規定による弁護人の選任は、
再審の判決があるまで
その効力を有する。
(再審請求の時期)    条文別へ
第441条   再審の請求は、
刑の執行が終り、 又は その執行を受けることがないようになつたときでも、
これをすることができる。
(執行停止の効力)    条文別へ
第442条   再審の請求は、
刑の執行を停止する効力を有しない。
但し 管轄裁判所に対応する検察庁の検察官は、
再審の請求についての裁判があるまで
刑の執行を停止することができる。
(再審請求の取下げ)    条文別へ
第443条  再審の請求は、
これを取り下げることができる。
2項  再審の請求を取り下げた者は、
同一の理由によつては、
更に再審の請求をすることができない。
(刑事施設にいる被告人に関する特則)    条文別へ
第444条   第366条の規定は、
再審の請求 及び その取下についてこれを準用する。
(事実の取調べ)    条文別へ
第445条   再審の請求を受けた裁判所は、
必要があるときは、
合議体の構成員に
再審の請求の理由について、
事実の取調をさせ、

又は 地方裁判所、家庭裁判所 若しくは 簡易裁判所の裁判官に
これを嘱託することができる。

この場合には、
受命裁判官 及び 受託裁判官は、
裁判所 又は 裁判長と同一の権限を有する。
(請求棄却の決定)    条文別へ
第446条   再審の請求が
法令上の方式に違反し、 又は 請求権の消滅後にされたものであるときは、
決定で
これを棄却しなければならない。
(同前−請求棄却の決定A)    条文別へ
第447条  再審の請求が理由のないときは、
決定で
これを棄却しなければならない。
2項  前項の決定があつたときは、
何人も、
同一の理由によつては、
更に再審の請求をすることはできない。
(再審開始の決定)    条文別へ
第448条  再審の請求が理由のあるときは、
再審開始の決定をしなければならない。
2項  再審開始の決定をしたときは、
決定で
刑の執行を停止することができる。
(請求の競合と請求棄却の決定)    条文別へ
第449条  控訴を棄却した確定判決とその判決によつて確定した第一審の判決とに対して
再審の請求があつた場合において、
第一審裁判所が再審の判決をしたときは、

控訴裁判所は、
決定で
再審の請求を棄却しなければならない。
2項  第一審 又は 第二審の判決に対する上告を棄却した判決と
その判決によつて確定した第一審 又は 第二審の判決とに対して
再審の請求があつた場合において、
第一審裁判所 又は 控訴裁判所が再審の判決をしたときは、

上告裁判所は、
決定で
再審の請求を棄却しなければならない。
(即時抗告)    条文別へ
第450条   第446条、第447条第1項、第448条第1項 又は 前条第1項の決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(再審の審判)    条文別へ
第451条  裁判所は、
再審開始の決定が確定した事件については、
第449条の場合を除いては、
その審級に従い、
更に審判をしなければならない。
2項  左の場合には、
第314条第1項本文 及び 第339条第1項第4号の規定は、
前項の審判にこれを適用しない。
 死亡者 又は 回復の見込がない心神喪失者のために再審の請求がされたとき。
 有罪の言渡を受けた者が、再審の判決がある前に、死亡し、 又は 心神喪失の状態に陥りその回復の見込がないとき。
3項  前項の場合には、
被告人の出頭がなくても、
審判をすることができる。

但し 弁護人が出頭しなければ
開廷することはできない。
4項  第2項の場合において、
再審の請求をした者が弁護人を選任しないときは、

裁判長は、
職権で
弁護人を附しなければならない。
(不利益変更の禁止)    条文別へ
第452条   再審においては、
原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。
(無罪判決の公示)    条文別へ
第453条   再審において無罪の言渡をしたときは、
官報 及び 新聞紙に掲載して、
その判決を公示しなければならない。
第5編 非常上告    編章別条文→     ↑先頭へ
(非常上告理由)    条文別へ
第454条   検事総長は、
判決が確定した後
その事件の審判が法令に違反したことを発見したときは、

最高裁判所に非常上告をすることができる。
(申立ての方式)    条文別へ
第455条   非常上告をするには、
その理由を記載した申立書を
最高裁判所に差し出さなければならない。
(公判期日)    条文別へ
第456条   公判期日には、
検察官は、
申立書に基いて
陳述をしなければならない。
(棄却の判決)    条文別へ
第457条   非常上告が理由のないときは、
判決で
これを棄却しなければならない。
(破棄の判決)    条文別へ
第458条   非常上告が理由のあるときは、
左の区別に従い、
判決をしなければならない。
 原判決が法令に違反したときは、その違反した部分を破棄する。但し 原判決が被告人のため不利益であるときはこれを破棄して、被告事件について更に判決をする。
 訴訟手続が法令に違反したときは、その違反した手続を破棄する。
(判決の効力)    条文別へ
第459条   非常上告の判決は、
前条第1号但書の規定によりされたものを除いては、
その効力を被告人に及ぼさない。
(調査範囲、事実の取調べ)    条文別へ
第460条  裁判所は、
申立書に包含された事項に限り、
調査をしなければならない。
2項  裁判所は、
裁判所の管轄、公訴の受理 及び 訴訟手続に関しては、
事実の取調をすることができる。
この場合には、
第393条第3項の規定を準用する。
第6編 略式手続    編章別条文→     ↑先頭へ
(略式命令)    条文別へ
第461条   簡易裁判所は、
検察官の請求により、
その管轄に属する事件について、
公判前、
略式命令で、
100万円以下の罰金 又は 科料を科することができる。

この場合には、
刑の執行猶予をし、
没収を科し、
その他付随の処分をすることができる。
(略式手続についての説明と被疑者の異議)    条文別へ
第461条の2  検察官は、
略式命令の請求に際し、
被疑者に対し、
あらかじめ、
略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、
通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、
略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。
2項  被疑者は、
略式手続によることについて異議がないときは、
書面で
その旨を明らかにしなければならない。
(略式命令の請求)    条文別へ
第462条  略式命令の請求は、
公訴の提起と同時に、
書面で
これをしなければならない。
2項  前項の書面には、
前条第2項の書面を添附しなければならない。
(通常の審判)    条文別へ
第463条  前条の請求があつた場合において、
その事件が略式命令をすることができないものであり、
又は これをすることが相当でないものであると思料するときは、

通常の規定に従い、
審判をしなければならない。
2項  検察官が、
第461条の2に定める手続をせず、
又は 前条第2項に違反して略式命令を請求した
ときも、

前項と同様である。
3項  裁判所は、
前2項の規定により通常の規定に従い審判をするときは、
直ちに検察官にその旨を通知しなければならない。
4項  第1項 及び 第2項の場合には、
第271条の規定の適用があるものとする。
但し 同条第2項に定める期間は、
前項の通知があつた日から2箇月とする。
(公訴提起の失効)    条文別へ
第463条の2  前条の場合を除いて、
略式命令の請求があつた日から4箇月以内に
略式命令が被告人に告知されないときは、

公訴の提起は、
さかのぼつてその効力を失う。
2項  前項の場合には、
裁判所は、
決定で、
公訴を棄却しなければならない。

略式命令が既に検察官に告知されているときは、
略式命令を取り消した上、
その決定をしなければならない。
3項  前項の決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(略式命令の方式)    条文別へ
第464条   略式命令には、
罪となるべき事実、
適用した法令、
科すべき刑 及び 附随の処分
並びに 略式命令の告知があつた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる旨
を示さなければならない。
(正式裁判の請求)    条文別へ
第465条  略式命令を受けた者 又は 検察官は、
その告知を受けた日から14日以内に
正式裁判の請求をすることができる。
2項  正式裁判の請求は、
略式命令をした裁判所に、
書面で
これをしなければならない。

正式裁判の請求があつたときは、
裁判所は、
速やかにその旨を検察官 又は 略式命令を受けた者に通知しなければならない。
(正式裁判の請求の取下げ)    条文別へ
第466条   正式裁判の請求は、
第一審の判決があるまで
これを取り下げることができる。
(上訴規定の準用)    条文別へ
第467条   第353条、
第355条 乃至 第357条、
第359条、
第360条
及び 第361条 乃至 第365条の規定は、

正式裁判の請求 又は その取下についてこれを準用する。
(正式裁判請求の棄却、通常の審判)    条文別へ
第468条  正式裁判の請求が
法令上の方式に違反し、 又は 請求権の消滅後にされたものであるときは、

決定で
これを棄却しなければならない。

この決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
2項  正式裁判の請求を適法とするときは、
通常の規定に従い、
審判をしなければならない。
3項  前項の場合においては、
略式命令に拘束されない。
(略式命令の失効)    条文別へ
第469条   正式裁判の請求により判決をしたときは、
略式命令は、
その効力を失う。
(略式命令の効力)    条文別へ
第470条   略式命令は、
正式裁判の請求期間の経過 又は その請求の取下により、
確定判決と同一の効力を生ずる。
正式裁判の請求を棄却する裁判が確定したときも、
同様である。
第7編 裁判の執行    編章別条文→     ↑先頭へ
(裁判の確定と執行)    条文別へ
第471条   裁判は、
この法律に特別の定のある場合を除いては、
確定した後
これを執行する。
(執行指揮)    条文別へ
第472条  裁判の執行は、
その裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官が
これを指揮する。

但し 第70条第1項但書の場合、
第108条第1項但書の場合
その他その性質上裁判所 又は 裁判官が指揮すべき場合は、

この限りでない。
2項  上訴の裁判 又は 上訴の取下により
下級の裁判所の裁判を執行する場合には、

上訴裁判所に対応する検察庁の検察官が
これを指揮する。

但し 訴訟記録が下級の裁判所 又は その裁判所に対応する検察庁に在るときは、
その裁判所に対応する検察庁の検察官が、
これを指揮する。
(執行指揮の方式)    条文別へ
第473条   裁判の執行の指揮は、
書面でこれをし、
これに裁判書 又は 裁判を記載した調書の謄本 又は 抄本を添えなければならない。

但し 刑の執行を指揮する場合を除いては、
裁判書の原本、謄本 若しくは 抄本 又は 裁判を記載した調書の謄本 若しくは 抄本に認印して、
これをすることができる。
(刑の執行の順序)    条文別へ
第474条   二以上の主刑の執行は、
罰金 及び 科料を除いては、
その重いものを先にする。
但し 検察官は、
重い刑の執行を停止して、
他の刑の執行をさせることができる。
(死刑の執行)    条文別へ
第475条  死刑の執行は、
法務大臣の命令による。
2項  前項の命令は、
判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。
但し 上訴権回復 若しくは 再審の請求、非常上告 又は 恩赦の出願 若しくは 申出がされその手続が終了するまでの期間
及び 共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、

これをその期間に算入しない。
(同前−死刑の執行A)    条文別へ
第476条   法務大臣が死刑の執行を命じたときは、
5日以内にその執行をしなければならない。
(同前−死刑の執行B)    条文別へ
第477条  死刑は、
検察官、検察事務官 及び 刑事施設の長 又は その代理者の立会いの上、
これを執行しなければならない。
2項  検察官 又は 刑事施設の長の許可を受けた者でなければ、
刑場に入ることはできない。
(同前−死刑の執行C)    条文別へ
第478条   死刑の執行に立ち会つた検察事務官は、
執行始末書を作り、
検察官 及び 刑事施設の長 又は その代理者とともに、
これに署名押印しなければならない。
(死刑執行の停止)    条文別へ
第479条  死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、
法務大臣の命令によつて
執行を停止する。
2項  死刑の言渡を受けた女子が懐胎しているときは、
法務大臣の命令によつて
執行を停止する。
3項  前2項の規定により死刑の執行を停止した場合には、
心神喪失の状態が回復した後 又は 出産の後に
法務大臣の命令がなければ、

執行することはできない。
4項  第475条第2項の規定は、
前項の命令についてこれを準用する。
この場合において、
判決確定の日とあるのは、
心神喪失の状態が回復した日 又は 出産の日と読み替えるものとする。
(自由刑の執行停止)    条文別へ
第480条   懲役、禁錮 又は 拘留の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、
刑の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官
又は 刑の言渡を受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によつて、
その状態が回復するまで

執行を停止する。
(同前−自由刑の執行停止A)    条文別へ
第481条  前条の規定により刑の執行を停止した場合には、
検察官は、
刑の言渡を受けた者を
監護義務者 又は 地方公共団体の長に引き渡し、
病院その他の適当な場所に入れさせなければならない。
2項  刑の執行を停止された者は、
前項の処分があるまで
これを刑事施設に留置し、
その期間を刑期に算入する。
(同前−自由刑の執行停止B)    条文別へ
第482条   懲役、禁錮 又は 拘留の言渡を受けた者について
左の事由があるときは、

刑の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官
又は 刑の言渡を受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によつて

執行を停止することができる。
 刑の執行によつて、著しく健康を害するとき、 又は 生命を保つことのできない虞があるとき。
 年齢70年以上であるとき。
 受胎後150日以上であるとき。
 出産後60日を経過しないとき。
 刑の執行によつて回復することのできない不利益を生ずる虞があるとき。
 祖父母 又は 父母が年齢70年以上 又は 重病 若しくは 不具で、他にこれを保護する親族がないとき。
  又は 孫が幼年で、他にこれを保護する親族がないとき。
 その他重大な事由があるとき。
(訴訟費用の執行停止)    条文別へ
第483条   第500条に規定する申立の期間内 及び その申立があつたときは、
訴訟費用の負担を命ずる裁判の執行は、
その申立についての裁判が確定するまで
停止される。
(執行のための呼出し)    条文別へ
第484条   死刑、懲役、禁錮 又は 拘留の言渡しを受けた者が拘禁されていないときは、
検察官は、
執行のため
これを呼び出さなければならない。

呼出しに応じないときは、
収容状を発しなければならない。
(収容状の発布)    条文別へ
第485条   死刑、懲役、禁錮 又は 拘留の言渡しを受けた者が
逃亡したとき、 又は 逃亡するおそれがあるときは、

検察官は、
直ちに収容状を発し、 又は 司法警察員にこれを発せしめることができる。
(検事長に対する収容の請求)    条文別へ
第486条  死刑、懲役、禁錮 又は 拘留の言渡しを受けた者の現在地が分からないときは、
検察官は、
検事長に
その者の刑事施設への収容を請求することができる。
2項  請求を受けた検事長は、
その管内の検察官に収容状を発せしめなければならない。
(収容状)    条文別へ
第487条   収容状には、
刑の言渡しを受けた者の
氏名、住居、年齢、刑名、刑期その他収容に必要な事項
を記載し、
検察官 又は 司法警察員が、
これに記名押印しなければならない。
(収容状の効力)    条文別へ
第488条   収容状は、
勾引状と同一の効力を有する。
(収容状の執行)    条文別へ
第489条   収容状の執行については、
勾引状の執行に関する規定を準用する。
(財産刑等の執行)    条文別へ
第490条  罰金、科料、没収、追徴、過料、没取、訴訟費用、費用賠償 又は 仮納付の裁判は、
検察官の命令によつて
これを執行する。
この命令は、
執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
2項  前項の裁判の執行は、
民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従つてする。
ただし、 執行前に裁判の送達をすることを要しない。
(相続財産に対する執行)    条文別へ
第491条   没収 又は 租税その他の公課 若しくは 専売に関する法令の規定により言い渡した
罰金 若しくは 追徴は、

刑の言渡を受けた者が判決の確定した後死亡した場合には、
相続財産についてこれを執行することができる。
(合併後の法人に対する執行)    条文別へ
第492条   法人に対して罰金、科料、没収 又は 追徴を言い渡した場合に、
その法人が判決の確定した後合併によつて消滅したときは、

合併の後存続する法人 又は 合併によつて設立された法人に対して
執行することができる。
(仮納付の執行の調整)    条文別へ
第493条  第一審と第二審とにおいて、
仮納付の裁判があつた場合に、
第一審の仮納付の裁判について既に執行があつたときは、

その執行は、
これを第二審の仮納付の裁判で納付を命ぜられた金額の限度において、
第二審の仮納付の裁判についての執行とみなす。
2項  前項の場合において、
第一審の仮納付の裁判の執行によつて得た金額が
第二審の仮納付の裁判で納付を命ぜられた金額を超えるときは、

その超過額は、
これを還付しなければならない。
(仮納付の執行と本刑の執行)    条文別へ
第494条  仮納付の裁判の執行があつた後に、
罰金、科料 又は 追徴の裁判が確定したときは、

その金額の限度において
刑の執行があつたものとみなす。
2項  前項の場合において、
仮納付の裁判の執行によつて得た金額が
罰金、科料 又は 追徴の金額を超えるときは、

その超過額は、
これを還付しなければならない。
(勾留日数の法定通産)    条文別へ
第495条  上訴の提起期間中の未決勾留の日数は、
上訴申立後の未決勾留の日数を除き、
全部これを本刑に通算する。
2項  上訴申立後の未決勾留の日数は、
左の場合には、
全部これを本刑に通算する。
 検察官が上訴を申し立てたとき。
 検察官以外の者が上訴を申し立てた場合においてその上訴審において原判決が破棄されたとき。
3項  前2項の規定による通算については、
未決勾留の1日を
刑期の1日 又は 金額の4000円に折算する。
4項  上訴裁判所が原判決を破棄した後の未決勾留は、
上訴中の未決勾留日数に準じて、
これを通算する。
(没収物の処分)    条文別へ
第496条   没収物は、
検察官がこれを処分しなければならない。
(没収物の交付)    条文別へ
第497条  没収を執行した後3箇月以内に、
権利を有する者が没収物の交付を請求したときは、

検察官は、
破壊し、 又は 廃棄すべき物を除いては、
これを交付しなければならない。
2項  没収物を処分した後
前項の請求があつた場合には、

検察官は、
公売によつて得た代価を交付しなければならない。
(偽造変造の表示)    条文別へ
第498条  偽造し、 又は 変造された物を返還する場合には、
偽造 又は 変造の部分を
その物に表示しなければならない。
2項  偽造し、 又は 変造された物が押収されていないときは、
これを提出させて、
前項に規定する手続をしなければならない。

但し その物が公務所に属するときは、
偽造 又は 変造の部分を公務所に通知して
相当な処分をさせなければならない。
(電磁的記録の消去等)    条文別へ
第498条の2  不正に作られた電磁的記録 又は 没収された電磁的記録に係る記録媒体を
返還し、 又は 交付する場合には、

当該電磁的記録を消去し、
又は 当該電磁的記録が不正に利用されないようにする処分をしなければならない。
2項  不正に作られた電磁的記録に係る記録媒体が
公務所に属する場合において、
当該電磁的記録に係る記録媒体が押収されていないときは、

不正に作られた部分を
公務所に通知して相当な処分をさせなければならない。
(還付不能と公告)    条文別へ
第499条  押収物の還付を受けるべき者の所在が判らないため、
又は その他の事由によつて、
その物を還付することができない場合には、

検察官は、
その旨を
政令で定める方法によつて
公告しなければならない。
2項  第222条第1項において準用する第123条第1項 若しくは 第124条第1項の規定
又は 第220条第2項の規定
により押収物を還付しようとするときも、

前項と同様とする。
この場合において、
同項中「検察官」とあるのは、
「検察官 又は 司法警察員」とする。
3項  前2項の規定による公告をした日から6箇月以内に
還付の請求がないときは、

その物は、
国庫に帰属する。
4項  前項の期間内でも、
価値のない物は、
これを廃棄し、
保管に不便な物は、
これを公売してその代価を保管することができる。
(準用規定)    条文別へ
第499条の2  前条第1項の規定は
第123条第3項の規定による交付 又は 複写について、
前条第2項の規定は
第220条第2項 及び 第222条第1項において準用する第123条第3項の規定による交付 又は 複写について、
それぞれ準用する。
2項  前項において準用する前条第1項 又は 第2項の規定による公告をした日から
6箇月以内に
前項の交付 又は 複写の請求がないときは、

その交付をし、 又は 複写をさせることを要しない。
(訴訟費用執行免除の申立て)    条文別へ
第500条  訴訟費用の負担を命ぜられた者は、
貧困のためこれを完納することができないときは、
裁判所の規則の定めるところにより、
訴訟費用の全部 又は 一部について、
その裁判の執行の免除の申立をすることができる。
2項  前項の申立は、
訴訟費用の負担を命ずる裁判が確定した後
20日以内にこれをしなければならない。
(訴訟費用の予納)    条文別へ
第500条の2   被告人 又は 被疑者は、
検察官に
訴訟費用の概算額の予納をすることができる。
(訴訟費用の裁判の執行)    条文別へ
第500条の3  検察官は、
訴訟費用の裁判を執行する場合において、
前条の規定による予納がされた金額があるときは、

その予納がされた金額から当該訴訟費用の額に相当する金額を控除し、
当該金額を当該訴訟費用の納付に充てる。
2項  前項の規定により予納がされた金額から
訴訟費用の額に相当する金額を控除して
残余があるときは、

その残余の額は、
その予納をした者の請求により返還する。
(予納金の変換)    条文別へ
第500条の4   次の各号のいずれかに該当する場合には、
第500条の2の規定による予納がされた金額は、
その予納をした者の請求により
返還する。
 第38条の2の規定により弁護人の選任が効力を失つたとき。
 訴訟手続が終了する場合において、被告人に訴訟費用の負担を命ずる裁判がなされなかつたとき。
 訴訟費用の負担を命ぜられた者が、訴訟費用の全部について、その裁判の執行の免除を受けたとき。
(解釈の申立て)    条文別へ
第501条   刑の言渡を受けた者は、
裁判の解釈について疑があるときは、
言渡をした裁判所に
裁判の解釈を求める申立をすることができる。
(異議の申立て)    条文別へ
第502条   裁判の執行を受ける者 又は その法定代理人 若しくは 保佐人は、
執行に関し検察官のした処分を不当とするときは、
言渡をした裁判所に
異議の申立をすることができる。
(申立ての取下げ)    条文別へ
第503条  第500条 及び 前2条の申立ては、
決定があるまで
これを取り下げることができる。
2項  第366条の規定は、
第500条 及び 前2条の申立て 及び その取下げについて
これを準用する。
(即時抗告)    条文別へ
第504条   第500条、第501条 及び 第502条の申立てについてした決定に対しては、
即時抗告をすることができる。
(労役場留置の執行)    条文別へ
第505条   罰金 又は 科料を完納することができない場合における
労役場留置の執行については、
刑の執行に関する規定を準用する。
(執行費用の負担)    条文別へ
第506条   第490条第1項の裁判の執行の費用は、
執行を受ける者の負担とし、
民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従い、
執行と同時にこれを取り立てなければならない。
(公務所等への照会)    条文別へ
第507条   検察官 又は 裁判所 若しくは 裁判官は、
裁判の執行に関して必要があると認めるときは、
公務所 又は 公私の団体に照会して
必要な事項の報告を求めることができる。

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